コラム:東京の免許返納

最近、交通事故の報道が増加しているという印象がある。とくに増えているのが、高齢者による運転ミスと思われる事故だ。

一般的には、免許返納を自主的に行うには、公共交通の充実が必要である。¹²公共交通は、返納後の利便性にも影響している。¹また、高齢であるほど、男性は女性よりも返納しない傾向がある。²

公共交通が発達している東京都23区内の場合はどうであろうか。高齢者の東京圏における行動は、成人全体とは異なる可能性がある。まず、交通手段は徒歩と自動車が多く、公共交通を使う場合は鉄道よりもバスが多い。³

実は近年、バスの運転手不足が問題となっている。入社4年で半数近くが離職するという調査もある。その原因はたくさんあるが、国土交通省も認識している。

その一方で、東京圏の鉄道は徐々に進化を続けていろ。これは、若年者にとってはサービス向上のめんもあるが、新しいテクノロジーの導入や路線の変更などは、高齢者にとっては困難に映ることがある。

実際、東京は交通事故に関しては世界で最も安全であり、公共交通も発達している。4未だに自動車に使われている面積が大きいが、これを歩行者に開放する余地はあり、それによって事故は減るかもしれない。

¹橋本成仁、山本和生 (2011)「居住地特性から見る運転免許返納者の特性把握」都市計画論文集、46(3)、769-774
²小住剛太郎、青島縮次郎、杉木直ほか (2002) 「地方都市における交通手段使い分け行動の実態と免許返納意識との関連分析」土木計画学会、
³金子雄一郎、田中瑛 「東京圏における高齢者の外出状況と公共交通の利用実態に関する調査」交通工学論文集,
4ジャネット・サディク=カーン、ストリートからの都市改革、東大福武ホール、2019年5月24日

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