父の着物を受け継ぐ

わたしが生まれた新潟は、着物の産地です。
小千谷縮、越後上布、塩沢紬、本塩沢、十日町紬など・・・。
地元なので、実家の箪笥にもこれらの着物が揃っていました。
紬は普段着ではありますが、今は希少になっているので非常に高級品です。

普段は主にお茶関係でお着物を着る機会が多いのでどちらかというと柔らかい着物(染めの着物)を着ることが多いですが、わたしはどちらかというと紬の方が好みです。

昨年、帰省した際に母から父が婿入りした際に持ってきた着物と羽織があると見せてもらいました。
本塩沢の百亀甲と言われるものだと思います。
茶系の色で光の加減によって玉虫色の光沢が出るとても渋い着物でした。

少し前に祖母の十日町紬と大島をロングの道行コートに仕立て直しをした写真を母に送っていたので、この父の着物ももしかしたら生き返るのではないかと出してくれました。
ちなみに、父は一度も袖を通していないそうです。
着物の存在ももはや忘れているではないかと思います。

この父の着物にわたしは完全に一目惚れをしました。
早速、持ち帰り行きつけの呉服屋さんに持っていき、羽織の分を継ぎ足してわたしサイズの着物に仕立て直しをお願いしました。
それが昨年末に出来上がり、昨日ようやく初お披露目をすることができました。

祖母や母からのお下がりの着物はたくさんありますが、父の着物のお下がりはこれが初めてです。
元々渋い着物が好きですが、この着物の渋さは、ピカイチですっかりわたしのお気に入りとなりました。

洋服を何代にも渡って受け継ぐことってほとんどないと思いますが、着物はこうして時代を超えて受け継いでいくことができるのが魅力です。
しかも、父親のものを受け継ぐことができるとは。
大事にしたいな、と思いました。

最近は、着物姿の人もよく見かけるようになりましたね。
日本の民族衣装としての着物の文化、もっと多くの人にその良さを知っていただきたいです。
そして、着物や帯を作る職人さんたちの技術が守られて次の世代にも受け継がれていってほしいです。

わたしは受け継いだ着物を大切に着たいと思います。
今年はどれだけ着れるかなぁ。

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