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痛みは痛みのまま

昨日の夕方、運行に遅れが出ていますというアナウンスをききながら山手線のホームの端っこに立っていたら、首と肩が同時に痛み出した。

最初の痛みは、朝。ドライヤーで髪を整えている時に、右肩の筋がピキと鳴った。少し気になりつつも時間通りに家を出て、左手に傘をもって駅まで走った。たいしたことではないと思っていたし、人との約束があった。何よりもほうっておけばそのうち治ると思っていた。

けれど、ホームに立っていたら、突然肩から首まで痛みの範囲が広がり、動かなくなった。首を少しでも動かすと鋭い痛みが走るし、呼吸もなんだかしづらい。幸い用事は終わっていたので、そのまま着た電車にそうっと乗り、そうっと帰宅した。

同じようなことが、いま私の日常で起こっている。自分の中で違和感をおぼえつつ長年放置していたものが、いよいよぱんぱんに膨れあがってきたのだ。

その箱を開けてしまうと、たぶん自分の中のぐちゃぐちゃした部分を虫眼鏡で見つめなくちゃいけないし、大切な人や知らない人にもそれを見せることになる。自分でもみたくないものを人にみせるなんて、想像するとおそろしいし本当にすみませんという気持ちになる。
けれど放置していても、気づかないふりをしていても、痛みはずっと痛みのままでしかなく、勝手に治ってくれたりはしなかった。

そればかりか、昨日のように痛みがどんどん広がって身動きが取れなくなって、しまいには周りの人、それも一番大切な人を巻き込み傷つけていくことがはっきりとわかった。
それに気づくまでに10年近くかかってしまったよ。

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