金髪にしてよかった話

先日、生まれてはじめて髪をブリーチした。染めること自体はお初でもなんでもなく、18歳で上京してからしばらくは明るくて、でも20歳で働き出したバイト(無印)が茶髪NGだったのでいそいそと髪色を戻し、そこから留学したりなんだりと忙しく、5年間髪の毛は黒いままだった。

わたしの顔はとても薄い。主張の少ない顔である。
温厚そうな顔をしているので、歩いていると、よく道を聞かれる。そして宗教勧誘に遭う。渋谷の旧ドンキ前は有名なキャッチゾーンだったので、そこをひとりで歩いていると、「幸せになりませんか?」とパンフレットを抱えた女性によく声をかけられた。大学時代、学生用のバスに乗っていて勧誘されたこともあるし、駅から商店街を抜けるまでの1キロ弱、ずっと勧誘され続けたこともある。

そんな顔で黒髪だと、どうなるか。
おじさんにぶつかられるのである。

いっとき、ツイッターで騒がれていたアレだ。まっすぐ歩いていたおじさんが、急にぶつかってくる。たまたま曲がった先にわたしがいた、とかではない。当たり屋と見紛う急カーブを見せつけてくる。
それから、目の前でとつぜん、おならやゲップをかまされる。
このことを人に話すと、「いやいやたまたまでしょ」と言われるけど、いかんせん頻度が高い。人気のない道や駅のホームで、見知らぬおじさんにすれ違いざまに屁をこかれ、ゲップをされる。わたしがアメリカのヤンキーだったら殴り合いが始まっている。

要は、舐められやすい。
バイト先で元同僚だったクレイジーガールも薄顔のため、かなり似たような境遇にあり、「わたしたち、顔面にタトゥーを入れるか、金髪にするしかないですよ」と語っていた(実際、彼女は腕に和彫のタトゥーシールを貼っていた)。

そんなわけで、金髪にした。
理由はおしゃれだから、というより、舐められないためだ。
髪色ひとつで変わるのか。

変わりました。
まず、キャッチにあわなくなった。物足りなさすら感じるレベルで、パンフレットを抱えた女性が近づいてこなくなった。珍妙なナンパにもたま〜にあっていたのだけど(「おいしい杏仁豆腐のお店知ってるんだけど!」と繰り返し叫ぶヤバめの兄ちゃんや、「韓国人の方ですよね?僕いま婚活してるんですけど」という推定50代のおじさん)、それもまだあっていない。

そして、本当にぶつかられなくなった。
これもすごい。わたしレベルになると、「このおじさん…ぶつかってくる!」とある程度予測が立てられるのだけど(しかし反射神経が悪いので避けることはできない)、予測した相手が……ぶつかってこない!これはすごい!
髪の赤味が強かったせいで、ぶっちゃけ金髪というより、赤毛っぽい色なのだけど、それでも髪をウルトラ明るくすると、緊迫感というか、「こいつにぶつかったら、騒ぎ出すかもしれない」という迫力が出た気がする。本来黒髪の方がメンヘラ感が出るはずなのだけど、わたしの場合、髪を明るくした方がメンヘラ感が増した。人生をこなす上で、メンヘラ感は大事である。

二年前に別れた元彼が今年ストーカー化して帰ってきたり、10年来の知人に「神に会わない?」と宗教勧誘されたり、面識のないおじさんに悪評を広められたり、黒髪時代はいろんな災害に見舞われてきたけど、2019年はウルトラ明るい髪色で、そんな輩を寄せ付けないようなエナジーを醸し出していきたい。

ちなみにおなら・ゲップ案件は、最近「その道を通ると必ず憂き目にあう」という道を最近通っていないので、まだデータが取れていない。でも染めてから、友人以外のおなら・ゲップを聞いていないので、いい傾向だ。



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