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「ももいろクローバーZ」の生みの親に聞く!!ももクロに学ぶ奇跡のチームづくり

2024年2月7日(水)に開催された meetALIVE 開催50回記念特別企画「六本木無限大記念大会」メインイベントとなる第3試合(セッション)に登場したのは、ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)の生みの親である川上アキラさんです。川上アキラさんは北川景子さんや永野芽郁さんなどを抱える大手芸能事務所、スターダストプロモーションの執行役員、プロデューサー。ももクロをゼロからつくり上げた人物です。

ももクロは、2008年の結成以来、紅白歌合戦出場、女性グループ初となる国立競技場での単独ライブの実現など数々の成功を収めています。また、アイドル業界の常識にとらわれない革新的な戦略を採用し、独自の熱狂的なファン「モノノフ」を生み出しました。

ももクロのメンバーは、もともとアイドルを目指していた女の子たちではありません。川上さんは、どのようにして彼女たちのハートに火をつけ、奇跡のチームをつくり上げていったのでしょうか。

ファシリテーションを務めたのは、日本アイ・ビー・エムの株式会社取締役執行役員であり日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社代表取締役社長の井上裕美さんです。39歳で社長となり二人の子どもを育てる母でもある井上さんが、meetALIVE プロデューサーでありモノノフの森脇匡紀さんとともに「奇跡のチームづくり」「地域創生」「アイドルの未来」の3つのテーマで川上さんにお話を伺いました。

井上さん
はじめに「奇跡のチームづくり」というテーマでお話を伺っていきます。
ももクロは、2010年のデビューから2年で紅白出場、さらに2年後に国立競技場での単独ライブという偉業を成し遂げました。チームが最高のパフォーマンスを発揮し続けるためには、何が必要なのでしょうか。

川上さん
彼女たちには、これまでのマネジメント経験から「セルフプロデュースができる人でなければ、芸能界では生き残っていけない」とアドバイスしていました。運営側から投げかけたことしかしないタレントが、消えていくのを見ていましたので。

井上さん
セルフプロデュースが大事だと伝えたとしても、それをどのようにして学んだり、実行したりすればよいのかわからないと思うのですが、その伝え方に興味があります。

川上さん
他のタレントが成長していく過程を見てきた中で、「こうすれば上がっていける」という自分なりの解釈があったので、それを一つひとつメンバーに伝えていきました。人はそれぞれ違いますから、自分に合ったやり方は自分で考えてもらわなければなりません。それが腑に落ちれば、タレントとして活動していけると思っています。

井上さん
企業に置き換えて考えると、チームの状態を常に高いパフォーマンスが発揮できるように保つことは簡単ではありません。どのようにしたらメンバーが自律して走り出していくのでしょうか。

川上さん
国立競技場のライブまでは、具体的な目標をファンに開示して、ファンと一緒にそこに向かっていくロードムービー的なストーリーを描く演出をしていました。ですが、国立競技場ライブの最終日、リーダーの百田夏菜子に「これから自分たちが何を描いていくのかを、君の言葉で話してくれ」とライブ直前の控え室で伝えました。彼女たちは、目標だった国立競技場での単独ライブを実現しました。ここから先の表現は、「彼女たちの中から出てくるものになっていく」と思っていたので、ファンに何を伝えるかは任せました。そのときに、「笑顔の天下をとる」「みんなを笑顔にしていく」という明確なビジョンが出たので、今度は僕たちがそれに照準を合わせていくカタチにシフトしていきました。

井上さん
セルフプロデュースの重要性を伝えた先に、自分たちから出てきたビジョンは、本当にやりたいことなんでしょうね。ビジネスにおいても、「自分の言葉で表現しよう」とメンバーに伝えていきたいです。

森脇さん
ももクロのファンは「モノノフ」と呼ばれているのですが、一体感がすごいんです。まず、ライブに行くと初めて会った隣のファンから「よろしくお願いします」とあいさつをされます。そして、ペンライトを持ってなかったら、「もしよかったら使います」と言って貸してくれるんですよ。この世界観をつくっている。コミュニティができあがっています。

