肥満細胞活性化症候群について。その②。

本日は朝から雨です。
明け方の冷え込みはさほどではなかったような。
ややこしいのですが、
この時期の雨は「春雨」といい、
「春の雨」とは区別するようです。

「春雨」とは、3月下旬から4月頃(旧暦の2月末から3月)にかけていつまでも降り続く地雨のようなしっとりした雨。 「花散らしの雨」とも呼ばれる。 立春から3月初め(旧暦の正月から2月の初め)に降る「春の雨」とは区別し、それ以降を「春雨」としている。(tenki.jpより)

今回は、
だいぶ前にその①でとまっていた、肥満細胞活性化症候群です。

How to Diagnose Mast Cell Activation Syndrome.
March 15, 2024. TheEpochTimes.


MCAS診断の4ステップ
MCASの診断を行うには、一般的に4つのステップがある。これらのステップは、すべての患者にとって必ずしも必要(あるいは実行可能な選択肢)ではないが、正式な診断に至る典型的なプロセスである:
1.すべての臨床症状を確認し、認識する。
2.治療に対する反応を観察し、調査する。
3.メディエーター検査を受ける。
4.他の診断を検討し、除外する。

はっきりとした診断基準もないようです。

以下のような推奨基準もありましたが、
なんだかわかりにくいです。

1. 肥満細胞の脱顆粒によって引き起こされる症状に典型的な症状
2. 肥満細胞メディエーター(血清トリプターゼ)の一時的な大幅な増加。
3. これらのメディエーターの活動の産生を弱める、または標的器官に対するそれらの効果 を減少させる薬剤に対する反応がある。


①症状の特定
MCASに罹患している患者の多くは、さまざまな誘因により、症状が現れたり消えたり、また時間の経過とともに重症度が変動したりする。MCASは全身のシステムに影響を及ぼす可能性があり、以下のような症状がみられる:
・全身症状:
疲労、倦怠感、炎症反応の上昇
食物・化学物質・薬物・その他の環境因子に対する過敏症
体温調節障害、リンパ節の腫れ、むくみ
・筋骨格系:
筋肉痛、骨痛、骨粗鬆症、関節炎、過屈曲性関節
・皮膚:
蕁麻疹、皮膚の発赤・紅潮・腫脹、発疹、あざ、灼熱感、
皮膚描記症(皮膚を引っ掻いた後残る白や赤の跡)
創傷治癒不良、酒さ、乾癬、湿疹
・心血管系:
急激な心拍数上昇、動悸、めまい、低血圧、失神
・胃腸系:
下痢、便秘、腹部膨満、吐き気、嘔吐、、嚥下困難、喉のつかえ、
吸収不良、食物過敏症、食物アレルギー、過敏性腸症候群
・神経系:
頭痛または片頭痛、脳霧、記憶障害、不安、抑うつ
注意力の低下、神経痛、不眠症、めまい、耳鳴り
四肢のしびれやしびれ、体温の変化
・呼吸器系:
副鼻腔のうっ血・腫脹、咳、息切れ、喘鳴、喘息
・目:
かゆみ、涙目、充血や炎症、かすみ
・生殖器系:
不妊症、子宮内膜症、月経障害、ホルモン調節障害
・泌尿器:
排尿時の痛みや灼熱感、尿路の炎症

ほぼすべての症状が網羅されており、
典型的?とは言い難いような・・


②治療への反応
MCASの治療薬には以下のようなものがある:
抗アレルギー薬(肥満細胞安定剤):クロモグリク酸ナトリウム(インタール)、ケトチフェン(ザジテン)
抗プロスタグランジン薬:ナプロキセン、イブプロフェン、アスピリン
抗H1(ヒスタミン)薬:ジフェンヒドラミン、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン
抗H2(ヒスタミン)薬:シメチジン、ファモチジン、ニザチジン
抗ロイコトリエン薬:モンテルカスト

抗ヒスタミン薬(抗H1)はアレルギーにはよく使われます。
抗H2は主に胃薬として使われます。
抗ロイコトリエン薬は喘息などで主につかわれるでしょうか。
酷いアレルギー症状の時は、これらを組み合わせて処方されます。


根本原因への対処
根本原因にはさまざまなものがあるが、最も一般的なものには以下のようなものがある:
食物誘発因子、遺伝的要因、栄養不足、感染症および毒性
ホルモンバランスの乱れ、ストレスや初期外傷、低酸素症

食物誘発因子
アルコール、チョコレート、ザワークラウト、ピクルス、サラミ、ランチミート、オリーブなど、ヒスタミンの多い食品を避けることが第一歩となる。また、包装された食品は保存期間が長いため、ヒスタミンが多く含まれている可能性があることを覚えておくことも重要である。

ホルモンバランスの乱れ
ホルモンは肥満細胞に大きな影響を与える。多くの女性は、エストロゲンレベルが上昇する毎月の周期に、MCASの症状が顕著に現れる。ホルモンのバランスを自然に整えることは、取るべき大きな一歩である。

赤身魚(マグロ、ブリ、サンマ、サバ、イワシ等)に、
多く含まれるヒスチジンは、
ヒスタミン産生菌が産生する酵素の働きで、
ヒスタミンになります。
ヒスタミンは熱につよいので、
加熱処理しても食中毒になります。
鮮度が低そうなものは避けましょう。

ちなみに鮭は白身魚です。
鮭の身の赤色は、
エサとなったカニやエビ、オキアミなどに含まれる赤色色素、
アスタキサンチンによるもの。


③メディエーター検査
検査はMCASの診断に役立つ方法だが、血液や尿検査で調べるマーカーは短期間で劇的に変動する可能性があるため、確実ではない。肥満細胞メディエーターは、患者が症状を経験している時だけ上昇し、その後は正常に戻るかもしれない。最も正確な検査は、患者がMCASの症状を経験している間に、注意深く扱われた検体で行われる。最も一般的な検査には以下のようなものがある:
N-メチルヒスタミン(24時間尿検査)
プロスタグランジンD2、DM、F2α
血中ヒスタミン
血中トリプターゼ
血中マトリックスメタロプロテアーゼ-9
血中ロイコトリエン
血中ヘパリン

症状が出現している時に採血検査が必要、
かつ保険適応では無いので一般的ではないでしょう。

④他の疾患や診断を除外する
他の潜在的な診断の可能性も考慮することが重要である。MCAS患者は、エーラス・ダンロス症候群やマルファン症候群などの結合組織障害、2型糖尿病、姿勢起立性頻脈症候群、血管炎、アジソン病、その他の自己炎症性疾患を併発していることも珍しくない。

前述のように症状が典型的ではないので、
除外診断が重要です。
正直これだけで診断はできないでしょうから、
これからの診断・治療の発達が望まれます。


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