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小学校デザイナー。/2.図書室改造計画


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物静かな司書さん

物静かでステキな図書館司書さんにお声がけいただいたのは、今年度が始まってすぐ、校庭に桜が舞う春のことです。

去年度からご一緒させてもらっている司書さんなのですが、これまではなかなかお話をする機会もなく。私が本好きな関係でたまに図書室に顔を出した時に少しお話しをしたことがあるくらいの関係でした。

司書さんから、かなり控えめなトーンでお話いただいた内容は、以下のようなものでした。

・年間単位のお願いで、ゆっくりでいいので図書館全体のイメージを良くしてもらえないか
・来館数/読書数を増やしたい
・自分を含めた歴代の司書さんがその場その場で作ってきた統一感のない掲示物を作り変え、一貫性のある室内にしたい

すごく驚きました。
お話をしてくれた司書さんは、すごく真剣で、静かながらも意志の強さを感じる表情をしていました。上記のような依頼内容も、”子どもたちに本の楽しさを伝えたい”の一心でおっしゃっているということが伝わってきました。
内に秘めた情熱を、私に見せてくださったことがとても嬉しかった。

だからこそ、本当は子どもに読書を楽しんでもらいたいという物静かな司書さんの思いを、私のデザインの力(微力ですが)で応援したいと思ったのです。

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図書館内は書体や色など、テイストの違う様々な掲示物に溢れていました。


読むことは、旅すること。

司書さんと相談しながら、図書室をより良いものにしてゆくことを心に決めた私は、まずはコンセプトを考えたいな、と思っていました。
図書室の現在の様子や、司書さんへのヒアリングを元に、どう変えていくか、の指標となるコンセプトを先に設定しておけば、完成に向かって、全体の統一感を保ちながら作っていきやすいと考えたからです。
そんな時目に留まったのは、図書室の扉に貼られた、”本は読書の旅”と印字された紙。

”本は読書の旅”・・・?

よくわからないけれど、なんとなく言いたいことはわかるような、なんとも言えないこのフレーズ。
多分、本を読んでいる時の、現実とは別の世界にいけるような、そんな感覚のことを言っているのだろう、と思いました。
そこで、このフレーズからからヒントをもらい、

”読むことは、旅すること。”

これをコンセプトに、室内の世界観は「旅」というテーマで
統一することを提案し、無事今後の方向性が決まったのでした。

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▲古い宝の地図のような館内マップ
”旅”で連想するキーワードを5年生に聞いてみた。古い地図や双眼鏡など、持ち物から、電車や気球など乗り物、草原や空など様々なモチーフが上がった。


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双眼鏡モチーフの開館/閉館表示は、双眼鏡を構え冒険に繰り出す=図書室に入室して本を読むイメージで制作。


図書室改造計画のこれまでとこれから

こうして、私の中で図書室改造計画がスタートしました。

5月初旬から制作に取り掛かり、いろんなものを作りました。
大きいものではマップ、分類表示。小さなものだと、賞状やしおり、書架の整頓のルールなど・・・。
そして近々、図書室の利用の仕方のフローチャートや、館内装飾などの制作も予定しています。

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分類表示の数字は、大きめに印刷した後スチレンボードで厚みをつけて壁の上方に設置。本の配置がすぐにわかります。


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しおりは本を開けるとページに挟まっていた下の世界の様子が見える構造。本を開きたくなるアイディア。

”読むことは、旅すること。”と「旅」を掲げ、図書室を変えて行く。
ワクワクするような掲示物をどんどん作り、
統一感のなかったこれまでの室内をより使いやすいものにしていくことで、

・図書室って楽しそう。行ってみよう。
・読んでみたい本がすぐに見つかった。
・読書って楽しい、本が好きになった!

こんな子が一人でも増えたらいいなと思っています。

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