◇マテリカの秘書がエネルになる前の話◇


時刻は午前2時、役人のジジイたちの尻拭いをするのは決まって俺だ。

「はぁ〜い!これで本日の任務は終了よ〜!」
「おう、ご苦労さん。あがっていいぞ」

そう言ったが、
俺の前に立つ影はなかなか消えず、不思議に思い、顔をあげると

「…うふっ、まだやってないことがあるのっ!」

目の前の秘書……オカマの秘書が、腰をくねくねと動かしていた。

「さっさと済ませて帰れ」
「さっさと、ね…OK、了解っ♡」

オカマは機嫌よく返事をすると、素早く且つなめらかな動きで俺の机の上を超える

「残業代はいらないわよン」

気づくと、視界はオカマの顔でいっぱいになっており、しばらく身動きをとることができなかった。

人は本当の恐怖に陥ると、思考が停止し、頭が真っ白になる。俺はこのとき、恐怖していたのだ。

流れるように、頬に両手が添えられ、そのまま唇を奪われた。

うだるように暑い、夏のことだった。

蝉の鳴き声が、妙に耳に響いていたことを今でもよく覚えている。

「…んむぁっ♡…good night♡ダーリン♡♡♡」

俺は3日間寝込んだ。

◇マテリカの秘書がエネルになる前の話◇end

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