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隕石ブレスレット、の話

私は右手の怪我をして以来、右手全体が何らかのセンサーになったような感覚があります。

例えば台風が接近したり、気圧が急激に変わるなどの前兆として、右腕がビリビリと痺れます。

地震や雷などの自然現象にも反応します。
地震については、痺れを感じてからどのくらいの時差で地震が起きるのかは分かりません。まだ自然現象に関するセンサーの精度は低いのでしょう。

まあ、感知したとしても、回避不能だから意味は無いのです。


さて、そんな素敵な機能が宿ってしまった右腕さんの、ちょっと面白いエピソードをご紹介いたします。


私の右腕は、ちょっとした作業ならすることができますが、一日に使用できるパワーには限度があります。
例えばノートに字を書く作業なら30分から60分が限度で、それを超えると握力が急激に弱くなり、ペンが持てなくなります。

握力を回復させるには数時間の休養が必要となります。

数年前ならば、その回復に三日はかかっていたのでこれでもマシになった方です。

しかし他所から見れば私の右腕はまだまだ機能不全です。

見かねた親切な方が、私のために「隕石ブレスレット」を買ってくれました。
とってもパワーがあり、傷の回復がよくなるとのこと。

見た目は、そのへんの石ころを砕いたようなやつをバンダナにくるんであるものです。

つけてみました。

右腕がどひゃーって言うくらいに熱くなって、同時に隕石からの情報がズドドドドドっと流れ込んで来ました。

隕石が話しかけて来る、という感じです。

隕「ようあんちゃん。俺の話をきいてくれよ。まあ遡るといろいろあったんだが、ビッグバンのときはそもそもあんちゃんも俺も一個の粒子だったわけで…」

この隕石は宇宙の誕生から今に至るまでの思い出話をしようとしていました。

無理無理無理無理無理無理!

重い!情報量が重い!

痛い痛い痛い痛い右腕がめっちゃ痛い!


ものの数秒でブレスレットを外しました。


確かに「本物」ではありそうでしたが、でも、それだったらそのへんに落ちてる石ころだって、元をたどれば宇宙由来です。

隕石だからとか、パワーストーンだからとか言って有り難がる必要はござんせん。

どんな石にだって歴史があり、思い出があるのです。
優しい石もあれば、自己中な石もあるでしょう。

こちらにそれらの石と対話するゆとりのある時は有意義な時間を過ごせるでしょうが、悩みや痛みを抱えているときは、石に注意した方が良いなと思いました。

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