J2-第14節 アルビレックス新潟対愛媛FC 2019.05.18 (土) 感想

 愛媛FCが第14節で対するはアルビレックス新潟。はくちょう座の宝石アルビレオからとられたチーム名がすてきで新潟の方々の詩的センスを感じる。
 新潟市出身の天文学者海部宣男さんがアルビレックス新潟のファンだったかどうかは存じあげないが、自作にビッグスワンを登場させるほど熱狂的なアルビレックス新潟ファンとして知られる作家の綾崎隼さんが「東口選手をぜひ代表に」とつぶやいていたころが懐かしい。ところで新潟市は神林長平さんとか斎藤美奈子さんとか坂口安吾とか輩出しているんですか? 水島新司さんだけでなく?
 ということで、有田光希選手の故郷でもある新潟の地に愛媛FCが臨んだJ2-第14節、アルビレックス新潟対愛媛FCの試合をざっくりとふりかえっていく。

・手前ではなく前への意識

 キックオフからいつもと様子が違う愛媛。後方からつなぐのではなくとにかく蹴っ飛ばす。ボール保持を自陣ではなく相手陣内でおこなうんだという意思がひしひしと伝わってくる。
 2分には自陣でのビルドアップから前野貴徳選手のパスが新潟の選手にあたってレオナルド選手のシュートへとつながってしまう。だがここでも前野選手は前方へのロングボールを選択している。直後には竹嶋裕二選手も新潟ディフェンスの裏を狙っていたし、6分には野澤英之選手も同様に裏狙い。
 自陣からの疑似カウンターは愛媛の強力な武器だが、ここ最近はなかなかつかえていなかった。だが愛媛の武器はそれだけでもない。相手陣内でのポゼッションは迫力をもっておこなえる。そのことを思い出したような前半のたちあがりだった。

・攻防は相手をみて

 ボール非保持のとき、愛媛はミドルサードあたりで5-4-1のブロックを敷いて新潟を迎え撃つ。前線から積極的にボールホルダーにアプローチしにいくことはほとんどない。愛媛の狙いはボールがサイドバックへ渡ったとき。インサイドハーフの近藤貴司選手や神谷優太選手がアプローチへいき、もしセンターバックへバックパスがでればはじめて藤本佳希選手も寄せていってGK大谷幸輝選手まで下げさせる。また、サイドバックのパスを受ける位置が高ければインサイドハーフだけでなくウイングバックも寄せていく。このとき田中裕人選手と野澤英之選手もボールサイドにスライドすることで、もしサイドバックが愛媛の2ライン間にいる味方にパスをだしても、中の選手がボールを受けたところをつぶせるようにしていた。つぶせなくてもセンターバックへのバックパスを選択させる。

 ただ奇妙な部分もあった。新潟のボール保持の形が左右非対称である点だ。
 新潟の左サイドハーフ渡邊凌磨選手はタッチライン際にひらいていることがおおいのと対蹠的に、右サイドハーフの加藤大選手は内側へ絞りこんでくる。なので新潟の右サイドはおおきく空くことになるのだが、では右サイドバックの川口尚紀選手が高い位置まで上がってくるのかといえばそうでもない。
 新潟が2ライン間に選手をおおく集める理由は攻め方にある。新潟は大武峻選手とパウロン選手からレオナルド選手へむけてのロングボールを多用していた。林堂眞選手をもってしてもレオナルド選手を抑えることは困難であるため、こぼれ球が2ライン間に転がることがおおかった。このこぼれ球をトップ下の渡邉新太選手と加藤選手がひろって一気に攻めこむという攻撃がおおかった。

 となってくれば、愛媛としては新潟の2センターバックにも規制をかけにいかなければならなくなる。そこで登場するのが神谷選手。彼が2列めから飛びだす5-3-2ぎみになって新潟の最終ラインに人数をあわせるようになる。場合によっては下川選手が1列上がった4-4-2の形にもなれる。3バックと4バックを併用してきたのでこういった器用なこともできるのだろう。

 すると新潟も対応する。それまでは愛媛の1-2列めにいることがおおかった小川選手が最終ラインへ落ちて3対2の数的優位の状況をつくるようになる。ならばと近藤選手も大武選手へアプローチへいくようになり、愛媛のブロックは5-2-3みたいになっていた。

