マガジンのカバー画像

100
詩のまとめです。暗いの多め。
運営しているクリエイター

2014年10月の記事一覧

明日

明日

痛い痛い痛いの針を
何度もただただ心臓に刺す
足りない足りないまだ足りないんだ
悲しみは喉の奥で渦をまく

速くなる鼓動 耳の奥に響く鼓動
針にまみれた心臓でだって生きられるんだ
暗闇の中 ただひとつの光もなくって
僕はまたひとり明日へと落ちていく

脊髄

脊髄

麻酔を一滴脊髄に垂らして
僕は君の骨を拾う

この先にはなにもなくて
この後にもなにもなくて

涙は流れない
涙は流さない

涙は溢れない
涙は零れない

渇いた目をそっとなぞる
僕の目は明日も昨日も見てはいない

君の骨を握りしめて
麻酔をもう一滴脊髄に垂らして
僕は何もない明日へ歩き出す

!

手も足もしばられて
拘束された台の上
しろいからだ

咽喉を切り裂け
腹を切り開け

ほら そこに
真実が見えるって言うんだよ

管を差し込んで
ほら お薬もあげましょう

そしたら
真実が見えるって言うんだよ
それこそが絶対だって言うんだよ

台の上

白いからだ

もう動かない

真実は、

それだけ。

いのり

いのり

手をつないで
長く長くのびた影

空はどこまでも高くて
僕らは祈りがどこまでも無意味なことをしってたよ

長く長くながくのびて
消えていった君の影

無意味な祈りを捧げたままで
消えられなかった僕の影

僕はひとり、透明な世界で。

指の先の海

指の先の海

指の先に海を乗せた
青く煌めくそれは手首をしたたり落ち
世界を青に染めた

君を見つけられない僕は
青い世界の中
青く染まっていく体をただ眺めた

君の名前を呟こうとして
あ、あ、君の名前も思い出せないで
ただ、青く、青く、全てが青く

陰

君は世界は煌めいて見えるという
そんな君を僕は眩しくて見つめられない

僕に与えられたものは身を引き裂くような痛みと
このどうしようもない空洞ばかりだ

目をそらして
暗闇を覗いた
僕を包み込む影の中で
なぜかひどく安心した

なぜかひどく安心した

反吐

反吐

さよならを塗り重ねて
僕はいつまでもここに座ったまま
空高く放り投げたはずの感情はいつの間にか降り注いで僕の首を絞め上げる
白く白く 視界はどこまでも白く
眩暈がする
頭痛がする
吐き気がする

恐怖

明日の手から逃れようとして手首に引いた線
叫び声は飲み込まれ
喉の奥で砕けて散った

ぐるぐるとぐるぐると回る視界を
青と白の世界に塗りたくってしまえ

ここには怖いことばかりだ
ここには怖いことばかりだ
ここには怖いことばかりだ

狂騒の夏
僕は音の海に溺れる
腐乱した季節
ゆるやかな死
君の指は熱を帯び
囁き声は風に乗って流れた

心臓に悲しみの棘が刺さって
痛いなぁ
痛いなぁ
呟いて、呟いて

燦々

煌めく夜
深く静かな海を
君は水尾を引いて駈けていく

息を潜めた僕は
水面の下からそれを眺めている

長く長くたなびく線

君は両手を広げ
凛と水尾を引いていく

暗がりの僕は
君が放つ光を受けて
微かに煌めく自分を見つけた
#詩

嵐が来る

どこか遠くで発砲音
僕はクラッカーを手に外へ飛び出す

ごうごうごうと花が散る
強い風
僕は目を眇める

ひらひらと蝙蝠傘
引き千切られてバラバラに
ここには壊れたものばかりだ

クラッカーから花が咲く
発砲音
耳の奥に突き刺さった

ごうごうごうと花が舞う
強い風
なにもかもが天へ舞う

ひとり空を見上げ、僕は。