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著名建築家ホテル⑨ ザ・プリンス箱根

著名な建築家がデザインするホテルには本当に素敵なエピソードがたくさんつまっています。今回はそんな大好きなホテルについて✨

ザ・プリンス箱根 芦ノ湖(1978年開業)

本当に美しくて、大好きなホテル。涙が出てくるほど食事は美味しくないし、ホスピタリティも期待できないけど、それでもいいから「また泊まりたい」と思わせてくれる素晴らしい建築美

泊まる価値がある部屋タイプはひとつ!本館レイクビュー新館スーペリアのほうが少し部屋が広くて、バスとトイレが別で、バスルームもブルー系のタイルが可愛い。新館という名の通り、新しくもあるけれど・・

否めない古さなんて帳消しにしてくれる、本館テラスからの眺め✨ それはそれは圧巻の美しさで、ため息しか出ない。山・湖・木立・桟橋・船、そして富士山✨ 特定国立公園の敷地内に建つホテルだからこその、この絶景は窓越しの新館では良さも半減。

空気は澄みきっていてフレッシュで、水のそばでも山の中だからなのか変な湿っぽさもなく、深呼吸して体の奥の奥まで新鮮な空気を送り込みたくなる!

新館が残念なのは、眺めは似てるけどテラスがないこと。富士山も見えないし(部屋によっては見えるのかも)廊下も階段も、やっぱり本館が素敵。

村野藤吾さんに依頼した箱根樹木園休息所が完成したとき「建築とは芸術なのだ」ということを身に沁みて感じたという堤義明さん。この人に任せておけば間違いないと絶大な信頼を持って、この箱根プリンスの建築も依頼したんだとか。

西武グループ創業者の堤康次郎さんが遺された「樹木は国家の財産」という訓示。プリンスホテルは、軽井沢も京都も、そしてこの箱根も、自然との共生というか、ホテルが自然の美しさを損なわないように・・という思いがこめられていて、木立の中に佇む湖畔のホテルを眺めても絶景。

この矜持を聞いて真っ先に連想するバワ建築。そのバワさんも家具までデザインされているけど、村野藤吾さんしかり。本館の客室にある家具は、布こそ張り替えられているものの村野さんデザインのものがそのまま使われていて、トータルに考えられた感性をしっかり受け止めたい✨(照明やドアノブまで村野さんデザイン!)

客室の扉を開けると目の前がクローゼットになっていて、廊下から客室が見えないのも本館のポイント。トイレはお風呂と同じスペースにあるけど、洗面シンクがクローゼット横に別になっているのも使い勝手がいい✨

この立地に、この建築。おまけに温泉まで!その対価というわけじゃないだろうけど、とにかく食事は残念すぎる(レストラン自体も)。スタッフの方々もフレンドリーではあるんだけど、お友達に接するみたい。ここはもうAirbnbなんだと思うことにして、”セルフサービス&食料は自己調達”で乗り切るしかない。

村野建築の見どころの8割は、泊まらなくても味わえるから、お隣にある西武系列の和風旅館 竜宮殿の日帰り温泉で体を温めて、湖畔のベンチで絶景(高さ以外は客室からの眺めとほぼ同じ)を楽しむのもいいかも✨

そんな立ち寄り利用でも、レセプションを抜けた先にあるチャペルみたいなロビーは見逃せない!広い通路の両脇に、二度見するほど風変わりなサイズ感の椅子。

この場のために村野さんが設計したという椅子に座って天井まで眺めれば、宝ヶ池プリンスに通ずるアコヤ貝🥺 建物内で意匠がリフレインするのも素敵だけど、違うホテルに反復があるのも格段に素敵✨ 

こうして箱根を訪れると、高輪・宝ヶ池・・と、また無限ループに陥って、ホテル通いがやめられなくなる😆



・トップの写真は公式サイトのものを利用しています

新たな視点がもてたり、世界が広がったり、楽しい気持ちになりますように・・✨