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固定の劇場を持たないにも関わらず宝塚を上回る動員数を誇る木下サーカスって何者!?

年間120万人を動員する100年企業、と言われて何が思いつくだろうか。宝塚?惜しい、宝塚はもう少し少ない、そう宝塚を上回る集客を実現している集団がいる。それが木下サーカス。

公演地から、公演地へと旅をしながら移動式テントを自ら運び、演者も含めコンテナに寝泊まりする生活を続けている木下サーカスは当代が4代目。現在までの歴史を辿るノンフィクションなのだけど、これが波乱万丈で面白い。

テントの設営はもちろん、何から何まで自前でやっていて、テントを固定する外周の杭を社長自ら抜いたりしている。その数360本!
テントは風に弱いので、強風の際は急遽畳んだりしないといけないらしい、といった苦労話もこれを読むまでは想像だにしなかったし、場越しとよばれる片付けから次の公演地への移動および設営が相当しんどいらしいことも本書を読まなければわからなかった。

新聞とのパートナーシップも面白く、単価の低いサーカスのチケットは新聞購読のおまけとしてちょうど良かったらしい。6・8ルールと言うのがあって、6ヶ月購読に対して8%まで景品がつけられると言うのが新聞のルールなんだそうな。

いい子にしていないとサーカス団に売られる、とかそう言う言説が生まれたのはこういった移動式サーカス団に子供の芸人がいたからなんだけどやがて法律で規制されていく。そういった時代の逆風にも負けずに生き残った、世界でも有数のサーカス団が木下サーカスなのだ。

4代目が継ぐか継がないか、と言うタイミングでは10億円の借金があり、廃業を勧める意見もあった中、継続を判断して跡を継いだ4代目の気骨やその後の改革などはファミリービジネスの改革事案としてケーススタディになっていいような事例。

とにかく久しぶりにサーカスを見に行きたくなったのでした。

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