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自分のストーリーを生きようと思った時、私を支えるのは5つのマンガたちだった。

「マンガは人生の教科書だ!」なんてセリフ、マンガ好きの方なら一度は思ったり言ったことがあるのではないだろうか。

かくいう私もマンガは人生の教科書説を厚く信仰している。

私の経験上、勉強的な何かを教わったことはないのだが、生き方や考え方をマンガから沢山教わったと思う。

今回は、マンガサービス「アル」の企画である私を構成する5つのマンガでピックアップした作品から何を得たのかを紹介していきたい。

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右から順番に紹介していく。

1.自分の"好き"とずっと繋がる方法を教えてくれた『コンプレックス・エイジ』

主人公はコスプレに情熱を注ぐ、26歳の派遣社員・片浦渚。彼女にとって、コスプレは人生のすべて。学生の頃から続けてきたコスプレは、その界隈では名を馳せるくらい極めてきたものの、ある日鏡に映る自分の姿をみてコスプレに対して限界を感じてしまう...。

本作の主人公・渚は、自分の"好き"であるコスプレとの関わり方についてとにかく模索する。例えば、年齢を重ねなければできないコスプレもあるし、運営側にまわるなど方法は無限大。彼女が最終的にどんな形でコスプレと向き合うのかはぜひ本作を読んで確かめて欲しい。

そんな渚の物語からは年齢を重ねるとともに戦い方を変えなければいけないということを学んだ。

どんなに"好き"な分野で頑張ったとしても、現状のままでは終わりがくる。"好き"な分野との関わり方を模索して変えていくことで、いつまでも繋がっていられる、そんな前向きなメッセージを感じた。

2.別れるという愛し方があることを知った『Paradise Kiss』

生きる伝説・矢沢あい先生の『Paradise Kiss』。通称・パラキスはもう説明不要なのでは?ってくらいファンの方も多いはず。

勉強が全てだった受験生・紫が、ひょんなことから足を踏み込んだのは矢沢芸術学園に通う学生が集うアトリエ。その中でもジョージと呼ばれる一際イケメンで頭が切れるイケメンと恋に落ちるのだが...?!

日本のみならず世界中で愛されている恋愛マンガ。詳しくは本作を読んでいただきたいのだが、紫とジョージって結ばれない、なのにハッピーエンドなのだ。

どんなに相手のことを愛していても、自分の夢や意思を押し殺していたらそれは違う。それを理解していた紫とジョージ(なんと10代なのに...!)は別れる選択をする。

本作を読んだのは確か高校1年生の時だったが、この考え方は本当に衝撃的だった。以降、恋愛においてはどんなに相手のことが好きでも本当の自分でいられるかどうかを常に意識している。

3.自分が心から熱狂するものって?『大東京トイボックス』

秋葉原にある架空のゲーム制作会社スタジオG3が舞台。とにかく面白いゲームを作ることしか頭にない天川太陽、めちゃくちゃ仕事ができるけどいつも太陽に振り回される月山星乃。そんな個性豊かなメンバーで面白いゲームを作るために情熱を燃やす。

本作に興味を持った人は、『大東京トイボックス』の前日譚である『東京トイボックス』から読むことをおすすめする。

とにかくアツいゲーム業界物語。

ゲームを制作する上で予算はもちろん、表現の自由や仕様、ライバル会社の登場など本当に色々な壁にぶつかる。だが、最終的には太陽の原体験であり、心から熱狂するテレビゲームというところに立ち戻るのだ。

仕事やプライベートにおいて何か選択を迫られ息詰まった時、自分が心から熱狂するものって何だろう?そんな問いをするようになったのはこの作品がきっかけ。

4.才能は努力で補えることを教えてくれた『ピンポン』

幼馴染のスマイルとペコは、小学生時代から駅前の卓球場タムラでラケットを握って卓球に明け暮れていた。その後、高校に進学するも天才肌のペコはとにかく自由奔放で部活や練習もサボり放題。だが、徐々に開花するスマイルの才能を目の当たりにしたり、屈強なライバルの登場で"負ける"という経験をするペコ。卓球を舞台に少年たちのアツき戦いを描く。

本作は、天才・ペコと鬼才・スマイルによって「才能」について残酷ながらもリアルに描かれている。ペコは才能があるのを良いことに、努力することを怠ってしまう。けれど、強者がゴロゴロいる戦いの世界では才能だけでは勝つことはできないのだ。

ペコは後に、自分の才能に努力をプラスして覚醒していくのだが、その姿から才能は努力で補えることを学んだ。努力...というよりか「毎日〇〇をする!」といった継続することが好きなのは、完全にペコの影響かもしれない。

5.つらかった中学時代に自分を支えてくれた「鋼の錬金術師」

私を構成する5つのマンガで最も選ばれたマンガ1位に輝いた『鋼の錬金術師』。...私も選びました!

