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人生初個展を経験した感想

どうもみなさま、おはこんばんちは。
イラストレーターの「みえ」です。
2023年11月23日〜26日の4日間、なんと、人生初めての個展を開催しました。はやいものでもう1ヶ月経ってしまいましたが、レポ記事を書いていきます。ほんっと時が経つのはやすぎて嫌んなっちゃうよね。年の瀬だわぁ。

なぜ個展をやろうと思ったか

イラストレーターとして活動しはじめてから、はやいものでもう5年(!)が経とうとしているのですが、当初は自分が個展を開くことになるなんて、これっぽっちも思っていませんでした。

活動を続けていくうちに、イラストレーター仲間と出会い、デザフェスなどのイベントに出展したり、好きなイラストレーターさんの個展に行ってみたりする中で、自分も個展をやりたい!という思いが強くなっていきました。

どんな作品を並べて、どんな空間にしようかなって妄想するのが楽しくて、これはもうやるしかない!と思って、まずは「個展をやる!」ということだけを決めました。

個展当日までにやったこと

①いつやるか?を決める

まず「個展をやる!」ということだけを決め、とりあえずいつやるか?を決めました。暑すぎる時期と寒すぎる時期、あと花粉の時期は避けたいな〜と思って、そうなると秋か〜、自分の誕生日もあるしひとまず10月末ごろにしよう!と決めました。これを決めたのが2023年の4月頃です。約半年先の予定。準備期間は余裕を持っておきたかったので。

②どの街でやるか?を決める

ギャラリー探しをするにあたり、まず、どのエリアでやるか?を決めました。
とりあえずまあ漠然と「都内だよな〜」と思ってはいたものの、都内にとくに思い入れが強くある土地もないしな〜って感じだったのですが、俳優をしている友人が出演する舞台を見に何度か下北沢に行ったことがあって、下北沢の雰囲気がすごい好きだな〜と思ったのがきっかけで、よし、下北沢でギャラリーを探そう!ということになりました。

下北沢は、新宿や渋谷から近くてアクセスもいいし、それでいて新宿や渋谷みたいに賑わいすぎていることもなく、サブカルチャーの街としてファッションやアートに関するいろんなものが集まっていて、意外と古くからの住宅街もある。おしゃれな若者もいれば、サブカルっぽいおじさん、赤ちゃんをチャリに乗せたママさんから腰の曲がったお年寄りまで、本当にいろんな人がいて。最先端の文化と、古くからの文化、人々の生活を身近に感じられるようなところがすごく魅力的だなと思ったんです。

たぶん、友人が俳優をやっていなかったら、下北沢に来ることはあまりなかっただろうし、個展もやっていなかったかもしれません。

(余談ですが、昔働いていた会社の本社が代々木八幡にあって、たまに本社に行く時に見ていた小田急線の車窓からの景色が、なんだかめちゃくちゃ好きだったんです。たぶん小田急線沿いの雰囲気が好きなんだと思う。)

③どのギャラリーでやるか?を決める

エリアを決めてからはあんまり苦労することもなく、サクッとギャラリーが決まりました。
事前にネットで「下北沢 レンタルギャラリー」とかで検索して、何件かめぼしい場所をピック。口コミや料金などをWebサイトで確認して、候補を絞りました。駅から遠いと利便性があんまよくないので、徒歩10分を超える場所は除外。そして実際に現地に足を運び、立地や内装、人通りなどを確認しました。今回候補にあがったギャラリー様はこの5つ。

ギャラリーHANA
武蔵家画廊
ギャラリースペース スプラウト
ye@shimokita
ESPASE SHIMOKITAZAWA MONA

それぞれ良いポイントはたくさんあったのですが、実際に足を運んで、一目見た時に「もうここしかなくない?」と思ったESPASE SHIMOKITAZAWA MONAさんに即決しました。なんといっても立地の良さ。駅徒歩3分で、人通りも多い。相向かいにはコンビニ、両隣は古着屋さん、上はカレー屋さん。角地で窓も大きく、外から中がよく見える。そして料金も破格の1日1万円(販売手数料約30%)。内装も狭すぎず広すぎずちょうどいい!!

