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ソラを見上げて #26 開かずのトビラ

2023年。久保の死がもたらした悲しみは消えず  
乃木坂46は新年を迎える。

1月7日
一期生の秋元真夏が2月26日をもってグループ卒業を発表。2月に予定されていた11thYearBirthdayLiveの5日目に秋元真夏卒業コンサートを開催することも発表された。


2月17日
11thYearBirthdayLive開催直前、二期生の鈴木絢音が3月28日をもってグループ卒業を発表。卒業当日に鈴木絢音卒業セレモニーが開催される事も併せて発表された。


2月22日
11thYearBirthdayLive開催。Day1全体ライブのサプライズとして掛橋沙耶香が電撃復帰、会場のファンを驚かせた。

ライブ終盤、秋元真夏から乃木坂46三代目キャプテンを梅澤美波が務める事が発表。続いて副キャプテンには林瑠奈が就任する事が発表された。


2月26日
秋元真夏卒業コンサート(Day5)では32枚目シングル表題曲【歩く前に走り出せ!】を発表。5期生の菅原咲月と井上和のWセンター、その両翼を山下美月と賀喜遥香が務め、新生乃木坂46の幕開けとなった。曲調はインフルエンサーを彷彿とさせる高難度のダンスナンバーで、ファンの間では白石・西野の再来と謳われた。更に初選抜組が多く、掛橋沙耶香は約一年ぶりの選抜復帰を果たす。


2月28日
三期生の吉田綾乃クリスティーが32枚目シングルの活動をもってグループ卒業を発表。


3月20日
公式サイトにて齋藤飛鳥卒業コンサートを5月17日、18日に東京ドームで開催される事がアナウンスされる。


3月28日
鈴木絢音卒業セレモニー開催。グループを卒業した二期生メンバーの多くが駆け付け、鈴木は大粒の涙を流しつつ笑顔でアイドル人生の幕を閉じた。


4月30日
吉田綾乃クリスティー卒業パーティを乃木坂工事中番組内の企画で開催され、大園桃子がビデオメッセージで番組出演。同日、吉田綾乃クリスティーがグループを卒業。


5月8日
2023年7月から8月にかけて「真夏の全国ツアー2023」を開催する事が乃木坂46分TV並びに公式サイトで発表された。

【ツアー日程】
7月1日(土)、2日(日)
北海道公演(真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)

7月12日(水)、13日(木)
大阪公演(大阪城ホール)

7月15日(土)、16日(日)
広島公演(広島グリーンアリーナ)

7月22日(土)、23日(日)
沖縄公演(沖縄アリーナ)

8月5日(土)、6日(日)
愛知公演(日本ガイシホール)

8月14日(月)、15日(火)
宮城公演(セキスイハイムスーパーアリーナ)

8月25日(金)、26日(土)、27日(日)、28日(月)
東京公演(明治神宮野球場)


5月18日
齋藤飛鳥卒業ライブ開催。多くの卒業生が見守り、後輩が涙し、飛鳥の背中を見送った。この日、一番涙を流したのは言うまでもなく遠藤さくらだった。


5月22日
四期生の北川悠理が6月末をもってグループを卒業する事を発表。


6月18日
グループの冠バラエティー番組『乃木坂工事中』内で、8月23日に33枚目シングルを発売することが発表された。また、翌週(6月25日)の同番組内で選抜メンバーが発表された。

センターを務めるのは5期生の井上和。また一列目は左から山下美月、賀喜遥香、井上和、遠藤さくら、岩本蓮加。3期生の中村麗乃と5期生の池田瑛紗が初選抜入りを果たし、3期生の伊藤理々杏が10作ぶりの選抜復帰となった。


7月22日
真夏の全国ツアー2023 沖縄公演で8月23日に発売される乃木坂46の33枚目シングルが初披露され、タイトルが「おひとりさま天国」であることが明らかになった。


8月28日
猛暑の中、明治神宮野球場で4日間のライブを終え、乃木坂46真夏の全国ツアー2023が終了。梅澤美波はツアー期間中に体調を崩しライブを数日休演した事をファンへ謝罪。


9月某日
一部のファンが『梅のキャプテン就任があったのに、バスラと全国ツアー21公演を通して空扉がセットリストに入っていないのは不自然』とSNSへ書き込み、瞬く間に拡散。ファンの間で大きな波紋を呼び、昨年11月に今野が予測した事態が現実となる。


10月30日
グループの冠バラエティー番組『乃木坂工事中』内で12月6日(水)に34枚目シングルを発売することが発表された。また、翌週(11月5日)の同番組内で選抜メンバーが発表された。

Wセンターを務めるのは4期生の賀喜遥香と遠藤さくら。また一列目は左から山下美月、賀喜遥香、遠藤さくら、岩本蓮加。3期生の向井葉月、4期生の黒見明香と5期生の冨里奈央が初選抜入りを果たした。


11月8日
2023年12月6日(水)に発売する乃木坂46 34thシングルのタイトル名が「Monopoly」に決定。




(2023年10月某日)

―乃木坂46事務所・会議室―

今:バスラと全国ツアー。少なくとも来年までは騒がれないと思っていたが、梅澤にスポットライトが当たらない事に違和感を感じたか……

(SNS上で飛び交う噂や、公式宛に届いたメールを印刷した紙を持っている今野と梅澤)


梅:私が説明します。

今:説明? 説明ってどこまで話すつもりだ?