川上さん
森脇さんのように熱く語ってくれる方が世の中に存在しているということは、事業として成功したのかなと思えますね。

井上さん
ももクロのみなさんは、すごく丁寧にお辞儀をされますよね。頭を下げたらテンカウント顔を上げない。このような振る舞いは、戦略的にされているのでしょうか。

川上さん
戦略的にしている部分もありますが、彼女たちは本質をわかったうえで振る舞っているので、そこに嘘はありません。たくさんのお客様が、お金を払って私たちを観に来てくださっている。それを考えると、「どのような振る舞いをするべきか」ということですよね。

井上さん
企業では、お客様の満足度をどうしたら上げられるかといったことばかり話されていますが、その前にお辞儀やあいさつなどの基本的なことを忘れてはいけませんね。

森脇さん
質問をいただいているので紹介します。
女優さんが中心のスターダストプロモーションの中で、アイドル事業をゼロから立ち上げられたわけですが、これまでに女優さんを育ててきた経験から得たことで、ももクロのマネジメントに生かしたことはありますか。

川上さん
ももクロをマネジメントする前は、沢尻エリカさんを担当していました。沢尻さんが中学生のころからついていましたが、自分で自分を表現することを持っておられました。このときに、「こういう人が芸能界で活躍する人なんだろうな」と学びました。それは、ももクロにも生かしています。

森脇さん
もうひとつ、モノノフから質問が来ています。
ももクロというチームを運営していくうえで、大切にしている理念は何ですか。

川上さん
モノノフさんたちに正直に向き合うことです。お客様に楽しんでもらうことを一番に考えているので、何かあったときには正直に対応することを心がけています。

森脇さん
それでは、二つ目のテーマ「地域創生」入っていきます。
地域創生には、井上さんも携わられていますよね。

井上さん
弊社では、リモートワークを前提に開発技術者が働ける環境を地域に整えています。そうすると、雇用も広がりますし技術者が地域に集まるので、地域活性化にもつながります。ももクロのみなさんは、2017年から地方自治体と協働して“まちおこし”を目指すライブ活動「春の一大事」に取り組んでおられます。どのようにして行政とタッグを組まれたのか、お聞きしたいです。

森脇さん
今日は、春の一大事で最初にタッグを組まれた埼玉県富士見市の星野光弘市長にお越しいただいています。

星野さん
よろしくお願いします。

井上さん
星野市長、どのような経緯でももクロさんとタッグを組むことになったのでしょうか。

星野さん
ももクロさんのとのご縁は、メンバーが子どものころ、富士見市にお住まいだったことにはじまります。前市長が「富士見市でコンサートをしませんか」と提案したところ、川上さんに受け取っていただいて、1カ月後には現地を見に来てくださったのです。私は、その後の準備から関わらせていただいています。

まちの活性化のために工場や大学の誘致を進める中で、新しい選択肢としてエンターテイメントを川上さんが提供してくださった。やらないという選択肢はありませんでしたね。市民のみなさんも大変喜んでコンサートを受け入れてくださいました。ももクロさんとのつながりが我々に元気を与えてくれています。いまは、こうしたご縁を何とかして次のステップにつなげたいと考えています。

森脇さん
川上さん、春の一大事をやろうと思った理由は何だったのですか?

川上さん
根っこにあるのは、国立競技場で百田夏菜子が言った「笑顔の天下」です。笑顔の天下とは何だろうと考える中で、前富士見市長から「コンサートをやりたい」とのお申し出をいただいたのです。ももクロを通して、地域をアピールすることもできるし、集客による活性化も期待できる。そこから春の一大事を考えていきました。

地域で野外ライブをするにあたっては、地元のネゴシエーションが大変なので、行政が先頭に立って協力していただけるのは本当にありがたいことです。両者の利害が一致したところもあります。

森脇さん
星野市長、ライブ開催後、変わったことはありますか?

