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マニュアルのマニュアル本が役に立つ 2 (ゲーム説明書の文章力アップ:ゲームのルールの伝言ゲーム)

こちらはアナログゲームマガジンの連載「ゲームのルールの伝言ゲーム」の33回目、途中まで無料で読めます。文字数は約4,500字(引用込み)です。

前回から間が空きましたが続きです。

前回は書く際の意識やテクニックについて参考書籍を取り上げました。今回は、主にビジュアルで説明することの重要性とコツについて、参考書籍をとりあげて紹介していきます。

前回とりあげた本の続きの前に、もう一冊ご紹介します。


くたばれマニュアル!書き手の錯覚、読み手の癇癪

海保博之著、新曜社(2002)

タイトルの主張が激しいですが気にしてはいけません。読まなくてはならないのに読みにくい取扱説明書類に苦言を呈して、読みやすくなるにはどうすれば良いのかが書かれています。
2002年著は22年前。IT用語が古いものの、具体的な例に全力でうなづくことの多い、良い本です。

前回同様、自分に刺さった箇所を紹介していきます。

●その単語が専門用語ではないか用心する

「ヒルキモをピラッコしてください」

この一節、誰もわかる人はいないはずである。なぜなら、「ヒルキモ」も「ピラッコする」もまったくの造語であり、それが何の説明もなく使われているからである。マニュアルには、読み手にまったく馴染みのない用語が実にたくさん使われている。

P2

「いやいや、そんなに特殊な用語、アナログゲームの説明書で迂闊に書くことないでしょう」と思うかもしれません。

ここまで露骨な例は多くない(まれにあります)にせよ、実際にこのような文に出会ったことがります。

「キャラクターカードを、移動可能なエリアまでステップさせます。」

エリアがどの単位で数えるものなのかはボード等を見れば分かるとしても、
・「移動可能」かどうかはどう判断するのか、
・「ステップ」というアクションはどういうことを指すのか
などの定義が説明されていないと、理解ができません。

本書でもこういう例が出ています。

「コンピュータをセットしてください」
「てんぷらを揚げる準備をしてください」

よく知ってしまっている人にとっては、この指示の何が悪いのかがわからない。しかし、コンピュータをセットしたりてんぷらを揚げたりしたことがなければ、こんな指示をされても困るだろう。
知っている人と知らない人とのこのギャップが、実はマニュアルの表現ではしばしば発生してしまう。

P12

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