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リテールDX、はじめました。

はじめに

ようやくスタートラインにたちました。
みなさま、あけましておめでとうございます。(遅い)

伊藤忠商事の100%子会社の日本アクセスという食品卸の100%子会社のD&Sソリューションズという会社で「情報卸」という新規事業をしています。ややこしいですね。はじめましての方、よろしくお願いします。ご存じの方、近況報告兼ねて、改めましてよろしくお願いします。

以前は広告会社で、スーパーマーケット向けのスマホアプリのプロダクトを社内ベンチャーとして立ち上げていました。ヤオコー様をはじめとして、複数のスーパーマーケット様にご採用頂きました。

そのときにいろんな課題やいろんな解決策が見えてきて、いろんな仲間といろんなお客様と出会って、これは楽しい世界だなぁと思ったら、あれよあれよという間に、もっとどっぷり浸かってしまって今に至っています。ほんと深い。

新しいことへの挑戦は楽しくて、ぼくらができることの全てで、「小売の未来」を実装して、お買物の可能性をもっともっと、ひろげたいと思っています。

ここでいう「小売」は、企業としてではなくて業界としての意味で使っていて、主にスーパーマーケットなどのグロッサリーストアだけではなく、卸企業、そしてメーカー企業を含んでいます。というのも、スーパーマーケットの売上の半分はメーカー様のいわゆる加工品。のこりの半分が生鮮と惣菜。(ざっくりしすぎですが、だいたいそういうイメージです。)

つまり、小売の未来というのは、そのまま小売企業、卸企業、メーカー企業の未来、ということにほかなりません。

お金・ひと・システム・時間など、とてもたくさんの制約があるなかで、未来に向けてなんとかしていきたいよね、と共感していただけるお客さまや仲間に恵まれ、ようやく先日、ぼくらのプロダクトの第1弾、そして第2弾のリリースを出すことが出来ました。どちらも完全にゼロから独自開発した、自社プロダクトです。

10/21に、コープさっぽろ様のアプリの裏側の仕組みに弊社の「RETAILSTUDIO」、および「ダイナミックプライシング」というサービスが採用され、お客様向けにリリースされました。

そして、10/26に、弊社で開発している阪急オアシス様の「LINEミニアプリ(ダイナミックプライシング機能つき)」がリリースされました。

ようやくスタート地点でまだまだ始まったばかり。まだまだ機能的にも使い勝手的にも、まだ最高!といえる段階ではなく、まったく満足していません。実はリリース後もほとんど毎週のようにサービスのアップデートをしていて、すこしでもはやく、すこしでもよく、お買物を楽しく便利にしていきたいなと思っています。

実はまだ、やりたいことの1%にも届いていません。まだようやくスタートラインにたったばかりです。

目指す先の未来の仲間や、未来のパートナーに向けて、何を目指してるのか、どこに向かって行こうとしてるのか。これから先、やりたいことを実現するためには、もっともっと仲間が必要です。同じ課題や志を持つ人たちと、もっともっと輪を広げたいなと思って、ふだん考えてることを書いていこうと思います。

リテールDXがすぐ実現できるようになるための「情報卸」

私たちのサービスは、小売、なかでもスーパーマーケット業態に特化した仕組みです。スーパーマーケットに携わる人たち、つまり、製造・配送・販売に関わる小売業界で働く人たちの課題を解決するためのアプローチをしています。

このサービスを提供しているD&Sソリューションズは食品卸である日本アクセスのIT子会社ですが、食品卸ではないので既存の帳合(担当アカウント)など関係なく、純粋なIT機能としてサービス提供をし、対価を頂いています。昨年度から構想し、事業をスタートさせました。簡単にいえば、社内ベンチャーです。

(なんだか最近いつもやってることは社内ベンチャーばっかりだな、とは思います。まだ世の中の解決してない大きな課題に対して新しい解決策をゼロから作る挑戦をするのは、いつでも楽しいですね。)

(社内ベンチャーやってる人とお近づきになりたい、、、イントレプレナーとアントレプレナーは実際のところ戦い方がかなり違うので、いろいろお話とかしてみたい、、、)

実はサービスリリースに至るまでに、とても時間がかかっています。構想の発表は2019年3月。実に1年以上かかっています。

もちろんプロダクトをリリースするためのクオリティを担保しなくてはいけないので、最低限の品質としてもそこそこ高いレベルが要求されます。その開発期間を考慮しても、かかった時間のその多くは、とても重要だった「お客さまとの対話」に費やした時間。そして、これはあまりよくないのですが、「基幹システムとの連携」にかかってしまった時間です。

しかしながら、この「システムの連携にかかってしまった時間」があったからこそ、それを解決するプロダクトにしてきたことで、いまの私たちのサービスがたくさんのお客様からご支持頂いているきっかけになっています。

塞翁が馬、とはまさにこのことですね。自分たちが実際に困った問いに対して、愚直に解決していく、ということを繰り返して行ってきた結果、似たような課題で困っている企業さまの課題をちゃんと解決できるプロダクトになってきました。「情報卸」は基幹システム側の開発がほぼ不要です。実際に導入いただき稼働しているお客様の中には、文字通り「開発なし」でサービスがローンチしている企業さまがいます。

