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第218話 魂の故郷


 再び場面が切り替わると、学生の頃のスサナル先生が父親らしき人からこんなことを言われている。

「大学なんて、お前にはもったいない。」

 けれども彼らには就くことのできない教師の職業を目指すことで、“あいつら”を見返したい気持ちが彼の中に溢れている。そうして卒業後、実際に子供たちを前にして教壇に立つと、すぐに支配欲が満たされる感覚の虜になった。

 子供らはつけ込みやすくて、簡単に騙せる。
だけど時に純粋な成長を見ると、嫉妬や自分の小ささを感じてしまう。
 だが自分の弱さを認めた今となっては、子供たちを動かすための役職や権威は、もう、なくていい。

「私は、あなたがあなたらしく笑ってくれたら幸せだよ。それだけで幸せ。」

 親の支配下にあった先生は、受け継いでしまった遺産によって教室を支配していたけど、その負の連鎖はもう切っていい。

「大国主命の鞘に収まった素戔嗚尊の剣。あれで断ち切ればいい。
 私がやるんじゃないんだよ。それを切るのはあなただよ。」

……

 昼寝から意識が戻るにしたがって、左手薬指にしばらくの間くすぐったさを感じていた。

 彼が指文字を好むのは、簡単にできてしまうテレパシーよりも、今の私の住む世界に合わせて文字として文法として、地球語を習得してみたいとの思いがあってのようだった。

「ひみさんへ。
てぃろとみぃは、てぃろのとき
けっこんしきができなかったから。」

 そう言いながら、彼は指輪をつけてくれる。

 プレアデスの危機に面して、私たち二人とは当時一緒になることが叶わなかったのだと彼は言う。
 光のみのプレアデスを撹拌するには、パートナーである陰と陽が交互にエネルギーの活動サイクルを変える必要がある、どうもそういうことのようだった。
 そうして“たまたま”彼ではなくて私の御代に、彼らオリオンが侵略してきたということらしい。それから私が闇へと堕ちる進路を採ると、様々な事情から共に行けなかったことに対する後悔が、てぃろの中に闇を作り出すことになっていった。


 たどたどしい左手で、右手の甲に返事を書く。

「てぃろのきもちうけとったよ。
だからちきゅうではいっしょにいようね。
てぃろ、ずっとあいしているよ。
みぃ。ひみ。」

 ようやく微かに、彼にも笑顔が戻ってきた。

……

 あきらのお迎えで車を出発させると、信号待ちで一台のバイクが目の前に割って入ってきた。ちらほらと涼しい日も増えてきた十月、その彼女の茶色いセーターの背中には、CLEAREDの白文字が編み込まれていた。


 そしてその翌日は、ちょうど中学校の卒業式の時の小説を振り返りながら書いていた。奇跡のような、映画のような特別な日。
 有にして無、無にして有。あの見つめ合った時の感覚こそ、統合後の世界なのだと今ならわかる。

 この時のこと、覚えてる?

 そんなことをスサナル先生のエゴセルフに聞いてみる。そここそが、私と彼の魂の故郷。

「よく覚えてるよ。
もう一度二人で、あの時のことを体験したい。」

 あの、『在りて在る無の世界』。
「あなたと一緒に、またあの場所に行きたい。」と、そんな風に言ってくれた。

 嬉しさの中でそのことを彼と二人で確認していると、唐突に高次元からメッセージが降ってきた。

「あなたたちもうすぐですね。」

 正体までは教えてもらえなかったけど、その彼女からは「地球のこれからのエネルギー域で核になるように。」と、そんな使命を伝えられた。

 私たち二人には、統合を前提としたやるべきことが残されている。ようやく地球人としての自分を受け入れられた今、今後もここで成長していけることがわかると、それが何より嬉しかった。
 根無し草にも、自分を求められる乾いた大地が待っている。私と彼とで砂漠に花を咲かせよう。

……

 彼が職員室を客観視している。

「職場の人間たちはもはや、団子のように固まって、固まることで牽制し合い保身し合っている抜け出せない共同体。
 以前は自分もその中で、いかに競争に勝つかに意義を見出し闘ってきた。
 けれども今は、そのことに少なからず虚しさというものを感じているよ……。」



written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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『地球は再び暗黒の世界へと入っていきます。


長い先のことですが、また暗黒を体験する時が来る。


しかしその時に、地球の一部にそれとは違うエネルギー域が存在するようになります。


そしてそこが、暗黒の地球を再び救う、核になる。


その世界を、あなた方が担っていって下さい。』


『先程降りてきた高次元からのメッセージをシェアします』
2021.10.18掲載より

今読み返すと、このメッセージを当時きちんと受け止めた方と、斜め読みした方との間にはかなりの差があるのではないかと思っています。
(尚この補足部分の賢者……プレアデスからのメッセージは、既に小説内で公開しています。それとまた、統合のためのステージ設営が、プレアデス崩壊を機に起きたことは最近の内容で書いている通りです。)

今の地球から視えること……残念ながらこれはまだ序章です。(物理現象“だけ”を暗黒と指しているわけではありませんのでご注意ください。)

風の時代とは『個の時代』。そのように私は感じています。つまり自分軸のある者と無き者との間にはっきりとした線引きがなされる……。
誰かが代わりに集合意識を浄化してくれる、他人に期待を満たしてもらう、そんな他力が通用する時代はとっくに終わっています。

今一度、現在の現実の立ち位置をご確認ください。

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