梅:それは……これから考えます。

今:しなくていい。これまで通り、活動を続けてくれ。

梅:ですが、現にこうやってネット上で  

今:なら正直に全部打ち明けるのか? 久保の事で私は空扉が歌えなくなりましたって。

梅:……

(黙って俯く梅澤)


今:ここに書かれているコメントや意見のほとんどは空扉を聴きたかったファンの声だ。期待の裏返しだと思っていればいい。

梅:期待……

今:俺だってそうだ。諦めてないからな?

梅:何を、ですか?

梅:梅澤がもう一度空扉を歌う日が来る。いつか、きっとな。

梅:今野さん……

今:ファンに対して申し訳ない、辛いと感じるのは心の中で戦ってる証拠だろ。それなのに今、口に出しちまったら本当に歌えなくなっちまうかもしれないだろ!

梅:でも、私はもう歌えないんです。歌う資格なんて無いんです。

今:空扉は……梅澤、お前の曲だ。お前がセンターなんだ。資格もクソもあるか! 梅澤が乃木坂にいる間は他のメンバーにセンターを務めさせるつもりはない。

梅:お気持ちは嬉しいです。ですが  

今:だから待ってる。いつか、乗り越えるまで。すまないな、諦めが悪いんだ、俺。

梅:……

今:とにかく、今はまだ慌てる様な状況じゃない。デカい声を出してすまなかった。俺の話は終わりだ、帰ってゆっくり休め。

梅:ご心配かけてばかりですみません。失礼します

(梅澤が退室すると、携帯電話を取り出し、どこかに連絡をする今野)


今:俺だ、夜分にすまない。来年のバースデーライブの事なんだが……あぁ、まだ無理だ。申し訳ないがセットリストから外しておいてくれ。インスト? 当然だろ。それとラジオとテレビもNGだ。……分からん、だが今はこうするしかない。頼んだぞ。



(数日後……)

ー遥香の自宅・リビングー

遥:瑠奈がいきなり家来るなんて珍しいやん。どうしたん?

林:ん、ちょっと相談したい事があってさ。

遥:どんな相談?


林:梅澤さん、最近変じゃない?

遥:変って?

林:うまく言葉で言えないんだけど、なんか全部先回りされてる気がして

遥:先回り……ごめん、よくわかんない。

林:う〜ん、なんていうかその……私が言おうと思った事とか、メンバーへの気遣いとかさ、いつもより早いっていうか、つけいる隙が無いっていうか。


遥:美波さんが察して動くのは今に始まった事じゃないんじゃない? 元々誰よりも気配りして、スタッフさんにも声かけるし。

林:う〜ん。

遥:考えすぎじゃない?

林:そうだとしても……ここ半年の私は何もしてなさすぎる。

遥:就任したばっかじゃん。

林:副キャプテン失格だね、私。後輩に気配りする余裕も無いし……


遥:そうやってすぐ結論出すの、瑠奈の良くない所だよ?

林:ごめん。

遥:とりあえずご飯食べよ?

林:うん。

遥:じゃあ買い出し行って来る。

林:私も行くよ

遥:いいからいいから、今日は私が美味しいグラタン作ってア・ゲ・ル♪

林:ありがと

(満面の笑みで出掛ける遥香)



(20分後……)

【玄関の方からバタバタと大きな音がする】

遥:はぁ……はぁ

林:かっきーどうしたん? って、何も買ってないじゃん。

遥:コレ見て。


林:え、コレって週刊誌?

遥:いいからこの記事見て!

林:記事? ……え、うそでしょ?



2023年10月某日、週刊誌に【齋藤飛鳥、失踪】という記事が掲載される。関係者への取材で6月末日までの仕事を最後に連絡が取れない状態になっている事が分かった。7月以降の仕事は一切無く、消息は不明のまま。乃木坂46合同会社へ回答を求めたが期日までに回答は無く、沈黙を守っている。

ファンの間では2017年2月に卒業した橋本奈々未と同じく芸能界を引退したのではないかと憶測が飛び交い、大きな波紋を呼んだ。

ーつづくー



【おまけ】

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