開発がないということは、初期費用が大幅に削減できますし、なにより時間も大幅に削減できます。キックオフから約2ヶ月でサービスがリリースできているのも、基幹システム側の開発を不要にしたことによる効果といえます。そして重要なのは「ダメならすぐやめられる、軌道修正もできる」という、あたりまえの世界をあたりまえに実装している部分が、とても良いことなのではないかな、と考えています。

大型の初期費用に縛られると、上手くいかなかったときにも、基本的にはずっとその仕組みを使い続けなくてはなりません。開発に数千万円かけたのに、うまくいかなかったからといって、それをすぐに辞められるでしょうか。普通の会社だと、なかなか難しい。なので、かけた開発コストのもとをさらにとろうとおもって、開発がそこに追加されます。結果として、選択肢が少ないまま、サンクコストが積み上がっていく、という悩みをとてもたくさんの方からこの1年、たくさん伺いました。不確実な世界を生き抜いていくためにこの縛りはとても大きく、確実な果実がないとすぐに動き出すことは難しいでしょう。そのためどうしても新しい挑戦に対するスピードは落ち、失敗したらどうするんだ、という会話になりがちです。「その前提」で考えると、気持ちはよくわかります。じゃぁ、その前提を崩したら、どうなるんだろう。

情報卸では、この負の連鎖を解決するための取組を行っていますが、情報卸のご説明をする前に、食品卸の概念図をご説明します。

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まんなかに食品卸がいて、小売企業とメーカー企業の間をつないでいます。こうすることで、「商流」と「物流」をおまとめして、効率よく各企業さまが運営できるようにご支援をしています。もし食品卸がなかったら、各企業が直接お取引をする状態になってしまいます。

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これは非常に効率が悪い。そのため、「間にいる価値」というのは、とても意味のあるものだったりします。間にいる立場として、できることは実はとても多く、他にもたくさんの機能でご支援させて頂いているのですが、食品卸をご存じない方にご説明するのには、こんな感じがイメージしやすいかな、と思います。

情報卸は、概念的には似たようなモデルです。「間」にいるからできること、という考え方で、最大限の価値をご提供できるようにしています。ただし、おまとめして運ぶものは「情報」です。「情報流」を扱う商売として情報卸を作っています。

※小売業界ではあまり「情報流」という表現に耳なじみがないので、「データの倉庫と物流」という言い方をあえてしています。

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「情報卸」はすごく簡単に言ってしまうと、データをお預け頂いたら、そのデータを保管・加工して、価値をつけてお戻しをしたり、特定のサービスに連携します。というものです。データのハブ、と捉えて頂くとわかりやすいかと思います。ただのハブなので、あくまでも、データの所有権は預けて頂く企業様のもの。私たちがデータの所有権を主張するものではありません。なので、データの転売なども行いません。純粋にシステムとして、データ活用の次元をひきあげるようなものをイメージしています。

考え方としてとても近いものにiPaaSとかがありますが、あんな感じでさくっとデータ連携して一瞬で新しいサービスが完成したら、ものすごく素敵だと思いませんか。エンジニアリングの知識が不要で、さくっとお客様むけに新しいサービスがつくれたり、従業員向けのサービス、または従業員の負担を減らせるサービスがとても簡単につくることができる。IT人材不足の世の中には、そういうサービスがあってもいいんじゃないかと思っています。

まさにいま、たくさんの小売企業さまが悩んでいる「IT化の遅れ」の課題。そしてIT人材不足の課題。経営が求めるスピードに実態がなかなかついていっていない課題。情報卸なら、これらを解決できるのではないか、と考えています。

ありがたいことに、D&Sソリューションズの親会社である「日本アクセス」という食品卸の会社は、とてもたくさんの小売企業さまとメーカー企業さまとのお取引に恵まれていて、現場の方から経営者の方まで、とてもたくさん、そして深く悩みを聞く機会を頂くことができました。(超ざっくりいうと、日本アクセスは2,000社の小売企業さまと10,000社のメーカーさまに支えられています。ほんとにありがたい限りです。)

みなさんが口をそろえておっしゃるのが、
・IT人材・専門家が社内にいない・採用もなかなか集まらない
・初期費用が高く、そのわりに効果が高い保証がなく、踏み切れない。
・そのため社内を説得するのに高いハードルがある。

まずはそれを解決しよう、と思いました。
呆れるくらいど真ん中の、なにも裏技もない正攻法です。小手先で解決できることはいくつかありますが、それだと長期的にうまくいかない。なので、正攻法を、まじめに、ただし超高速でやっていく。そんな事業です。

・IT人材が社内にいなくても実現できる方法を考える。
・効果を証明する。
・初期費用を徹底的に減らす。

そのため、情報卸の仕組みは初期の開発費用を頂いていません。オプションはいろいろありますが、基本的なサービスとしては、1店舗あたりの費用を基準にサービス提供をしています。

