「人生の勝算」(前田裕二)を読んで~逆境をバネに~

 本書は、show room株式会社の社長を務める前田裕二氏の著書だ。本書の内容は、「今後の夢に向かって突き進む前田氏の原動力を明らかにし、読者自身に人生の生き方を問うている」と説明できるだろう。

 前田氏のこれまでの歩みは、決して楽ではなかった。しかし、それをバネにし、人生の目標へとひたむきに突き進んできたことがうかがえる。
 本書を読んでいて、私は改めて看護師という夢をあきらめた自分が恥ずかしくなった。ましてや、もっともらしい理由であきらめることを正当化しようとしていた。
 前田氏の最大の原動力は、命の終わりを感じた(考えた)ことにあるように私は思った。私自身の体験において、命の終わりを感じたことは3つあった。一つ目は、祖父の死。二つ目は、当時飼っていたプレリードックの死、3つ目は、私自身が事故に遭い意識が回復したときに見た夢のようなものである。
 私が「死」を間近に感じたのは、3つ目の経験からである。この夢のようなものは、夜なのか昼なのか分からない誰もいない世界で、1人きりでシンガポールなどに行っていた。この時の感情を思い返してみると、寂しい、この世界から抜け出したい、まだやりたいことがある、そんなようなことを思っていた気がする。
 だからこそ、「今を一生懸命に生きている」。なぜかと言うと、一秒たりとも無駄には出来ないと思ったからである。

 本書では、「全力で成し遂げたい」という前田氏の熱量を随所に感じた。私は、第6章を読んでいた時に、「看護師として働きたい」という思いが込み上げてきた。今まで、現実逃避かのように理学療法士を目指すと言ったり、医療者を支えたいと言ってみたりした。しかし、具体的な方法・行動というものが、分からなかった。どこか自分の中にある「看護師」という夢に蓋をしていたように思う。

 本書を通じて、寝る間を惜しまず一秒たりとも無駄にしないストイックな生き方をしている前田氏の姿が浮かび上がってきた。熱い思いをもって、地道に努力を積み重ねていくことが「夢」への近道なのかもしれない。

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 この感想は、私が行っている言語聴覚療法のリハビリの課題(セルフトレーニング)としてWordに打ち込んだものです。

 言語聴覚療法では、高次脳機能障害に対してのリハビリとしてたくさんの意見のやり取りを通じて脳を刺激するリハビリを行っています。この感想も、意見交換の切り口になることでしょう。※高次脳機能障害の程度や傷を負った部位によってリハビリの内容が千差万別です。

 リハビリというのは、実生活とかけ離れたことを行うのではなく、生活の中でできることを工夫しながら行っていくことなのかもしれません。もし、皆さんの周りに困っている方がいたら、手を差し伸べてください。そのことが、心のバリア(壁)を取り除くことになるかもしれません。

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