星野さん
富士見市は2022年に市制施行50周年を迎えました。それを記念して、富士見市内にある東武東上線みずほ台駅、鶴瀬駅、ふじみ野駅の出発メロディーを、ももクロさんのヒットソングに1年間変更しました。

このようなことを実現できたのは、最初のコンサートが市民のみなさんに理解を生んでくれたからです。我々がももクロさんとゆかりのある間柄であることは、市民のみなさんの誇りになります。おかげさまで人口も増加傾向にあるんですよ。

川上さん
当初、考えていたことが結果としてあらわれるとうれしいですね。ももクロメンバーのプレイヤーとしてのモチベーションにもつながります。僕たちは会場費もかからず、実際にライブもできるわけなので、願ったり叶ったりです。

井上さん
いい循環、新しいイノベーションが生まれていますね。

森脇さん
最後のテーマは「アイドルの未来」です。

井上さん
ダイバーシティの観点から女性の活躍できる環境づくりに、各企業が取り組んでいます。川上さんは、一人ひとりの女性が輝けるようにプロデュースをされていますが、アイドルの未来をどのようにお考えですか。

川上さん
アイドルという固定観念から彼女たちが制約を受けないようにしたいと考えています。

井上さん
いま、アイドルのイメージが変わりつつあると思うのですが、それは意図的に変えようとしているのですか。それとも、自然な変化なのでしょうか。

川上さん
変わっていくであろうし、変えなくてはいけないと思っています。だから、あるところまでは「長くできるものをつくろう」と、口に出してファンとも共有していました。ただ、そこに嘘があると信じてもらえないので、そうならないようにマネジメントしています。

森脇さん
いままでのアイドルは、ファンから恋愛対象として見られている部分が大きいと思います。でも、ももクロさんの場合は、人としてのリスペクトがあるんですよね。だから、百田夏菜子さんの結婚であったり、高城れにさんの離婚であったり、いろいろありますけども、全てに対して納得するファンをつくっているところが素晴らしいですね。

川上さん
ありがとうございます。プライベートに関しては、本人たちが自ら選んで歩んでいるところなので、まさに、セルフプロデュースですね。

井上さん
星野市長、女性の活躍については、どのようにお考えですか。

星野さん
現在、富士見市役所には620名ほど職員がおり、その中で部局長級は15名です。そのうち女性は1名しかいません。最近は男性で育休を取る職員も増えてきました。行政は比較的働きやすい環境だと思いますので、女性にも管理職にチャレンジしてほしいですね。一人ひとりがありたい姿を描いて、そこに対して声をかけながら活動を続けてきたという川上さんのお話を聞いて、我々の市役所もそうありたいと思いました。

井上さん
アイドルのあるべき像がなくなりつつあり、描いていたものに近づいているのですね。

川上さん
ももクロの4人は、私の想定以上のパフォーマンスをしてくれるビジネスパートナーになっていますね。すでに、尊敬の対象です。

井上さん
アイドルの未来はこれからどうなっていくと思われますか。

川上さん
男性アイドルや韓流アイドルなど、さまざまな選択肢が増えていますから、いまは厳しい時代です。しかし、アイドルの文化はもともと日本に根づいているものなので、アプローチの仕方を見誤らなければ、まだまだ面白いものを提供できるのではないかと考えています。

井上さん
多様な活躍がこれからも見られそうですね。

川上さん
そうなっていきたいし、続けていきたいと思います。

森脇さん
僕は、ももクロの成長過程を通して、ビジネスのやり方を学ばせていただきました。それを自分の仕事に置き換えて行動してきました。IT業界は情報産業です。情報感度を高めて、さまざまな事象から学んでいきましょう。スポーツでも遊びでも何でもいいから、好きなことに自分を重ねて学びましょう。そして、刺激を与える側になりましょう。何かを変えていく側になりましょう。自律する側になりましょう。
みなさんによい変化が起こるきっかけになるようなイベントをつくりたい。そんな思いで、meetALIVE第50回記念イベントを開催いたしました。支えてくださったスタッフのみなさん、出演者のみなさん、本当にありがとうございました。

ライター コクブサトシ @uraraka_sato
meetALIVE プロデューサー 森脇匡紀 @moriwaking
meetALIVE コミュニティマネージャー 小倉一葉 @osake1st
サムネイル写真:集合写真家 武市真拓

meetALIVEとは…

meetALIVE(ミート・アライブ)は、「今、会いたい人に会える」を目指すコミュニティプロジェクト。
「毎日をより楽しく、世界をより豊かにしよう!」と挑戦を続けるイノベーター達と語らう企画を用意しています。

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