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#03 二人の先生との出会い

前述した通り、一緒に食事に行くという約束、そして、もう一つ、「一万円でどんな願 いでも、しかもどれだけでも叶う」というセ ミナーに私を案内する約束があった。

よくそんな怪しい話を真に受けるなぁと思 われるかもしれないが、山口の話しぶりからは決して、私を騙して何かに勧誘するような 雰囲気は感じなかったし、もともとこう言った宗教的というかスピリチュアルなことが好きで信じやすい環境にあった。

それは、私が父方の親戚筋に神道の先生が居て、母もその神道を引き継ぐことになった 経緯、実家に立派な仏壇があったことから、幼少の頃から、神仏に毎日手を合わす信仰心の強い人間で、所謂、目に見えない意識の世界にも依存しやすいタイプだったからだ。

仕事がうまく行っていないと感じ不安や迷 いが出てきたり、転勤のように決断を迫られる局面では、たびたび占星術などの占いや目に見えない存在からのメッセージを届けてく れるものに背中を押してもらいに行っていた。

特に、大きな決断に迫られる状況ではなか ったが、東京での生活が2年目を迎え、仕事面で明るい光が見えない状況で、先行きへの 不安と日々の疲れからも、すっきりとしない 重苦しさを感じていたので、何かの力を借りて軽い気持ちになりたかったのだと思う。

そんな心境だったところに、山口が持ちか けてきた話は、私にとって魅力的に感じ、参加を切に願った。

山口との同居生活が始まって何日か経った 休日、私は彼女の案内で、JR五反田駅近く の会議室で行われる不思議なセミナーに参加 した。

そこで、目の当たりにしたものは、多くの 私と同じように何かに縋りたいと思っている多くの人たちと一人の女性、石川先生の姿だった。

石川先生から既に特殊な能力を授かった人、そして、その人たちに誘われてやってきた人 たち… やはり一般的に見れば、異様な雰囲気で怪 しげな会かも知れないが、その時の私にとっ ては不安よりも縋りたい気持ちの方が勝って いた。

山口とこの教祖的存在の石川先生との出会 いも、私と同じくマッサージの施術者と客で、 同じように2回目以降、彼女を指名し、石川先生が彼女を自身の会に誘ったことがきっかけだった。

しかも東京から遠く離れた鹿児島で行われる会に…

石川先生は何も伝えていなかったが、山口 が数日後に鹿児島の知人(富山さん)のところに行くことがわかっていた。
(このことは、山口とのちに出てくる知人富川さんによる話から)

そんな話からも石川先生が特別視する人物、 山口という思い込みにも繋がってしまった。

そして、もう一人の先生である男性の矢作先生も山口から紹介された。

当時、知人から酷い裏切りを受け、精神的にどん底にいた山口を富川さんが毎日のように電話で話し相手になっていたが、自身では 限界だと感じ、富川さんがコーチング(セッション)を受けていた矢作先生を紹介し、しかも費用を負担してセッションを受けさせることにした。

私は、山口が私の隣で電話セッションを受けている際に、矢作先生と話をさせてもらった流れから、山口と同じく矢作先生のセッシ ョンを受けることになった。

セッションは1回120分、月2回、1年間で40万円という金額だった。

私は山口のすすめで、5月下旬から矢作先生のセッションを受けることになった。

当時の私は自分の内側と向き合い「自分が何を望んでいるか?」を問いかけるよりも外側の何かの力を借りて、人生を好転させたい と縋っていて、完全に依存傾向が強くなってしまっていた。

クスリや宗教に依存してしまう人と同じよ うに自分を一時的に満たしてくれるものを探 求め、彷徨っている状況だった。

そして、今思うと、自分の『魂』が悲鳴を上げ始め、魂が強く求めている人生の青写真 (シナリオ)への強制的、車線変更が既に始 まっていたのかもしれないと感じる。

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