【空中・水中両用ドローン】空中を飛行し、水中を潜航する空水両用クワッドコプター

クワッドコプター(quadcopter)タイプのドローンは一般消費者(コンシューマー)向けのUAV(およびそのシステムであるUAS)として近年一般的なものとなったが、雨や雪などの気象条件に弱く、水上着陸ができないという欠点を抱えている。(尚、「quad」は「クアッド」と表記することが一般的になってきたが、航空業界では「クワッド」が使用される傾向にあるため本稿でも「クワッドコプター」という表記を用いることとする。)

そこで、北京航空航天大学の研究者らはインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)およびスイス連邦材料試験研究所(Swiss Federal Laboratories for Materials Science and Technology)と共同で空中を飛行し、水中を潜航することが可能で、さらに吸盤で物体にくっ付くことができる空水両用クワッドロータードローンを開発。この度『Science Robotics』(18 May 2022)で発表した。

プロペラのブレードは非動力ヒンジによって水中で自動的に折り畳まれ、スクリューへと0.35秒で変形することで水中推進を可能にしている。

また、コバンザメから想を得た吸盤を搭載しており、他の物体にくっ付いてエネルギーを節約する(バッテリーの消耗を抑える)「休憩モード」(rest mode)を使用することで他の移動体にくっ付いて移動したり、その場にとどまり続けたりすることができる。

これまでも幾つか空水両用ドローンは開発されているが、水中での操作性(操縦性)が格段に向上しているのが今回の特徴と言える。気象耐性を備えた全天候型ドローンへの応用はもちろん、水難事故など災害時における遭難者の捜索、クジラやイルカ、サメ等の海洋生物の生態調査などでの活用が期待される。

■『Science Robotics』(18 May 2022)
「Aerial-aquatic robots capable of crossing the air-water boundary and hitchhiking on surfaces」(DOI: 10.1126/scirobotics.abm6695)
https://www.science.org/doi/10.1126/scirobotics.abm6695

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