隣にあるお洋服屋さんを運営している会社さんがギャラリーも管理していて、何かわからないことがあればすぐに隣の店員さんに助けを求められて、レジの使い方も教えてくれました。

他のギャラリーさんがどうかはわからないのですが、レジの締め作業も毎日隣のお店の方がやってくださり、売り上げを確認することができました。鍵締めなども全部お店の方がやってくれるので、こちらは毎日時間になったらただ片付けて帰るだけ。初めての個展でなにもわからず、お金の管理とかも得意な方じゃないので、それはもうべらぼうに助かりました。またお世話になりたいです。個展をやりたい!と思っている方には全力でおすすめするギャラリーさんです。

実際に下見に行った後、Webサイトから予約したい旨を連絡し、スケジュールを確認させていただいて日程を決めていきました。希望していた10月末はは先客がいたので、最終的に11月23〜26日の4日間で決定。結果的に飛び石連休だったしよかったです。秋は結構予約がたくさん入るらしいです。みんな考えることは同じなのかもね。

④テーマを決める

テーマは作品作りと並行して練っていった感じにはなりますが、わりとずっと「どうしよっかな〜」って思ってて、なんとなく学生時代に作ったものとか絵とかを見返したくなって実家でいろいろガサゴソやっていたら、中3の時に描いた絵が出てきたんですね。

「将来の夢」みたいなテーマだったと思うんですけど、当時はファッションデザイナーになりたかったので、そんな感じの絵を描きました。背景や髪色がやけにオレンジ色なのは、当時ORANGE RANGEにどハマりしていたからです。上海ハニーと浜辺社交ダンス。

これを見て、あ〜懐かしいな、そういえばファッションデザイナーになりたくて、そういう専門学校も行ったなあ。結局ファッションデザイナーじゃなくて靴デザイナーになったけど。ちょっと違うけどまあ広義でいえばデザイナーではあるし、夢は叶ったんだね。って思ったらなんだか感慨深くて、この絵のアンサーになるようなテーマにしようと思いました。これが7月とか8月くらいかな。

オレンジ色とORANGE RANGEで思い出したんですが、「わたしのオレンジの片割れ」というスペインの諺がありまして。この言葉がかなり好きで、一時期自分のハンドメイドブランドをつくろうとしていた時期があって、ブランド名にしようとしていたくらいなんですけどね。「半分に切り分けられたオレンジにぴったり合わさるのは、もう片方のオレンジだけ」ってことで、「生涯のパートナー」とか、「かけがえのない大切なもの」っていう意味があるんですって。もうね、これじゃん!ってなって。個展のテーマというかタイトルは「ORANGE」に決定しました。

中学3年生のわたしが描いた絵に、今のわたしがボトムスと靴をあつらえているシーンです。我ながらエモい絵が描けたと思います。9月のコミティアで宣伝用にポストカードを刷って、同じものを50枚ギャラリーさんに納品しました。普通に誤植があります。やっちまいました。

⑤作品作り

ギャラリーが決まったら、空間をどのように使うか?をイメージするために、定期的にその場所で行われている展示を見に行きました。
そこで自分の作風に合いそうなレイアウトとかをなんとなくイメージしていって、どんな作品を何点くらい作ろうかな〜って考えていった感じです。

ギャラリーの方に「一般的なサイズのイラスト作品だったら、だいたい20点くらいかしらね」というアドバイスをいただいたので、とりあえずそれくらいの数の作品を揃えようと思って制作しました。

下北沢という土地柄、海外の観光客の方もかなり多いので、日本っぽい感じを落とし込めたら面白いかな〜と思って、浮世絵風の絵柄にチャレンジして掛け軸を作ったり、お寿司を靴デザインに落とし込んだファブリックパネルを作ったり、せっかくならイラスト以外の作品も作りたいな〜と思ってポーチを作ったりしました。

あとは原画類。個展をやるならアナログにこだわりたいな〜と思っていたので、アナログはとくに「自分にしか描けない」絵にしようと思って制作しました。

普段とはけっこう違うテイストのイラスト。異頭シリーズです。

けっこう評判がよかった靴シリーズ。ハトメをあけて紐を通したり、立体的なリボンをつけたり。靴屋ならではの作品になりました。

普段は主に靴とかギャルとかを描いていて、「わたし=ギャルの絵」と認識してくださっている方も一定数いると思うので、過去の絵も展示したい、けどキャンバスパネルはなんだかな〜(作っている人多いし、アナログ作品みんなキャンバスだし、ありきたりすぎるかなって)と思って、過去のギャルズイラストは、ちょっといい感じの画用紙に印刷して直筆サインを入れ、おしゃれな感じに額装しました(手前の3つ)。アクリルの額縁でどうしても紐の部分が隠せなかったので、100均でアクセサリー用のチェーンとカニカン買ってきて取り付けました。けっこういい感じになりました。

あとはデザフェスやコミティアの時につくったポストカードやイラスト集、自分の著書などをグッズ類として販売しました。

そしてちょうど別件で亡き祖母のちぎり絵作品を整理していたというのもあって、せっかくなら展示しちゃおう!ってことで2点ほどお気に入りの作品を持っていきました。

本格的に作品を作り始めたのは、個展の1ヶ月ちょっと前、10月に入ってからでした。ほんとは9月くらいからやり始めたかったのですが、中国出張があったり会社が爆発したりして色々大変で手が回らず、結局10月中頃から有休消化で家にいたので、転職活動をしながらなんとか間に合いました。結果オーライ。無職サイコー!