そして、開発リスクは私たちが背負うと決めています。導入してみたけれどうまくいかなくて、チューニングするのはあたりまえ。そのたびに今期の予算はもう用途が決まっているから、その開発は来年度で・・・とやっていたら、世の中のスピードについていけません。しかしながら、現在のほとんどの取組はそういう予算組みになっていることが多い。だからこそ、必要だと思う機能は私たちが責任を負ってサービス開発をしないと、進まないと考えています。

SaaSだと当たり前に提供されていますが、小売の世界ではまだそれが主流ではありませんし、それが適応できる領域も実のところまだ広くありません。

情報卸のサービスは、みなさまからお伺いした「悩み」から生まれたサービスです。少しずつではありますが、まさに日々、お役に立てる実感があってうれしく思っています。

ぼくらが信じてる未来は、やっぱりぼくらが実装したい。

これはもはやプロダクトの作り手のエゴなのですが。

やっぱりプロダクトをつくるのが好きなんですよね。みんなが困っていて、それに対して解決できることがある。お客さんと会話していて、もっとこうしたらいいのにな、こうしたら解決できるじゃん!ってやっぱりたくさん出てくるんですよね。

でもそのほんとに深いところを追求するには、やっぱり自分たちで作りたい。自分たちで作るから、迅速な軌道修正もできるし、想定していなかったケースへの対応のスピードもはやい。失敗したらやり直せる。足りなければ追加できる。全部リスクを背負うから、どんどん挑戦できる。結果として、お客さまに満足していただけるプロダクトになっていきます。自分達自身がデジタルトランスフォーメーションしていかないと、サービスにもやっぱりそれは現れてこないですよね。やるならまずは自分達自身から。

そして、そこまでこだわる!?みたいな部分の追求こそが、本当の品質になると思っています。ここでいう品質は、デザイン面だけではなく、機能面、使い勝手、操作性、運用のしやすさ、社内のオペレーションまで考慮した複雑なところにまで絡む話なので、難易度はそこそこ高いと思っています。もちろんベンチャーなのでバランスは失わないようにしながら。(難しいですよね常にこの問題)

青臭いかもしれないけれど、ぼくらのできるチカラの全てをもって、理想を実装していく。普通ならなかなか出来ないそんな意思決定ができる、そんなワガママを通してくれたみなさまには本当に感謝しています。

このRETAILSTUDIOの導入によって、DX化のスピードがぐっと変わる。そんな世界を目指しています。

小売に特化した機能群 : RETAILSTUDIO APPS

私たちが提供する「RETAILSTUDIO」というデータの倉庫にデータを預けていただければ、すぐに使える機能群として用意しているのが「RETAILSTUDIO APPS」です。

小売企業に特化したアプリケーションを複数用意しており、これがあるからこそあっという間に課題解決ができる仕組みにしています。

実はここも結構DXが進まない要因の一つだったりするのですが、基幹側の言語や気持ちと、webサービス側の言語や気持ちが、全く噛み合わないんですよね。当たり前といえば当たり前なのですが。責任の範囲も異なりますし、やりかたも目指していることも違う。憲法も言語も違う、まったく別の国。なので実はその距離がすごくある。そこをつなぐのがRETAILSTUDIOでもあります。どっちの憲法も言語もわかってる。間にいる価値ってまさにここだなーと。

また、これは考え方の話なのですが、システムを作るコスト+運用するコストの総和を効果として利益を創出するまでの時間軸とリスクの大きさで考慮しなくてはいけないと考えています。

・作ることが目的になっていないか
・そのコストを投下して、どれぐらいの機能が実現できるか
・そのコストはどれくらいで回収できるか
・それは成功する確率はどれくらいなのか
・失敗したときにそれは他の選択肢に切り替えられるのか(サンクコストがどれくらいまで許容できるのか)

スーパーマーケットでやりたいことは、結局のところ各社ともかなり似たようなことで、ある程度は共通化できてしまいます。チラシという「紙そのもの」は同じでも中身が違う。それと同じで、同質化の領域がどこで、逆にどこで戦うべきなのかということを間違って判断してしまうと、この仕組みそのものを作ろうとしてしまいます。

そうなると、もともとITの資本として潤沢にあるわけではないにも関わらず、そのうちの大きな部分を機能としてのものすごく基本的な部分に投下することになる。その結果、残ったリソースでの戦いになるので、差別化できる部分(顧客サービス側に見える部分)に高い品質のものが提供できなくなることが多い。こういうプラットフォームをどう上手に活用できるか、そしてベースのレベルを一気に上げた上で、その先の戦いをどうするかということに資本を集中した方が、明らかに戦い方の幅が広がります。鉄砲をゼロから開発しようとせず、自社の戦略と目標が達成できる鉄砲を探して調達することがとても重要です。むしろ、鉄砲は汎用的なものでもよくて、鉄砲隊の人数や練度を向上させることのほうが重要なケースも多々あります。

これからリテールDXに取り組もうとしている方と、いろんなディスカッションをして、いろんな挑戦をしたいとおもっていますので、お気軽にお声がけください。

創業メンバーも超募集中です!(あまりに社内ベンチャーすぎて、いろいろ整いすぎてなさすぎて、日本アクセスでの採用のうえでのD&Sへの出向です)


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