見出し画像

【第一種電気工事士】筆記試験 難問解説  令和3年 午後 第7問

1、はじめに

この記事では、過去に第一種電気工事士 筆記試験で出題された難問について解説していきます。第一種電気工事士の筆記試験では過去に出題された問題がそのまま引用されて出題されたり、数値をかえただけで同じような内容について問われることがほとんどです。過去に出題された難問を繰り返し演習していくことで、筆記試験の対策を効率的に進めていくことができます。

今回は、令和3年度 午後に実施された 第一種電気工事士筆記試験 第7問について解説していきます。

問題
図のように三相電源から、三相負荷(定格電圧200V)、定格消費電力20Kw、遅れ力率0.8に電気を供給している配電線路がある。配電線路の電力損失を最小とするために必要なコンデンサの容量 [kvar] は?

2021pmQ7

2、出題の意図


この問題は、力率の改善のためにコンデンサを接続し、配電線路の電力損失を最小化することについて問われています。

3、問題の解説

Point!
出題内容にかかれている配線電路の<電力損失を最小限>にすることとは、力率をかぎりなく100%(力率 = 1)に近づけることです。また、”ただし〜”の文言のとおり<リアクタンスは無視できるものとする>となっているため、力率の改善 = 100%にすると考えます。

よって、与えられた以下の条件より無効電力を求めて、同じ容量のコンデンサを接続することで力率が100%となります。
<条件>
・定格容量P = 20kW
・力率 0.8(遅れ)
(・定格電圧V = 200V)

力率が0.8 → 8 / 10 ⇒ 4 / 5 すなわち cosθ =  4 / 5となります。

3:4:5三角関数

以下のとおりベクトル図を作成します。

2021Q7ベクトル図

<3:4:5>の三角関数を用いて
Q = 15kvar となります。

∴配電線路の電力損失を最小限にするために必要なコンデンサの容量は
15kvar
よって正解は、ロ. 15 となります。

具体的な計算方法
与えられた条件から
P = √3 × 200V × I × 0.8 = 20kWより
I = 20000 / √3 × 200 × 0.8 ≒ 72.2 A

無効電力の公式
Q = √3 × V × I × sinθ(var)より
Q = √3 × 200V × 72.2 × sinθ
sinθを求める公式
sinθ = √1-cos^2θ より
√1-0.8^2 = √1 - 0.64 = √0.36 = 0.6
→ sinθ = 0.6

∴Q = √3 × 200 × 72.2 × 0.6 = 14.988 kvar ≒ 15 var となります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?