あの日は確か、ポカリを飲んでた。

「よっ!お疲れ!」
「…うっセーな、お前は」
「んだとーコラーw」
暑さから逃げ込んだ木陰で、笑い合う。幼馴染みの高校生。何とも恋愛っぽいシーンだが、コイツの男勝りな性格のせいかお互いにそんな話は少しも無かった。
「 にしても…」元気だなぁ、と見上げた俺の目に飛び込んだのは、逆光でキラキラ揺れるポカリのペットボトル。息つぎの度にゴクゴクと脈打つ首元、光る汗。初めて感じる何かに、煩いくらいの胸の鼓動に、呼吸も瞬きさえも忘れていた。
「…なに真っ赤になってんだ!このスケベ!ww」
「//なっ!なってねーし!」
蝉時雨、太陽よりも色付いた2人の記憶。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?