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コルビュジェの側にいた2人の女性の明暗

巨匠に盾突き歴史の表舞台から消されたとも言われる女性建築家。それが、アイリーン・グレイ。長らくル・コルビュジェの作品とされていたE.1027は、彼女の作品。コルビュジェの提唱した近代建築の5原則を提唱者よりも先に実践していた。

建築好きなら南仏カップ・マルタンにあるル・コルビュジエの休暇小屋〈キャバノン〉のことは知っているだろう。そのすぐ近くにある〈E. 1027〉もル・コルビュジエの設計とされてきた。でも、この家の本当の設計者はアイリーン・グレイという女性デザイナーだ。

コルビュジェはここを訪れ、彼女の作品であるこの別荘の白壁に無断でフレスコ画を描くという蛮行に及ぶ。巨匠は彼女の才能に嫉妬していたとも言われているのだが、彼女は泣き寝入りせずに激怒したのだとか。

巨匠といえども1人の人間。他人の才能への嫉妬からは逃れられないということだとしたら、(行為の良し悪しは置いといて)とても人間くさいエピソードで好きだ。

もともとこのエピソードを知ったのは『ストーリーのある50の名作照明案内』のシャルロット・ペリアンのくだりだった。

ペリアンはグレイとは対照的にコルビュジェをうまく利用しながらステップアップしていったと書かれているが、実際のところはどうなんだろうか。
そしてペリアンの照明を紹介するページでグレイとコルビュジェのエピソードを盛り込んでくるところに著者の意志を感じてこれまたとても面白い。これは著者の中では書かれなければならないエピソードだったんだよね、きっと。

アイリーン・グレイに関しては、映画と評伝があるようだ。

上記Casa BRUTUSの記事で紹介されている通り、アイリーン・グレイの物語は映画化されているらしいのでこれは見てみたいところ。

調べてみたら、こういった作品もあった。

一方のシャルロット・ペリアンの自伝もグレイと同じみすず書房から出版されている。

二人の自伝を読み比べてみるのも、面白いかも、と思った今日この頃。

この明暗を分けた2人の女性の伝記が同じみすず書房から、価格もぴったり同じで出ているのもまたなんだか運命を感じてしまうよね。

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