⑥梱包材や備品の準備

これも毎回イベントのたびに細々したものを買い足したりして大変なんですが、今回準備してよかったなと思ったのがこちら。

ほんとにちょうどいい伝票が売ってなくて、ん〜たかが伝票、されど伝票だよな〜、妥協すれば100均で済ませられるけど、え〜〜でもこういうところにこそこだわりたいよね〜〜〜〜って結構悩んだ末に、1冊6,000円くらいで複写式のオリジナル伝票を作りました。100均だったら60冊買えちゃうね!!でも満足。だってかわいいから!!!

スピード伝票.comさんというところで作りました。おすすめです!

あとはオリジナルのスタンプ。
最初は消しゴムハンコで作ろうかと思ったのですが普通に無理でした。

髪の毛の部分の再現度すごくないですか?ちょっとあたい感動しちゃいましたよ。ほんでカインズで買ってきた梱包用の袋にぺたぺた押してました。
最初は自分のロゴ入りの袋を発注しようかと思っていたのですが、結構高いし、そんなに数いらないしな〜って思って、ならスタンプでいんじゃね?ってなってスタンプにしました。これでたしか3,000円とか。かなりいいです。アスクルのスタンプ専用サービス「パプリ」でつくりました。アスクルの一族なので明日来るし急いでいる方にもおすすめ。

あとはもういつものごとく、陳列用のこまごましたものとかを100均やホムセンをかけづりまわってさがしまわる日々でした。

⑦搬入

搬入は個展初日の前日の昼過ぎくらいから行いました。
レイアウトのシミュレーションはしていたし、作品も壁に貼るだけだしそんなに大掛かりなことはしないので、余裕だろと思っていたけどところがどっこい、普通に終わりませんでした。笑
意外と作品をきれいにぴっちり展示するのが大変で、レーザー墨出し機を買えばよかったなあと後悔しました。迷ってたんだけど別にいいかな〜って思って買わなかったんですよね、これがあったらもう少しスムーズにできていたと思います。

そして、個展当日

とにかく初日は忙しい

初日が祝日だったということもあり、友人知人がたくさん来てくれて、とにかくずっと休む暇もなく色んな人に会うことができてとっても楽しかったです。握手会で行列が途絶えないアイドルになった気分でした!

ゆーて暇だろうなあ、お昼ご飯どこに食べに行こうかな、上にあるカレー屋さん気になってるんだよな〜と思っていたけど、そんな暇はありませんでした。トイレに行けたのも夕方5時くらい。漏らさなくてよかった!笑

2日目以降は比較的落ち着いていて、お昼ご飯も食べる余裕がありました。といっても相向かいのファミマでおにぎり買って食べるくらいだけど。

下北沢という場所

先にも少し触れましたが、下北沢は本当に色んな人がいるので、色んな人が来てくれて面白かったです。ショッピングに来ている若者、観光に来ている海外の方、近くに住んでいるおしゃれなご年配の方などなど。

世田谷区という高級住宅街なので、近くに住んでいるご年配の方は皆様とても品が良く、アートにも知識や関心がおありの方が多くて、散歩がてら下北沢を散策し(とても羨ましい)ギャラリーにふらっと入ってこられて、作品を褒めてくださったり、祖母の作品にもいたく感動してお迎えしてくださった方もいました。

デザフェスやコミティアなどのイベントでは基本的に若い方が多くて、ご年配の方に作品を見てもらう機会ってまずないので新鮮でした。

あとは従姉妹が近くに住んでいて、4日間お手伝いをしてくれていたのですが、従姉妹の子供達のお友達(小6)もたくさん来てくれて「かわいい!かわいい!」「まじ最高空間!」「本(著書)買って明日学校もっていってみんなで勉強します!!」とか言ってくれて、もう本当に嬉しかったです。みんな学校で配られたiPadにアイビスペイント入れてお絵描きしてるんだってさ。羨ましすぎてお姉さん泡吹いて倒れちゃったよ。おまけに地元が下北沢でしょ。う、うらやましすぎるゥッッッ!!!

