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ごみにならないもの

<概要>
・ラブレターはごみにならない
・「これは主にラブレターに使うものです」とパッケージすることで、ものづくりの理想を実現したい

ラブレター専門店”meg merry”による、ラブレター研究の記録です。

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普段は会社勤めをしています。エディトリアル中心に紙ものをやってたり、WEBのこともやっている一般的なデザイン事務所です。

チラシやカタログ制作の仕事をやっていると、そこに掲載されている紹介文や商品スペックなど「文字原稿」の修正作業をすることがあります。内容はクライアントや編集、校閲の指示が入りますが、最終的なアウトプットであるレイアウト上の修正内容反映は、デザイナーが行う場合も多いです。

デザイン部分の作業時間より、文字や写真の差し替え作業など、そういった時間がプロジェクト全体の半分以上になってしまうことが普通です。一度の修正が終わらないうちに、同じ箇所に別の修正指示が繰り返し繰り返し電話で、メールで、何度も送られてくることに疲弊する日々。レイアウトに反映した上で見たいって気持ちもわかるんですけど、そんなの関係ないような、主張の根底からくつがえっているような文字修正ばかり。

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誰かの怒りや疲れが込もっためちゃくちゃな字が、デザイン上にびっしりと書き込まれたものがスキャンされ、編集者から「いそがしいので書き直せないです、すいませんやっておいてください」と丸投げ。読み間違えや修正漏れが起こると電話で怒鳴られる。そんなことが続くとつい、「こんなチラシ、どうせごみになるのに」と、心の中で呟いてしまいます。

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印刷物を作っている立場であるにもかかわらず、わたしは毎日自宅のポストに入っているチラシを内容も見ず捨てています。チラシを作っているデザイナーの気持ちを想像することは十分できますが、でもピザの出前とか、ずっと前に資料請求して以来届き続ける通信教育のパンフレットとか、要らないので捨てます。

勿論それは「疲れた人」の極端な考え方です。チラシに載っているもの自体には誰かの一生懸命が詰まっているはずですし、チラシに書かれたものなりことなりが、一生ものの思い出へ繋がることだってあるはずです。
そしてわたし自身だって。そんな地味な作業や、無計画なクライアントと付き合わなくてもいい、レベルの高い会社で働けばいいだけのことなんです。ほんとは、ほんとは。

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前置きがかなり長くなってしまいましたが、先日、人生で何度目かわからない「どうせごみになるのに」の中に、「ラブレター専門店がやりたい理由」を見つけました。
それは、ラブレターはごみにならないということです。

「どうして会社で働きながら、ハンドメイド活動をはじめたんですか?」と質問していただくとき、「普段会社勤めではできない『100%、制作も販売も自分の好きなやり方』をやってみたいと思ったからです」とお答えしています。その答えは間違ってないんですけど、もっと深層心理を掘り下げると「ごみにならないものが作りたい」だったんだなと気付きました。

「これは主にラブレターに使うものです」とパッケージしていると、怒りや疲れの込もった字は書かれないはずだし、買ってくれた人から誰かへ渡ったときにも、中身も見ずに捨てられてしまうことはまず無いはずです。
「ラブレター専門店」というパッケージに、「かき氷専門店」や「パンケーキ専門店」に対するときめきを重ねていましたが、本当はこういうことだったんです。デザイナーになったなら、ごみにはならず、もっと確実に、誰かを幸せにするものづくりがしたい。自分の深層心理に気づいた瞬間でした。

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会社で働いていても、なんとなくこういうことがやりたいな、という思いつきがあったなら、とりあえず二足の草鞋からでも始めてみる。そうすると、会社の自分よりももっと広い視点で”自分”に気づけるんじゃないかなと思いました。それが結局、会社の自分にフィードバックされることもあるかもしれないし、二足目の草鞋だけで生きていくことになるかもしれません。だけどいずれも、自分の人生を輝かせることになるはず。そう信じています。

#デザイン #働き方 #自分らしい働き方 #エッセイ #コラム #言葉

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ラブレター専門店”meg merry”
web site)http://www.megmerry.jp/
twitter)https://twitter.com/meg_merry0523
instagram)https://www.instagram.com/meg_merry0523/
web shop)https://megmerry.thebase.in/


グレードアップした紙&印刷でラブレターを制作したいです。サポートいただくと、特別なラブレター体験がmeg merry経由でたくさんの人にもたらされるはず!!!!!