 さてインサイドハーフである神谷選手と近藤選手にはサイドバックにパスがでればアプローチにいくという役割があった。センターバックまででるようになったからといってその役割が免除されたわけでもない。つまりセンターバックへ寄せにいったがサイドバックへパスされたとなれば、そのままサイドバックまで二度追いすることになっていた。
 近藤選手のいつも通りの奔走に頭がさがりつつ、対称の神谷選手もまた怠ることなく二度追いをくりかえすあたりさすが湘南ベルマーレの子だと改めて感じる土曜の午後だった。神谷選手は風貌や言動から王様と呼ばれることもあるらしいが、であればこそ、まさに将棋の王将が「イザとなったらかなりなファイターでもある」ように奮迅することをおしまない。
 もしセンターバックとサイドバックとの距離が遠くて二度追いできないときは、ウイングバックの選手がサイドバックへ寄せていくことになっていた。この形で12分には川口選手へパスがでる可能性にそなえて前進した下川選手が、しかしパウロン選手は中央の加藤選手への縦パスを狙うと察してインターセプトする場面につながるわけでもある。

・新潟のアプローチの変化と愛媛がつかえなかった場所

 一進一退の様相をみせるなか、15分頃から新潟は前線からのアプローチの威力をよわめる。そのため愛媛は最終ラインでボールがもてるようになった。新潟がどれほどの算段をもってアプローチをよわめたのかはわからない。たんに体力を浪費しないという意図かもしれない。ただボールをもてるようになったことで、愛媛は前への意識を忽然と失ってしまうことになる。
 ボールをもてるのだからていねいにとなったのか、愛媛がふたたび前への意識をとりもどすには、林堂選手から小暮大器選手にでた31分のとどかなかったサイドチェンジまで待たなければならない。
 ボールをもてるようになった愛媛。だが自陣でのビルドアップミスからピンチを招く場面がつづく。
 19分の愛媛自陣でのビルドアップで、下川選手の中央への横パスが渡邉新太選手へわたってしまいピンチになりかける。直後の23分にも下川選手の横パスがつながらずピンチになりかけた。
 ただ、どうにも紙一重な場面にみえた。愛媛にとっては一転すれば大チャンスになりかけた場面であり、つまるところ新潟にとってはかろうじて危険を未然に防いだ場面のようであるからだ。
 たとえば19分の場面。下川選手は中央へパスをだすが、とうぜんそこに空間があるからパスをだしている。前野選手からパス受けた瞬間から始終、下川選手にはカウエ選手と加藤選手とのあいだにパスコースがひらけていたのだ。実際下川選手のパスは2人のあいだをとおしたものだった。
 なおかつこのとき新潟のフィールドプレイヤー8人が愛媛陣内にはいっていた。対して愛媛は7人。つまり愛媛の前線は3対2の数的優位になっていた可能性がある。なので野澤選手か田中裕人選手が中央に空いているパスコースにポジションできていれば、一気に愛媛は攻めに転じられた場面でもあったのだ。
 ただ、もちろんそうならなかったのには理由があって、仮に野澤選手か田中裕人選手が下川選手からのパスを受けられる場所にいたとして、すぐさまプレッシングを受けてボールを失ってしまったら、実際に生じた以上の危機(レオナルド選手とGK岡本選手の1対1や、右サイド竹嶋選手の前に空いた空間を使われる恐れ)に直面していた可能性も高かった。

 23分の場面では中央へのパスコースがあって田中裕人選手が受けられる位置にいたものの、下川選手へのパスアンドゴーでまさにそのパスコースに林堂選手が被ってしまったためにつながらずピンチになってしまった。
 愛媛は新潟の陣形を動かして攻めこむ空間をつくることはできていた。しかしそこをつかうことができなかった。これが前半に愛媛がかかえていた問題だった。ひるがえって新潟からすれば、前からのアプローチの都合上空けてしまう場所もあるが、結果的に愛媛につかわせない/つかわれることはなかったという印象か。

