「しつけの失敗」と「良い悪役」

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ライオンキングの一部ネタバレを含みます。

パクリとかパクリじゃないとかいう以前に私は多少苛立った作品であった。

序盤に主人公のシンバが父ムファサに「行くな」と警告を受けた陰の場所。叔父のスカーに「行くな」と言いつつも好奇心をいざなうやり方で象の墓場に「勇気を示す」というくだらない無謀な好奇心で友人連れで踏み込み、ハイエナに襲われ父であるムファサに助けられるシーンがある。その後ムファサはシンバを叱るがすぐにじゃれ合いだす。

私「そんなしかり方で大丈夫なのか?」

案の定。叔父のスカーは2度目の策略でまたしてもシンバを誘導し、再び危険地帯にいざなわれる。それを再び救出に向かうムファサ。今度こそ、スカーは見事策略にムファサをはめてぶっ倒すのだった。

シンバにもムファサにもまるで感情移入できない。

ヒヤリハットというか「しつけの失敗」である。1回目の失敗で「父の言いつけを破ったこと」「友人を危機に巻き込んだこと」についてなぜそんなことをしたのかの掘り下げもせず、叱るというインプットのみでシンバがどのように反省したのかというアウトプットを一切しない。失敗は「シンバ自身と友人の命の危機」という重大なものであるにもかかわらずである。

正直、スカーにはめられたときは「この愚かなムファサとシンバでは仕方ねぇな」としか思わなかった。

・失敗に見合う厳しさ、罰を与えなければならない(本作では罰が甘すぎる)
・なぜそのような愚行を犯したのか原因追及が足りない(ちゃんとやればスカーの陰謀を導き出せたかもしれない)
・インプットのみでアウトプットを指せていないので説教や叱責がシンバの肚に落ちていない(シンバ自身に反省と自己分析の言葉を言わせるべきだった)

2回目で今度こそ、スカーに確実に仕留めらたわけだ。

一方で悪役というのは「人質を取るなどの策略段階では超優秀」「だけどいざ人質をとったり策略にはめた後の活用が下手」でなければならない。

前者は「物語に関わる事件を発生させるため」であり、後者は「善玉がスカッと逆転するため」である。スカーはまあまあ努力する良い悪役ではあった。

CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。