この作品に関しては命の恩人と言っても過言ではない。

この作品に出会った時のことは今でもよく覚えている。当時、小学4年生だった私は土曜日の夕方家で留守番をしていた。その時にたまたまTVから流れてきたのがアニメ『鋼の錬金術師』だった。

主題歌のポルノグラフィティのメリッサに合わせて颯爽とテレビの中で走る主人公・エドワードエルリックに一瞬で目が釘付けになった

アニメ・マンガ界のイケメンといえば「NARUTOのうちはサスケ!」と言っていた小学4年生の私にとって、エドワードは衝撃的なビジュアルだった。(大人になった今でもつり目のキャラクターが大好きです)

金色の髪を靡かせ、鋭い黄金の瞳、軽い身のこなし、抜群にキレる頭...。極め付けに、義足と義手というなんだかミステリアスでダークな設定!

そこからはあれよあれよという間に、なけなしのお小遣いをはたいてコミックスを全巻購入し、時にはお年玉を持ってドキドキしながらアニメイトへ足を運んだ。

初めて画集を買ったのも『鋼の錬金術師』だったし(作者の荒川弘先生はご自身の経験から小学生でも購入できる価格設定にしたらしい!)キャラクターソングと言う世界を教えてくれたのも『鋼の錬金術師』だった

月日は流れ中学生になった。中学生に入るとクラスの男子がジャンプやらサンデーを学校に持ってきて回し読みしていた。今まで読んだことのないマンガのジャンルに触れたり、マンガの話ができることがたまらなく嬉しかったし楽しかった。何より大好きな『鋼の錬金術師』の話ができたことも嬉しかった。

でも、そんな楽しい日々は長く続かなかった。

純粋にマンガが好きで男子からジャンプやサンデーを借りることは、私の所属していたコミュニティの女子の間では反感を買う行為だったようで、あっという間に「ぶりっこ」だの「男好き」だの言われてクラスで孤立した。

幸いにも部活に所属していたため完全なる孤立ではなかったが、放課後までの時間が苦痛でしょうがなかった。今のようにスマホもなくSNSも普及していない時代だったから、とにかく暇で暇でこのまま机と一緒に溶けて消えちゃうんじゃないかとさえ思えた。

そんな日が続くようになってから、学校に『鋼の錬金術師』を持ってくるようになった。そらでセリフが言えてしまうほど何百回も読み返したが、自分の「好き」に触れている瞬間は苦痛を感じなかった。

例えクラスの女子に無視されても、課外学習で一緒にグループを組む友達がいなくても、聞こえるように悪口を言われても。果敢なエドワードや誰よりも優しいアルフォンス、ちょっと勝気だけど可愛げのあるウィンリィ、大人の魅力が詰まったマスタング大佐...そんなキャラクターたちの物語に触れることで私は嫌なことを忘れられた。

学年が上がると同時にしょうもない仲間外れ(?)は終了。結果、とても楽しい中学校生活を送った私であったが、そこから何かにつけて辛い時は『鋼の錬金術師』に頼ったり『鋼の錬金術師』で願掛けをするようになった。

例えば、中学3年の高校受験期には「志望校に合格するまで『鋼の錬金術師』を読まない!」と謎のハガレン断ちをしたり....

(高校入学後に、受験期に発売された単行本を一気読みした時には涙が出ました)

そんな風に私を支えてくれた『鋼の錬金術師』も終わりを迎えることになった。

2010年6月11日(金)。

『鋼の錬金術師』の最終話が掲載された少年ガンガン7月号が発売された。
この7月号は瞬く間に完売となり最終話が読めなかった人が続出。そのため、翌月号にも『鋼の錬金術師』の最終話が掲載されるという異例かつ伝説的なフィナーレを迎えた。

2010年のあの夏、私は大学生1年生だった。大学の講義を途中で抜けて少年ガンガン7月号を買いに走った。そのまま家に帰宅してリビングに座り込み食い入るように読んでしまった。

ネタバレになるので内容には触れないが、そこには小学4年生の私が胸をときめかせたエドワード・エルリックのストーリーがしっかりと完結していた。汗なのか涙なのかよくわからない液体が全身から吹き出して、結果大号泣したことは今でもよく覚えている。

『鋼の錬金術師』の最終話を読んだあの時、ぼんやりと心の中で誓ったことがあった。それは、"自分の人生をしっかりと生きること"。これから先、中学時代のことなんて比ではないくらい辛いことがあるのかもしれない。でも、エドワードのように自分の足でしっかりと生きて自分のストーリーを作っていこうと。

2020年現在、社会人6年目を迎えた。

自分でも予想していた通り、中学生の時のなんてへでもないくらいのハードサムシングがあった。でも、一生の友と言えるほどの仕事仲間ができたし、今は会社員をしながら大好きなマンガという領域でライターもさせてもらっている。

きっとこれからも私の人生には楽しいことだけじゃなくて辛いことや悲しいことがたくさんあるんだろう。

でも、

コンプレックス・エイジが教えてくれたみたいに、戦い方を変えてしっかりと向き合えばいい。

Paradise Kissの紫みたいに、自分を貫けばいい。

大東京トイボックスの太陽みたいに、心から熱狂することを大切にすればいい。

ピンポンのペコのように、足りないなら努力で補えばいい。

何度だって立ち上がればいい。エドワードがいうように私には立派な足がついているのだから。

エドワードのようにしっかりと自分のストーリーを生きようと思った時、今まで読んだマンガが私を支えてくれるのかもしれない。

そんな、私を構成する5つのマンガたち。

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