マスクトディーヴァは前走の阪神牝馬Sで鞍上モレイラ騎手が先行する競馬で勝利しています。恐らく今回のVMを見越していたモレイラ騎手は昨年の富士Sをナミュールで差して勝った感じから、同じポジションからだとナミュールに勝てないと見ての脚質転換だと思います。VMの舞台はBコース替わり初週の東京マイルですが、先週時点でまだ内の芝が残っている状態でしたのでかなりの高速決着で極端な内前有利が予想されます。マスクトディーヴァの6番枠は行く馬を行かせて、テンの遅い馬を交わして3列目くらいの内のポジションを取るには絶好の枠に入りました。ハナはコンクシェルが行ってその後ろスタニングローズ、フィアスプライドが追走しその後ろでしょうか。フィールシンパシーが外から切り込んできますが、ハナにこだわるタイプではないので、スタニングの外かマスクの外で落ち着くでしょう。ウンブライルもこのあたりで追走したいところですが促して行くと末脚が削がれるので、後方待機になるでしょう。するとその外にぴったりとナミュール武騎手が馬体を寄せてきそうです。
先頭を行くコンクシェルですが、昨年マスクがレコード勝ちしたローズSではモレイラ騎手騎乗で道中4番手追走も最後はタレて12着敗退となりました。時計の出る馬場で飛ばしていくとダメなタイプのようで、小回りでもう少し長い距離が向くタイプだと思います。今回内目の枠に入ったことで一旦はハナに立ちますが、交わされる事を承知でペースを落としにくると思います。その後ろで交わして行っても大丈夫そうなマスクトですが、内のポジションを捨てて外からかわすのはロスが多く得策ではありません。動くとすれば外枠から外を回らされているフィールシンパシーです。横山琉騎手は今回初のG1騎乗ですが、馬を信じてコンクシェルを交わしていけるかが勝負の分かれ目でしょう。スタニングやフィアスに先んじて前へ出る事で勝ち筋が見えてきます。
直線を向いて粘り込みを図る先行馬のなかで、今回調教の良かったスタニングは前走とは違って手ごたえ抜群の可能性があります。フィールシンパシーも伸び続ける持続脚を持っています。コンクシェルを加えた内から4頭目の位置をルメール騎手が回ってくるのに対して、モレイラ騎手は前をかわせる前提でインを突きます。ナミュール武騎手はウンブライルを外に出させないように嫌がらせをしつつもルメール騎手のうしろを通そうとします。その位置をモリアーナ典騎手も狙っています。武騎手が外へ出しても勝てると踏んでいるなら、典騎手は先に動いて自分の外を回らせようとするかもしれません。ただモリアーナは折り合いだけで手いっぱいかもしれませんので、ここら辺はやってみないとのところです。
坂を上がったあたりで外を回したナミュールが豪快な末脚を繰り出している頃、内側の攻防は激しいものになっています。モレイラ騎手も川田騎手もスタニングがタレて来ることを頭に入れていると思いますが、この馬が復活していた場合はどん詰まりもあります。コンクシェルの脚次第ですが狭いスペースで激しい位置取り争いになりそうです。モレイラ騎手は先週のNHKマイルCで制裁点にリーチがかかった状態なので無理はできません。隣にいるのはG1で豪快なアクションで馬を止めてCデムの進路妨害をアピールした前科のある川田騎手です。前走完敗宣言しているだけに不気味な存在です。
ゴチャ付く内を横目にナミュールが先頭でゴールし2着にはフィールシンパシーが粘り込みます。

◎ナミュール
〇フィールシンパシー
▲フィアスプライド
△スタニングローズ
△マスクトディーヴァ