長村さんブログ

元上司との想い出

今日は私の元上司について書きたいと思います。

元上司とは、4月にIPOしたハウテレビジョンの取締役COO、長村さんの事です。

長村さんは、私がリクルートに新卒入社して最初に配属された部署の先輩でした(関西ゼクシィ)。

生まれも育ちも関西の人でしたが、ある日突然「東京のベンチャーに行くんや」と言ってDeNAに転職しました。

少し期間があいた後、私も追うようにDeNAに。

その後お互い異動もありつつ、約2年間は部下として一緒に仕事をしていました。

そして2年間とは思えないほど、たくさんの指導を受け、大きな苦楽を共にしました。

気づけば出会ってから10年以上経ち、お互いの良いところも悪いところも熟知し、別々の環境になっても公私共に関係性が続いている、貴重な間柄です。

ここから先は、印象深いエピソードをいくつか紹介します。

①「名刺の役職名、マーカー引いとこうか」

長村さんがリクルートをやめた理由のひとつ、それは“”チームリーダー“”に選ばれなかったこと。

全国で数名しか選ばれないナレッジ発表者に選ばれたり、複数のPRJリーダーを兼任したりと活躍されていたのですが、正式な役職としての“”チームリーダー“”には、希望したタイミングでは任命されませんでした。

そんな長村さんも、DeNAに転職してしばらくすると大きな部署の部長になったり、合弁会社の取締役になったり、立派な役職がついていました。

その後、私がリクルートで役職がつくと、長村さんはふざけて
「相手に役職者だと確り分かってもらえるよう、マーカー引いとこうか」
と言い、私の名刺の“”チームリーダー“”という箇所を赤く塗りだしました。

自分に役職がないときは役職がついている人がカッコよく見えて、それを得ることに固執してしまうものですが、実際に役職者になってみると、役職そのものには何の意味もないことに気づくもの。

お互いそれを理解しているからこそのコミュニケーションでした。

長村さんはいつもメンバーに対して

「役職そのものは何の意味も持たない。コトに向かい、成果を出せる真のリーダーには自然と人はついてくるし、仮に役職名がついても、成果を出せない人に人は付いてこない。」
という趣旨の前提を伝えた上で

「それでも役職を名乗りたかったら、自分で名刺に手書きでリーダーとでも書けばよい」
と伝えていました。

ところが真に受けて、勝手にメールの署名や名刺に“”リーダー“”と書いて自称する人が現れました。

予想外の事態に、長村さんの対応は?

「何やってんねん、おかしいやろ!!!」

リーダーを名乗った彼とは久しくお会いしていませんが、別の環境で活躍し立派な役職がついているようです。
今なら名刺にマーカーを引いても、きっとギャグだと分かってくれるでしょう。


②「心臓を刺せ!」

後輩の育成が趣味と言えるレベルで好きな長村さん。
難易度の高いミッションをあえて与え、アウトプットが一定のレベルになるまで徹底的に付き合ってくれる、熱心な方です。

ある日、私は採用の部署の来期戦略を考えるミッションを与えられました。

戦略を考える時は、枝葉に拘っても大きな変化は起きない。
大切なのは、確変を起こしうる「一点」にリソースを集中するために、余分な施策を捨てること。

それを分かりやすく伝えるために、熱血指導官は人の絵を描きだしました。

「ええか、お前は殺し屋や。人を刺すときは、いくら手や足を刺しても相手は死なない。狙うのは、どこや? …そう、ここや。」
※ペンで心臓を刺している

「戦略を考えるときも一緒。手や足をいくら刺しても成果は出ない。どこが心臓かを見極める、それが戦略を考えるということや」

誤解を招きえない過激な表現ですが、例えとしては確かに分かりやすかったです。
それからしばらくの間、タタキの資料を持っていくたびに

「まだ手足を見てる感じがするな。ええか、心臓を刺すんやで。」

「…ちゃうやろ、心臓を刺さんと!」

そんなフィードバックが返ってきましたた。

周りでそのやりとりだけ聞いていた人たちは、危ないやつらだと思っていたに違いありません。


③「お前は地蔵か」

広告の事業部にいた時、頻繁にあったのが代理店や広告主の偉い人との会食。

ただ、当時の私はひとまわり以上年上の方々と飲みに行っても正直何を話したら良いか分からず、自然と口数は少なくなっていました。

長村さん:「お前はせっかく同席してるのに、なんで黙ってうなずいてるだけで、何も話さないんや。」

私:「いや…その…」(話題に入っていくの、難易度高いす…)

