老いていく母親

最近、母親と電話していると「え、なに?」と聞き返される事が異様に多くなった。
ここ二、三日だ。
言葉を発する間隔も長くなっているし、もしかして急に老けたのかな?と思い始めた。

キッカケとしては、高校時代からの親友が倒れてから。
その母親の親友は、どこも悪いところが無い元気な人だったのが、急に倒れて「大動脈解離」になって緊急治療室にずっと入っていた。

そこから母親の様子がおかしな感じになっていた。
精神的に不安定になっていたのだろう。
急に怒り出したり、やたらと他の友達とそれについて電話をしょっちゅうしたり。

結局、半月以上経ってからその親友は動けるくらいに回復している。
しかし、そのショックでだいぶ母親はダメージを受けた感じがする。
正直、親が亡くなるよりも心理的にストレスだったのだろう。

元々、自分で健康に気をつけていると言いながら好きなことしかしていなかった。
ウォーキングや、水泳に行くとか、足腰を鍛えたりするのはやっていたが「耳が遠くなる」とか、「頭の回転が鈍くなる」とかの対策をしていたようには見えない。

本も読まないし、テレビは韓流ドラマや、痩せるサプリの宣伝やらを見てるだけ。
置き薬の訪問販売に、流されてサプリをしこたま買う。
美容院の店長にすすめられるのか、パーマとカラーをし続けて、髪の毛はパサパサになっている。

要するに、「体を動かす」以外の「頭を鍛える」とか、「お金を安易に使わない」とかの訓練は放棄していた。
人と話すにしても、仕事と言えるのは同族経営の喫茶店で週二回の皿洗いに行くだけ。

75歳でそれだけでもやるのは悪いことでは無いけれど、絶望的に学ぶことを嫌う母親なので、ボケが進行しても無理はないと思っていたが、実際その兆候が現れてきた様子には、さすがに私も「だから言わんこっちやないな…」となった。

確か40代で糖尿病になってから、運動するのを重視していた。
でも、そればかりで新しい事を覚えるとか、年寄りに寄ってくる詐欺師とかの対応とか、面倒なことは考えない人だ。

全て、父親に依存して生きてきていたのだ。
早い段階で認知症の薬を処方されれば進行を遅らせることはできる。
けれど、本人の意識というのは変えられない。
なんとか酷い状態にならないうちに、介護にならない程度になっていて欲しいのだが。

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