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Service-Dominant Logic は理解されるのがほんと難しい、という話。

 最近出た某一流マーケティング出版社から出てるマーケティング本の中にあった記述より。

こうしたG-Dロジックの見方 - 企業がつくり出した製品・サービスの価値を、顧客が受け取るという見方 - に対して、S-Dロジックでは、価値をつくる主体は買い手であると捉える。(略)どのような価値が見いだされるかは、最終的には買い手の主観に委ねられている

書籍名は内緒

 このようにマーケティングの研究者の間ですら、Service-Dominant Logic のことを「主体が買い手に移った」という話として捉えている例をよく見かける(マーケティング学会でもこの解釈に基づく発表がよくある)

 しかし、Service-Dominant Logic は、”価値が【共創】される”という部分が重要なのであって、売り手と買い手のどちらかが価値を生み出すという話ではない。

 また、Service-Dominant Logic は、時代の変化によって主体と客体という捉え方やその力関係が変わったという話をしているわけではなく、価値というのは、二者以上の関係性における相互作用によって生み出されるものである、という主張である。

 そのため Service-Dominant Logic の高次な部分になると、【売り手】と【買い手】という言葉をつかうことすら適切ではなく、【アクター】という言い方にしかならない。

 Service-Dominant Logic は、価値とは現象学的に共創されるもの、という立場をとるため、現象学、特に間主観性 intersubjectivity を理解しないと、どちらか片方が価値を生み出すという誤った理解になってしまうのだ。


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