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補足編 双曲線

 皆様おはこんばんちは。そして,お疲れ様です。

 最近,流体力学を再度学び直してみようと思い,記事にしています。
 今回は,第25回目に予定している「鏡像」で使用する予定の「双曲線」について紹介していきます。


(1)双曲線の一般形

 さて,今回の記事で取り上げる予定である「双曲線」についてですが,実は,現在の教育課程では最初に「2次関数」として中学3年で取り上げ,高校1年の数学Ⅰに再び「2次関数の一般形」をやった後に,高校3年の数学Ⅲで「双曲線」として取り上げられます。大学数学では,オイラーの公式を使うことで双曲線を表現できることも学びます(専門用語でカテナリーという名称で使われます)。今回は,高校3年で扱うものをメインに説明していきます。
 図1に今回取り上げる「左右対称な双曲線」の概略を示します(他には,上下対称もあります)。また,図1に左右対称な双曲線の一般式などもあわせて示します。

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図1 左右対称な双曲線の概略

 この式を学ぶときは,問題を解けることに主眼を置かれるため,上式の証明は意外とやってもスルーされるのではないでしょうか(筆者本人の高専2年以来でした)。では,次項で式(1)の証明をしていきましょう。


(2)左右対称な双曲線の一般式の証明

 では,式(1)を証明する前に図1をもう一度確認しましょう。放物線・楕円・双曲線(2次曲線)で必ず出る焦点F(±c, 0)があります。幾何学で使われる「焦点」は,「2つの焦点からの距離の和が一定となるような点の軌跡」として定義することができます。そのため,曲線上の点Pと置くと,式(1)のように表せます。

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 ここで,絶対値で表される式(1)を展開すると,式(2)のように表せます。但し,PF=√[(x-c)^2+y^2],PF’=√[(x+c)^2+y^2]とそれぞれ置きます。

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 この状態では不完全なので,両辺を2乗して展開すると,式(3)のように表せます。

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 ここで,三平方の定理(もしくは,ピタゴラスの定理)を思い出すと,c^2=a^2+b^2となります。但し,a:底辺,b:高さ,c:斜辺と置きます。式(3)に適用するために高さbを基準にすると,式(4)のように表せます。

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 式(4)を式(3)へ代入すると,式(5)のように表せます。

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 式(5)が,(左右対称な)双曲線の一般式と呼ばれるものです。注意なのが,上式のような双曲線には必ず漸近線が存在します。次項では,双曲線の一般式と漸近線の関係を見ていきます。


(3)双曲線の一般式と漸近線の関係

 では,再び図1を確認していきましょう。双曲線の一般式は式(5)から分かりますが,漸近線はy’=(b/a)xとなります。この関係は,図1の第一象限(x,yともに正の値となる領域)でのみ適用できるものです。
 ここで,漸近線とは何か説明しましょう。漸近線の定義とは,「十分遠くで曲線との距離がゼロに限りなく近づき,曲線と接しない直線」のことを指します。つまり,ここで説明する「双曲線の一般式と漸近線の関係」は,「定義が本当に成立しているのか」を証明することになります。
 式(6)に,第1象限における双曲線の一般式と漸近線の差を示します。

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 ここで,式(6)のxについて極限を取ると,式(7)のように表せます。

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 式(7)はxの値を限りなく大きくした場合を想定しています。この場合,分母の値がかなり大きい値(無限なので,分かりやすく1億や1兆としても感覚的には問題ない)となります。それに対し,分子の値はせいぜい十・百の位の値です。
 つまり,分子の値は分母の値と比較して,圧倒的に小さいことが分かります(小数点第何位になるのかは想像つかないレベルです)。
 よって,あまりに小さい値となるので,「ゼロに収束する」と仮定するのです(通常の場合,小数点第4位の値であればゼロ近似が可能になります)。これが,「十分遠くで曲線との距離がゼロに限りなく近づく」の解答です。

 注意なのは,xを無限としていることです。言い換えると,「有限ではない」ということです。しかし,私たちが使う値の範囲は基本的に有限です。実際の条件では「無限」は仮定の考え方であり,実際には成立しないのです。
 よって,xの値を大きくすれば「ゼロ」には近づきますが,決して「ゼロにはならない」のです。これが,「曲線と接しない」の解答です。

 同様に,第4象限(xが正,yが負の領域)でも成立するかを証明します。式(8)に,第4象限における双曲線の一般式と漸近線の差を示します。

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 ここで,式(8)のxについて極限を取ると,式(9)のように表せます。

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 このように,式(9)で得られる結果は,式(7)の結果と同様になります。今回は取り上げませんでしたが,第2象限(xが負,yが正の領域)は式(9)と同様の結果,第3象限(x, yがともに負の領域)は式(7)と同様の結果が得られます。
 これより,どの象限でも双曲線と漸近線は,「十分遠くで曲線との距離がゼロに限りなく近づき,曲線と接しない」ということが分かりました。


(4)まとめ

 今回の記事のまとめを以下に示します。
(1)双曲線は,左右対称と上下対称の2種類存在する。
(2)双曲線の一般式は,2つの焦点距離→三平方の定理で証明可能である。
(3)どの象限でも,双曲線と漸近線の関係は,「十分遠くで曲線との距離がゼロに限りなく近づき,曲線と接しない」ことが証明可能である。

 以上です。最後まで閲覧頂きありがとうございました。

※本記事は,「鏡像」にて使用する背景知識です。もしかしたら,その他にも使うかもしれませんが…。


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