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障がい者手帳があると利用できるサービス その1 手帳交付編

障がい者手帳があるといろいろな福祉制度を利用することができます。逆に、いろいろな障がいがあっても手帳がないとほとんどのサービスを受けることはできません。

障がい者手帳には、身体障がい者手帳、療育手帳(愛の手帳、障がい者手帳)、精神障がい者保健福祉手帳の3つがあります。

今回はそんな障がい者手帳の入手方法について説明していきます(最後に他の福祉制度について紹介した記事を掲載しています)。

1 身体障がい者手帳の入手

身体障がい者手帳は、身体に障がいのある方が、医療の給付、補装具費の給付など、各種の福祉サービスを受 けるために必要な証票として交付されます。

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(画像はメルディア情報局より)

対象となる障がいは、視覚障がい 、聴覚・平衡機能障がい 、音声・言語・そしゃく機能障がい 、肢体不自由 、内部障がい(心臓機能障がい・じん臓機能障がい・呼吸器機能障がい・ぼうこうまたは直腸機能障がい・小腸機能障がい・免疫機能障がい・ 肝臓機能障がい)です。

障がいの程度によって1級から6級までに区分され、その区分によって利用できるサービスが異なります。また交通機関割引のため、第1種と第2種に区分されます。

申請の窓口は各自治体の福祉事務所や保健福祉センターです。

診断に必要なものは、指定医師の診断書(所定の様式がある場合も)・写真・印鑑・マイナンバーに係る確認書類などです。

*医師の診断を受ける場合は、その当日の結果だけでなく、調子の良くないときを基準に診断してもらえるよう普段の見え方や日常生活での困り感などをできるだけ詳細に伝えるようにしましょう。

*自治体によっては、指定医療機関で身体障がい者手帳の交付申請に必要な診断を無料で受けることができます。

*自治体によっては、重度の肢体不自由により、移動が極めて困難な方が、身体障がい者手帳や車いすなどの補装 具の申請をされる場合に、指定医療機関の医師などが訪問して診断・判定を受けることができます。

*障がいの状況が固定されている場合は、更新は基本的にはありません(必要に応じて再認定時期が記載される)。また、すでに手帳の交付を受けた方で、障がいの程度の変更や新たな障がいの追加がある場合は、再度申請することが可能です。

手帳の紛失・破損・氏名の変更や居住地の変更があった場合は、窓口へ届け出る必要があります。

2019年4月に厚生労働省令が改正されたことにより、各自治体で身体障がい者手帳や療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の全てでカード化ができるようになりました。大きさは免許証サイズになるそうです、対応してさているかどうかはお住まいの自治体へ問い合わせください。

*調べてみたところ、2020年1月時点では山口県の療育手帳のみ対応しているようです。

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(画像はJOINT介護のニュースサイトより)

身体障がい者手帳の等級の基準は厚生労働省のホームページにある等級表やその他資料で確認してください。

参考までに、以下に視覚障がいの等級表の内容を掲載しています(◆は交通機関割引の第1種を表しています)。

視覚障がい
 
1級
◆視力の良い方の眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常のある者については、きょう正視力について測ったものをいう。以下同じ。)が 0.01以下のもの
 
2級
◆1 視力の良い方の眼の視力が 0.02以上 0.03以下のもの
◆2 視力の良い方の眼の視力が 0.04かつ他方
の眼の視力が手動弁以下のもの
◆3 周辺視野角度(I/4視標による。以下同じ。)の総和が左右眼それぞれ 80度以下かつ両眼 中心視野角度(I/2視標による。以下同じ。)が 28度以下のもの
4 両眼開放視認点数が 70点以下かつ両眼中心 視野認点数が 20点以下のもの
 
3級
◆1 視力の良い方の眼の視力が 0.04以上 0.07以下のもの(2級の2に該当するものを除く。)
◆2 視力の良い方の眼の視力が 0.08かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
◆3 周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ 80度以下かつ両眼中心視野角度が 56度以下のもの
4 両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心 視野認点数が40点以下のもの
 
4級
◆1 視力の良い方の眼の視力が 0.08以上 0.1以下のもの(3 級の2に該当するものを除く。)
2 周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ 80度以下のもの
3 両眼開放視認点数が70 点以下のもの
 
5級
1 視力の良い方の眼の視力が 0.2 かつ他方の眼 の視力が 0.02 以下のもの
2 両眼による視野の 2 分の1以上が欠けている
もの
3 両眼中心視野角度が 56 度以下のもの
4 両眼開放視認点数が 70 点を超えかつ 100 点 以下のもの
 
6級
視力の良い方の眼の視力が 0.3 以上 0.6 以下かつ 他方の眼の視力が 0.02 以下のもの
(大阪市福祉のあらましより)

*視覚障がいについては、平成30年7月に基準が改定(「両眼の視力の和」から「視力の良い方の眼の視力と他方の眼の視力」に変更、視野測定に自動視野計の点数表記が追加など)されましたが、これによって等級が下がる可能性のある場合は、以前の基準のままで等級を判断しても良いとのことです。新しい基準についてはこちらを確認ください。