・新潟の突きつけた困難な選択と追加点

 33分に新潟が先制点を決める。
 小川選手が愛媛陣内でボールを奪うとすぐさま渡邉新太選手へ縦パスを送る。愛媛は守から攻へと切り替わったところをふたたび攻から守へ切り替えることになったため態勢を整えられず、渡邉新太選手とGK岡本選手との1対1になりかけた場面を竹嶋選手と前野選手の身体を張った守備で回避するにとどまる。こぼれ球をひろった近藤選手にはすぐさま渡邉新太選手と渡邊凌磨選手とが寄せていくので、近藤選手は前線へ蹴りだすのが精いっぱいで、これを相手にひろわれてしまう。陣形が整わないまま渡邊凌磨選手にクロスをあげられ、渡邉新太選手がニアでヘディングシュートを決めた。
 新潟の攻撃は圧巻だった。選手たちがボックス内に集中しながらも、ちゃんと小川選手はボックスの外にいて、愛媛がクリアしてもボールを回収できるよう準備していた。そうした準備ができているうえで、新潟の選手たちは林堂選手に困難な選択をしいらせた。
 渡邉新太選手のとびこみに対して林堂選手が寄せきれなかったのはほかでもなくレオナルド選手の影響がある。2人は林堂選手のそばでクロスを待つことで1対2の状況をつくっていた。愛媛にとってのさらなる不運は、直前のプレーで身体を張った竹嶋選手がいそいで自分のポジションに戻ろうとするまさにその背後をつかわれてしまったことである。なんともやるせない。失点直後に倒れこんで悔しがった竹嶋選手には忸怩たるおもいがあったのかもしれない。
 極めつけに新潟の選手たちはクロスに対してニア、中央、ファーの三つに飛びこんでいた。圧巻である。

 失点したことで愛媛はすこしだけ前への意識をもつ選手があらわれる。先述した林堂選手しかり、自陣からのスローインでロングスローを試みて相手陣内へ前進させようとした竹嶋選手しかり。だが愛媛にとってふたたび不運な形で新潟が追加点を決める。
 39分に愛媛は自陣からのビルドアップに成功し、神谷選手が新潟のアプローチをかいくぐりかけた。しかしそこをとめたのが小川選手だった。小川選手と交錯した神谷選手は膝を痛めてしまう。ダブルタッチで小川選手がボールに触れられないようにした神谷選手の好プレーにも見えたがノーファウルの判定。至極残念。
 膝を痛めてしまった神谷選手はパウロン選手へアプローチへいけなくなっていた。なので43分の場面で遠くのパウロン選手がボールをもったときにはアプローチにはいかず、近くの川口選手へボールがわたったところで寄せにいた。するとこれまでバックパスを選択することがおおかった川口選手がドリブルでしかける。神谷選手はファウルでとめることになった。
 なぜ川口選手はドリブルをしかけたのかといえば、加藤選手のポジショニングが関係している。これまで加藤選手は内側へ絞っていたため、前野選手や野澤選手が彼をみることになっていた。しかしこの場面で加藤選手はタッチライン際に張っていた。となると下川選手が彼のことをみなければならない。ゆえに川口選手に対して神谷選手がひとりでいかなければならず、そのうえ川口選手にはドリブルをしかける空間もできていた。
 新潟はこのフリーキックから2点めをあげる。
 キッカーの小川選手からの高い軌道のクロスに大武選手がフリーでヘディングして決めた。
 クロスが上がる直前、大武選手はマークにつく野澤選手のバランスを崩させて一歩めを遅らせたうえ、ゴール前に飛びこんでいくとみせかけながらもバックステップを踏んでフリーになっていた。ゴール直後に野澤選手が押されたやん! というふうに審判にアピールしているようにみえた。オフサイドになったが同じようにセットプレーから大武選手がネットを揺らしたときも、クロスがあがる直前に大武選手と野澤選手は駆け引きをしていて、大武選手は野澤選手に先んじてクロスに飛びだすことに成功していた。一枚うわまわられて悔しいぜ。