あとテーマが「ORANGE」で、スペインの諺をもとにしていたこともあり、そういう解説文みたいなのも展示していたのですが、それを見たスペインの方がカタコトの日本語で「わたしはスペイン人です。とても感動しました!」って言ってくれてめっちゃ嬉しかったり。

最終日、ピンク色の髭をたくわえたとてもアーティステックなおじさまが「作品どれも安すぎますよ!」と言ってくださり、わあ、アートに精通してる方なのかな?と思って「なにかアート系のお仕事を?」って聞いたら名刺をくださって、後で検索させてもらったら、なんと誰もが知っている某有名漫画の実写映画で特殊メイクを担当されていた方だったり。ふぇぇぇぇ、そんなすげえ方になんて失礼な発言を…!!ってなったり。

とにかく本当にいろんな出会いがあって、最高でした。

売れたもの

ポストカードやステッカーなど、小さくて単価が安いものはよく売れていました。
意外だったのはポーチ類がよく売れていたこと。

若干強気な値段にしていて、ましてや巾着やポーチなんて今の時代100均でもかわいいのたくさん売っているのに、意外とみなさん手に取ってくれて旅立って行ったので嬉しかったです。結構こだわって綺麗に作ったからたくさん使ってあげて欲しい!

ポーチ類が思いのほか早めに売れていっていたので、急遽、原画アクキーを追加しました。こちらも若干強気な値段にしたんですが意外と売れてくれたので嬉しかったです。

大きな方の原画はやはり値段が少々張るので、あまり売れませんでした。

数点売れた中で分析してみると、海外の方にウケるだろうと思って作った掛け軸は意外にも年配の方にウケが良く、床の間に飾るわ!といってウチの叔母が買っていきました。笑

叔母の家もそうなんですが、昔のお家ってなぜか天照大神の掛け軸絶対あるじゃないですか、その近くに飾るらしいです。あと「富士山がはいってるとわたしたち年寄りは嬉しいのよ〜!」って言ってました。たしかに家になじむかもね。笑 ↓の右のコです。

他に原画を買っていってくれた方は海外の方が多かったです。

なんでだろうねって従姉妹とも話していたんですが、これ、わたしもそうなんですけど「こういう作品って、自分で家にいい感じに飾る自信がないっていうか、どうやって飾ったらいいかわかんないんだよね」っていう話になって、それな〜〜〜〜〜ってなりました。主語がでかくなっちゃうけど、日本人ってあまり「絵を飾る」文化が海外に比べて少ないのかなって勝手に思うんですよね。わたしもポストカードとかは壁に貼ってるけど、大きな作品とか額装されてたりすると、どこにどう飾っていいかわかんないもんね。

そう考えたら、もう少し小さい作品で気軽に飾れるものとかでもいいのかなって思ったりもしました。

搬出

搬出は、最終日、通常より1時間早くクローズして、その1時間で完了させました。オットちゃんや従姉妹、従姉妹の夫さんや子供たちも来てくれてみんなで片付けしてギリ間に合いました。まじで1人じゃ終わらなかったのでみんなに大感謝です。

「どれに何が入ってたっけ!?」ってめちゃくちゃ思ったので、事前に梱包する時に入ってるものをメモするなり写真撮るなりして箱に貼り付けとくなどして、片付ける時に慌てないようにする対策が必要だと感じました。これイベントのたびに思ってる反省ですね。精進します。

個展を終えてみて

4日間、それはもう本当に楽しくて、幸せで、毎日これが続けばいいのにって思っていましたが、儚くもあっという間に終わってしまいました。

もし、「個展、やってみたいけど…自分にはまだ早いかなあ…」とか思っているクリエイターさんがいたとしたら!わたしは声を大にして言いたい!!

個展を!やってみたいという想いが!!1ミリでもあるのならば!!!今すぐ!!!!ギャラリーを探して予約するんだ!!!!!と!!!!!!!

とりあえず場所をおさえてしまえばあとはなんとかなるので、ちょっとでも「やってみたい」とか「いつかやりたい」と思っているなら、ぜひやってみてほしいです!個展でしか得られない体験って絶対あるし、それはまじで何物にも変え難いし、最高のガソリンになります!!そして何よりめちゃくちゃ楽しいから!!!!

とにかく楽しくて最高でした、もう語彙を失ってしまうくらいに最高な時間を過ごさせてもらいました。来てくれた方、遠くから見守ってくれていた方、お世話になった皆様本当にありがとうございました!!

いいんですか!?