*視覚障がいなどで、視力と視野の両方に障がいがある場合は、それらを総合的に勘案して等級が繰り上げられる場合があります。

2 療育手帳(障がい者手帳、愛の手帳)の入手

療育手帳(東京都の愛の手帳や他自治体の障がい者手帳)は、知的障がいのある方に対して一貫した指導・相談を行うとともに、各種の援護を受けやすくするために交付されます。

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(画像はメルディア情報局より)

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(画像は子育て知恵袋より)

障がいの程度によってA(重度)、B1(中度)、B2(軽度)の3つに区分されます。また東京都の愛の手帳は、1度が最重度、2度が重度、3度が中度、4度が軽度の4つに区分されます。

*認定基準は自治体によって異なるようです。東京都の場合は、こちらを参考にしてください。

*経験上ですが、年齢が上がるにつれ同年代とのIQなどの差が大きくなり等級が上がったり、療育手帳交付が認められやすくなるケースが多いと思います。

申請の窓口は各自治体の福祉事務所や保健福祉センターです。

申請に必要なものは、写真と印鑑です。

申請後、各自治体の指定する機関で判定を受けることになります。この判定の結果、手帳が交付されるかどうかと手帳の区分が決まります。

*療育手帳は更新が必要になります。18歳未満の場合は2〜3年に1回、18歳以上は10年ごとなど自治体によって変わります。次回更新の月日は療育手帳に記載されます。2〜3ヶ月前から更新が可能なので、早めに判定を予約しましょう。

*更新時の判定結果によっては、等級の変更や手帳の返還が必要になることもあります。結果に対して再申請をすることも可能です。

*多くの自治体で判定の予約待ち状態が続いています。申請から判定までに数ヶ月待つことも珍しくないようです。

身体障がい者手帳と同様、手帳の紛失・破損・氏名の変更や居住地の変更があった場合は、窓口へ届け出る必要があります。

また療育手帳に関しては、不要になった場合に返還することも可能です。

3 精神障がい者保健福祉手帳

精神障がい者保健福祉手帳は、精神障がいのある方が各種の福祉サービスを受けやすくするために交付されます。

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(画像はメルディア情報局より)

障がいの程度によって1級から3級までに区分されます。

申請の窓口は各自治体の福祉事務所や保健福祉センターです。

申請に必要なものは、 医師の診断書または、 障がい年金証書、年金裁定通知書、直近の振込(支払)通知書などの、基礎年金 番号及び年金コードが判るものの写しです(ただし、障がい年金証書等の写しを添える場合は、年金事務所等への照会に関す る「同意書」が必要です)。

申請後、関係機関で審査の結果、手帳が交付されるかどうかと手帳の区分が決まります。

有効期限は2年間です。期限の2〜3ヶ月前から更新手続きが可能になるので、早めに診断書など必要書類を準備しておきましょう。

身体障がい者手帳と同様、手帳の紛失・破損・氏名の変更や居住地の変更があった場合は、窓口へ届け出る必要があります。

また何らかの要因で症状が改善し、手帳交付の基準に該当しなくなった場合は、返還する必要があります。

4 アプリ「ミライロID」

まだ使える場所は限られますが、スマホで障がい者手帳や必要な支援・配慮の説明などを携帯できるアプリ、ミライロIDがあります。もっと使える場所が増えていって欲しいですよね。

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(画像はミライロIDより)

アプリのダウンロードはこちらから。

まとめ

今回はそれぞれの手帳の交付を受けるための方法を紹介しました。詳細はお住まいの自治体へ確認してみてください。

手帳があろうとなかろうとその人が変わる訳ではないのですが、手帳がないと多くの福祉サービスを受けられないのが現状です。

手帳を持ち、障がい者となることに葛藤のある方もいらっしゃると思います。

こんなふうに考えることもできるかもしれません。手帳があってもなくてもあなたは変わらない。なら、手帳を手にしていろんなサービスを受けた方がお得じゃないかと。手帳があると周囲の理解が得られやすいという面もあります(それもどうかとは思うのですが)。

無理に手帳取得を進めるつもりはありません。

それにたとえ手帳を手にしたとしても、いつでも自分の意思で返納することが可能です。

申請するかどうかは本人の人生に関わることですし、本人が自分で決めるべきことです。


手帳があることによって受けられるさまざまなサービスなどを今後も紹介していく予定です。よければ参考にしてみてください。


参考にしたサイト

大阪市福祉のあらまし

厚生労働省 身体障害者手帳

子育て知恵袋 発達障害児の療育手帳交付で感じたメリット・デメリット|申請から交付までの流れをまとめました

メルディア情報局 障害者手帳について

Media116 障害者手帳を返納したら私の生活はどうなる?当事者に実体験を聞いてみた!



表紙の画像は一般財団法人メルディアより引用しました。