・後半から愛媛が思い出したもの

 後半頭から小暮選手に代わって吉田眞紀人選手が、野澤選手に代わって山瀬功治選手が出場する。吉田選手投入の意図は愛媛が前半15分を最後に忘れてしまった前への意識を思い出すためであろう。オレがいるぜ! と前線に吉田選手がいれば頼もしい。山瀬選手に関しても、ボールをもてば前をむく技術のある彼ならば前への意識を累乗させることができるというところか。
 野澤選手なら足もとの技術と視野の広さでビルドアップに安定感をもたらせるが、点をとるしかないとにかく前だ! となったら山瀬選手の前をむける技術と積極的な縦パスは必須になる。試合後に川井健太監督がコメントしていたとおり、下がった選手の出来の問題というより、攻めるしかなくなったがゆえの交代という感じだ。
 ということで序盤にもっていたはずの前への意識を思い出した愛媛FC。後半たちあがりから新潟陣内でのプレーになる。攻めっきゃないとなったためなのか、ボールを失ってもすぐにボールホルダーに寄せろ! でも、自陣へ撤退してブロックだ! でもなく、まずはパスコースをけすことを優先するようになった。そしてボールホルダーがパスの出し所に困ったところを奪いにいく。
 48分に愛媛が1点めを決める。
 前野選手からパスを受けた山瀬選手がすぐさま前をむくと2ライン間でフリーになっているのは吉田選手。吉田選手がワンタッチではたくと、ボールは裏へ抜けだした神谷選手のもとへ。GKとの1対1を冷静にゴール右隅に決めてみせた神谷選手。
 ちなみに最後神谷選手のもとへ新井直人選手の寄せが間にあわなかったのは、後半からウイングバックの位置にはいった近藤選手が横幅をとっていたことに要因がある。近藤選手をフリーにさせないために新井選手がサイドへ寄る必要があったのだ。新井選手のあと一歩寄せる間は、神谷選手が冷静に隅を狙う時間として使われることになった。近藤選手にも拍手。

・つかえるようになった場所と選手交代の奏功と

 50分。愛媛は前半にできなかったポジショニングができるようになる。
 右タッチライン際で吉田選手がボールを受けるといちど田中裕人選手へパス。田中裕人選手はすぐに吉田選手に戻してあがっていく。このとき新潟の選手をひとりひきつけることに成功。ゆえに中央へのパスコースがおおきくひらいた。吉田選手から中央の林堂選手へパスが出、愛媛は左サイドから新潟をおしこむようになる。下川選手がサイドをえぐってからあげたクロスに藤本選手がヘッドであわせるが、残念ながらジャストミートせず。
 つかわれていなかったはずの空間をつかわれるようになった新潟。これはまずいとなったかは知らないが、田中裕人選手や山瀬選手に対してディフェンシブハーフがマークするようになる。そうなると2ライン間が空きやすくなる。さらに新潟にとって困ったのは近藤選手と吉田選手の扱い。ふたりともインサイドハーフもサイドハーフもできてしまう選手なので、流れのなかでふたりの立ち位置がかわるようにもなった。
 53分のように近藤選手が内にいて、代わりに大外に流れた吉田選手がサイドチェンジのターゲットになるなんてこともある。吉田選手は横へドリブルすることで新潟の2列めの選手たちに牽制をかけ、ダイアゴナルに2ライン間へ走りこむ山瀬選手へパス。これはつながらなかったもののクリアボールを前野選手が拾い、下川選手のしかけから愛媛のスローインとなる。そしてスローインからふたたびしかけた下川選手は新潟の選手3人を食いつかせてからフリーになっている山瀬選手へパス。山瀬選手がグラウンダーのミドルシュートをゴール右隅に決めてみせた。
 まっさきに山瀬選手を祝福しにいったのは竹嶋選手だったが、ちょっと遠ない? いつの間に走ってきた? やはり竹嶋選手はふしぎな子だ。
 後半から前野選手がボールを運ぶ機会がふえた。理由として山瀬選手の存在がある。山瀬選手はボールをもてば平然と前をむくため、新潟はトップ下の渡邉新太選手がマンマークでつくことになっていた。なので愛媛の3バックに対してレオナルド選手1人で規制をかけることになる。もちろん1人では厳しいので規制はかからず、前野選手はどんどんボールを運べるようになった。
 吉田選手と山瀬選手の途中出場によってこれほどまでに勢いをとりもどした愛媛。ここ数試合全力をかたむけながらも足りていなかったものがなんであったのかが明然とするような選手交代になった。

