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さよなら、僕のiMac

2018年9月8日。
長いこと愛用していたiMacが息を引き取った。
iMacを購入したのは、2010年の4月。フリーランスとして仕事を始めた年からで、実に8年半も頑張ってくれた。

iMacを手に入れた経緯

私はその昔、大変なブラック企業にいた。
所謂、光系というヤツで、PCリースとホームページの制作を抱き合わせで販売する感じの会社だ。
その会社の給与支払いが、ある頃から遅くなった。月頭に半分、15日に残り半分という支払い方法が始まり、10日おきに1/3ずつ入るようになり、それが段々1/3すら入らなくなり、最終的には入金すらない状態になった。

毎日終電まで仕事してたのにね。

挙句「会社都合での退職にしてあげるから、ハローワークに行って雇用保険をもらってきてくれ。それで生活はできるだろ?それで仕事をしてくれ」という阿呆なお願いまでされた。

即、辞めた。

2ヶ月くらいで新しい会社に入った。
その頃、裏では未払い分を返してもらうため、会社とやりとりをしてくれていた元同僚と連絡を取り合っていた。
実は会社が倒産した時に未払い給与があると『未払い賃金立替制度』という未払い分の80%を国が支払ってくれるという制度があるのだ。
その流れで、労働基準局に赴き、色んな手続きをした。いくらぐらいの未払いがあるのか証明するために、通帳のコピーを取ったりもした。
私は書類を書くくらいだったが、表立って動いていた元同僚は大変だったらしい。なにせその会社の社長が、社員のほとんどが居なくなって給与支払いもなく、仕事も回っていないのに倒産を認めなかったからだ。
倒産を認めないと、立替払いをされることはない。社長の最後の悪あがきは、周りをほとほと呆れさせたものだ。

しかし、ついに倒産を認め、口座に立替払いされた大金が入ってきた。

その頃にはすでに新しい会社で仕事をしていて、色々順調に進んでいた。
生活面で困ってはいなかったが、私はそれまで使っていたPCを新調することにした。
実はそれまでPowerBook G4(OS9)を使っていたのだ。あらゆるサイトが表示できず、和ジラなんて超マイナーブラウザで頑張っていたくらいである。

新しいマシンには、iMacを選んだ。
無駄な配線がないし、あらゆるものがワイヤレスなのが魅力的だったからだ。
また、ちょうどAdobeのCS5が新しく出るという話もあり、CS4を買っておいて無償アップグレードをすると良いというのも聞いて、CS4も買った。

iMacがあったからフリーになれた

こうして自宅での作業環境が最強となったの辺りで、新しく勤め始めた会社が傾いた。
仕事はあるが、社員を確保しておくだけの財力がない状態。

まさに二の舞である。

会社都合での退職にしてもらえたが、勤めた期間が短い場合は雇用保険が支給されないのではと不安もあった。
ハローワークで聞いてみると、その前の会社での雇用期間が長く、前回の雇用保険の支給期間が短い&余っているという理由で支給してもらえることになった。
雇用保険に詳しくなってしまったのが、なんだか悲しい気持ちだったのを覚えている。

新たに就職活動をはじめたものの、良い会社には巡り合えない。
デザイナーを募集している会社に面接に行ったら、本当に欲しいのはディレクターと営業で、それで募集しても人が来ないからデザイナーで募集しているんだ、なんて言い放った会社もあって、つぶれてしまえと思ったりもした。
おかげで会社というものへの不信感はマックスに。

そのころ、短期間勤めた方の会社から「雇用はできないが人手が足りない。業務委託で仕事をしてくれないか」と誘いがきた。

私は給与の支払いが厳しくなった頃、生活費を稼ぐために副業として自分で服を作って売るという個人ブランドもやっていた。
業務委託として仕事のあてもあるなら、いっそ個人事業主に、フリーランスになったほうがよいのではないか、そう思った。
だって、自宅にはiMacとCS5という最強の環境があるのだ。なんだってできる。
業務委託しつつ、個人でweb制作やブランドをやるのは、できないことではないだろう。

こうして、iMacを相棒に、私はフリーランスになった。

海を渡ったiMac

フリーランスになってからは、あらゆることを仕事に変えて、いろんな経験を積んで、順調に働けた。
結婚し、子供だって授かった。

出産は実家のある種子島ですることになった。産前~産後2ヶ月の長期間ということもあり、iMacを種子島の実家に送った。

実家にはインターネット回線をひいてなかったので、これを契機にひいてもらった。山奥なので、ちょっと大変だった。

実家でも、調べものは全部iMacでできた。快適だった。複雑な配線が必要ないのは本当に楽だ。

限界が近づいたiMac

メモリの不安やCS5が動かなくなるなどの理由もあり、ずっとSnow Leopardのままだったが、Dropboxがサポートを終了するという警告をうけて、昨年ついにEl Capitanにバージョンアップした。

ブログ記事にも書いてあるが、iMacのメモリは4Gだ。

それでも、約1年は頑張ってくれた。
時々起動が遅くてイライラしたけど、仕方ないし、とのんびり待ったりしていた。

そしてついに、起動の途中でプツン、と真っ暗になるようになった。
PCに詳しい夫がいろいろやってくれたけど、無理だった。

データはDropboxやTime Machineがあるので心配はしていないのだが、長年連れ添った相棒の突然の死に、しばらく呆然としてしまった。

8年半。

なんだかんだあったけど、iMacと一緒に真っ黒だった会社員時代もこれで葬れるのだなぁという気持ちだ。

ありがとう、iMac。
さようなら、iMac。

新しい相棒には、メモリを16G積んだんだ。君より長く頑張ってくれるといいなと思っているよ。

今とてもこのサービスを望んでいる。

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