長村さん:「会食に参加している目的はなんや?飯を食べに来てるだけなら、次から来なくて良い」

もちろん改善を試みましたが、何か話そうとすればするほどどつぼにハマっていき、私の口数はさらに減っていきました。

長村さん:「お前は地蔵か」

悔しくて情けなくて、長村さんが会食中に何を話しているか、分析してみました。
相手により話題は異なりますが、大きく特徴をまとめると以下の3つ。

1.Web広告が今後どうあるべきかという、意見というか志。
2.自社メディアの利用ユーザーはどんな人たちか?スペックではなく定性的に語る。
3.仕事以外の話になったときにはノリが良く、良く笑う。

1~3どれも良く考えられていて内容が濃く、かつバランスが秀逸でした。

私も1や2は自分の言葉で話せるように、考えをノートに整理してみました。
そして新しい発見があったときはノートを更新していきました。

すると、会食の場でも少しずつ話せるようになりました。

また、会食の前には以下のようなポイントを整理し、共有をしてから臨むようになりました。

・会食相手のパーソナルな特徴や、属する部署や会社のミッション
・会食を行う目的
・会食のゴール
・同席相手にお願いしたいこと

同席する上司もどんな役割を期待されているか理解が進むことに加えて、自分自身の立ち振る舞い方を考えるうえで、よい頭の整理になりました。

独立した今も、 他社の社長や年上との会食は時々あります。
そんな時も、私の心の中では長村さんが隣に座っています。

「お前は地蔵か」

注意されないように、今でも緊張感を保っています。


④「あ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ああああああああざぁぁぁぁぁす!!!」


チャットで「ありがとうございます」という言葉を使用するシーンは多いと思いますが、なぜか長村さんはそれを毎回「あ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ああああああああざぁぁぁぁぁす!!!」という言葉で表現していました。

真面目なやりとりしかされていない仕事のスレッドにも「あ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ああああああああざぁぁぁぁぁす!!!」が、突然とんできます。

時には、お礼を言うべきシーンでは全然ないときにも「あ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ああああああああざぁぁぁぁぁす!!!」はとんできます。

ただ、スレッドの場は和み、なんとなくみんなの距離が近くなってた気がしました。

普通は仕事のスレッド上にふざけた内容を送っても、周りの気持ちは冷めるだけ。

感謝の気持ちを少し大げさに伝えるだけで、誰も悪い気にさせず、でも笑いと和みを提供する、絶妙なコミュニケーションでした。

味をしめた長村さんは、マスクを被った謎の男の画像を送りつけるという行動にハマったときがありました。

こっちはちょっとスベッてましたし、目的も不明でした。
もし今もやっていたら、誰かとめてあげてください。


⑤「遠くでガン見する」

私は個人的に、マイクロマネジメントをされるのが苦手です。
自分がやられて嫌なことは人にやりたくないので、チームメンバーをマネジメントするときも、やや放置気味になっていまいます。

ただそうすると、問題が発生したときに一から現状把握をしないと何も分からないので助けてあげられなかったり、成果が出ないときに何が原因か分からなくなったりという事象が発生します。

そんな私に、長村さんは「放置をすることはマネジメントと言わんよ。遠くでガン見せんと。」とアドバイス。

細かく指示をされるのは誰だって嫌。
メンバーの努力のベクトルが合っていて、成果が出ているのであれば何も言わなくて良い。
しっかり評価してあげて、伸び伸び働いてもらう環境を作るのがリーダーの役割。

しかし、進む方向が間違っていた時に、放置してた人が慌てて舵をとり直そうとしてもリカバリーは簡単ではないし、メンバーもついてはこない。

見ていないようで、細部までよく見てて、いつでもサポートには入れるようにしておくのがマネジメント。

その心得を「遠くでガン見する」の一言は十二分に表現しきっています。
ここまでインパクトのあるワーディングが出来る元上司を、今でも心から尊敬しています。

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以上、書きたいことはまだまだありますが今日はそろそろ締めさせて頂きます。
エピソードがもっと見たい方は、「DeNA Quality」について以前書いたブログに出てくるNさんとは長村さんのことなので、未読の方は是非、読んでみてください。

また、序盤にも記載した通り、長村さんとの関係は今でも続いています。
最近は、私が経営するカリーグズという会社からスピンオフした「コムレイズ・インキュベート」が、ハウテレビジョンさんの新規事業を支援させて頂きました。

コムレイズ・インキュベート代表の長谷川と長村さんとの対談記事が出ましたので、こちらもお読みいただけると嬉しいです。

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ありがとうございます!
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Kota Fukuda

CEO of Colleagues, Founder of Find Model, Investment manager of Comrades Incubate.

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