・ふたりの若者

 後半から絶好調の愛媛FC。しかし相手はアルビレックス新潟。61分にはパスカットからカウンターを打ち、レオナルド選手が本領発揮とばかりに林堂選手と山瀬選手のプレッシングをかいくぐった。愛媛は自陣まで引いたがブロックをつくることに手間取ってしまう。そうなると隙を逃さないのが新潟の選手たち。カウエ選手は自分のまえにおおきな空間が空いていることに気づいてドリブル開始。吉田選手が寄せきるまえにボックスの外からシュートを放った。
 愛媛としてはさいわいとして決定的な危機には陥らなかったが、勢いのまま攻めていたらとうぜんピンチにもなるぞと知らしめされる場面だった。
 新潟はその後も前半と似た形で愛媛のゴールに迫る場面をつくっていた。65分には先制点を決めた渡邉新太選手に代わって田中達也選手が出場し、2ライン間でしかける勢いを落とす気配がない。
 守りに奔走されはじめる愛媛だったが、71分にはGK大谷選手のゴールキックに田中裕人選手が競ってこぼれ球を山瀬選手がひろう。前をむけば前線は2体2の状況。迷わずロングパスをだしたさきで神谷選手はGKと1対1。ボレーシュートを放つが枠の右へはずれてしまう。新潟のカウンターに耐えながらも逆転弾を決めきれないうちに、試合はしだいにロングボール合戦になっていた。
 新潟は76分に加藤選手に代えて本間至恩選手が出場する。とんでもない選手だった。ボールをもったらとにかくしかけ、ひとりで状況を打開できてしまう乾貴士選手や中島翔哉選手の系譜に連なる若手選手だった。ということで、本間選手のサイドから愛媛はなんどもピンチを迎えた。さらに新潟はロングボール合戦からふたたびボール保持をおこなうようになったことで、愛媛は自陣におしこまれる時間もふえていってしまう。
 攻勢を削がれて苦しい愛媛。しかし待ちに待った瞬間は82分におとずれる。
 新潟陣内深くからのスローインで、スロワーは竹嶋選手。軌道の高いロングスローは田中裕人選手のもとへとどく。力のこめにくいボールの軌道と威力でありながらも、しっかりと田中裕人選手は頭であわせ、ボールはGK大谷選手の手をはじいてゴールイン。
 前節鹿児島ユナイテッドFC戦の辛苦のなかで垣間みえた竹嶋選手のフィード力とロングスローというちいさな光明は、しかし暗闇にあって何倍も輝いてみえ、特にロングスローはこれから愛媛FCの新たな武器になっていくという予感を裏切らず、こんなにもはやくチームに歓喜をもたらした。それが田中裕人選手のJ初ゴールを呼び寄せることになるなんて妄想だにしなかった。ゆりかごダンスはだれの子のため! とおもったら翌日田中裕人選手に第一子の赤ちゃんが生まれたという発表があった。いえい(※違いました。田中裕人選手のお子さんが生まれたのは4日後でした。ではだれの子が生まれたのだろう? おめでたい!)。
 逆転した愛媛だったが、ここから新潟の猛攻を受けつづけることになる。愛媛は最終ラインがボックス内からでられないほどにおしこまれ、本間選手が2度も決定的なシュートを放って愛媛ゴールをおびやかした。しかしゴールキーパーは岡本選手。好セーブを披露し握りしめた勝ち点3を手放すことはなかった。

・終わり

 たちあがりの不安定さを解消しつつ、前への意識をつよくもって臨んだ一戦は、愛媛FCに自信と勇気をとりもどさせる試合となった。もっとも竹嶋選手の活躍という新たな要素はあるものの、けっきょくは自分たちのもっている力に気づきなおしたといったところがおおきい。そうだよ。愛媛の選手たちは充分力があるんだよ。
 百戦錬磨の山瀬選手も試合後に、愛媛の選手たちのクオリティーは高いのだからもっと自分たちを信じてやっていこう、というようなコメントを残している。
 さあとりもどしたものを手に邁進するときはきた。次節ははちゃめちゃにつよい水戸ホーリーホックだ。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

 試合結果
 アルビレックス新潟 2-3 愛媛FC @デンカビッグスワンスタジアム

 得点者
 アルビレックス新潟:渡邉新太、33分 大武峻、44分。
 愛媛FC      :神谷優太、48分 山瀬功治、54分 田中裕人、82分