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文化放送 超!A&G+「ラジラブ!」で紹介したマンガ(1/10回)

 沢山の人に伝えたいと思っている“好きなもの”を一人だけで30分自由に語り尽くすことのできるラジオ番組、文化放送A&G+「ラジラブ!。第4期パーソナリティを務める、ちゃんめいです。2024年1月10日より、隔週水曜放送で1クール(全6回)担当させていただいとります!

 普段はマンガのレビューやコラム、漫画家さんインタビューなどを担当させていただくマンガライターとして活動中です。というわけで、私が「ラジラブ!」で語るのは大好きなマンガの話。といっても、ただ好きなマンガを語るだけではなく一応テーマがありまして。毎回「人間の感情」の中からピックアップ。例えば、喜び、悲しみ、怒り、驚き……など様々な感情からイメージされるマンガを紹介していきます。下記YouTubeよりアーカイブ視聴が可能です。

 本記事ではラジオ内で紹介したマンガを紹介。詳細や推しどころはぜひアーカイブをご覧いただきたいのですが、あ、あとで読んでみよ〜! と気になった方の積読リストに……という気持ちでまとめています。ぜひラジオと共にチェックしてくださませ〜!

 2024年1月10日回では「喜び」をテーマに5作品をセレクトしました。


ねこに転生したおじさん(やじま先生)

 昨年の2月に「X」に彗星のごとく登場した“ねこおじ”。ある日、猫に転生してしまった主人公のおじさん。猫の身体に戸惑いながらものんびりと野良猫生活を送っていたおじさんだったが、なんと生前の勤め先の社長に拾われることに。いつも怒りっぽく怖い印象しかなかった社長だが、自分(猫)を目の前にすると「きゃわいいねこたん〜!」と人が変わったようにデレデレに。その後、“プンちゃん”と名付けられたおじさんは、社長とともに猫ライフを満喫していく。

 プンちゃんが何らかのリアクションを取るたびに、その背後にはまるでスタンドのように生前の“おじさん”の姿が.....という非常にユニークな表現と共に展開していく本作。しかも、ここで描かれている“おじさん”とは、従来の創作で描かれてきたシュッとしたイケメン風味のおじさんなどではなく、言葉を選ばずにいえば“ガチもんのおじさん”だ。だからこそ、猫と連動したおじさんの表情がなんともシュールで笑いを誘うし、なぜか読めば読むほどそのおじさんが可愛く、愛おしく見えてくるという“ねこおじマジック”に驚かされた。笑って癒される!  読んでいると心がふわっと丸くなって満たされていく感覚がある。心が満足していく……まさに喜びの極み!!

よつばと!(あずまきよひこ先生)

 5歳の少女・小岩井よつばと彼女の周囲を取り巻く人たちとの日常を描いた本作。よつばの子ども特有の行動や発言のリアルさ、とーちゃんやお隣さんのよつばの好奇心を大切に大切に伸ばすような、優しいコミュニケーション。もう全てが温かくてほっこり。あと、この作品ってモノローグがないんですよ。そして背景描写がやたらリアル。なんだかとある一つの家族のアルバムなのか、8mmなのかで見つめているような……尊い思い出を一緒に辿るような読後感に包まれる。

スキップとローファー(高松美咲先生)

 石川県から東京都の高校に首席入学した岩倉美津未を中心に繰り広げられる、スクールコメディ。この作品を語る上で「共感」というキーワードは欠かせない。高校生たちの眩しくて綺麗な青春だけではなく、皆、心のどこかに身に覚えがあるような薄暗い思い出や感情。例えば、突然恋に落ちたり、誰かのことを段々と好きになるという光の面はもちろん、だけではなく、時には嫉妬したり、誰かの幸せを素直に祝えなかったり……そんなリアルな影を丁寧に描いているから、あぁ、私って1人じゃなかったんだって思える優しさがあるし、時差で救われる。あと1人1人のキャラクターにしっかりスポットライトが当たるから、最初は「ん?」と思ったキャラクターも好きになる。なんだか現実世界でもそういうことってあるよなって。

ひらやすみ (真造圭伍先生)

 主人公は生田ヒロト、29歳、フリーター。定職なし、恋人なし……ときたら何かしら悩んだり不安がありそうだけど、そんなこと全然ないお気楽な自由人。そんな彼は、人柄のよさだけで仲良くなった近所のおばあちゃんから、タダで一戸建ての平屋を譲り受けることに。その後、山形から上京してきた18歳の従姉妹・なつみちゃんと一緒に二人暮らしをするのだが、もうすぐ父親になる親友・ヒデキ、激務な不動産OL・よもぎさん……など、なぜかヒロトのもとには生きづらい悩みを抱えた人々が集まる。

 悩みを抱えた人に対して、ヒロトは何か良いことを言うとか、わかりやすく助けるとか、そういうことは一切しない。でも、結局みんなヒロトに救われているっていう。平熱感のあるというか、わざとらしくない自然な優しさが本当に心に染みる。本作を読んでいると、人間関係って正直疲れるし、人生の悩みの大半って人間関係だよなと。ならば極力関わらなければ良いのかとも思うんだけど、人と人との関わりの中にしかない温かさってあるし、その過程が自分を作るんだよなって改めて思い知らされる。あと、外の風景や、食卓に並ぶご飯とか、季節がちゃんと巡るところもすごく好き。流れゆく季節、暮らす喜び……というものを絵とストーリーでフルに感じる作品。

君と宇宙を歩くために(泥ノ田犬彦)

 世の中に、“普通”の基準やソレを測る物差しなんてないけれど、例えばその場の空気を読んで会話をしたり、マニュアル通りに仕事をこなしたり.......世間一般が求める“普通”というものはやっぱり存在すると思う。『君と宇宙を歩くために』は、みんなが普通にやっていることができない、ヤンキーと転校生の友情を描いた作品。

 ヤンキーの小林は勉強もバイトも続かず、何においてもドロップアウトぎみ。だが、彼は決してやる気がないのではなく「わからない」だけなのだ。勉強では何がわからないのかがわからない、バイトだって頑張りたいのにみんなと同じように仕事がこなせない。普通ができない自分に苦しんでいるキャラクターだ。そんな彼は、転校生の宇野との出会いをきっかけに変わりだす。

 本作はそんな2人に普通を強いるのではなく、普通というものに歩幅を合わせる.......つまり、この世界で心地よく生きていくにはどうしたら良いのか? と。各々のペースで試行錯誤して前進していく物語なのだ。今いる場所から歩み出そうとする姿は、前でも、それが例え右や左だったとしても、こんなに眩しいものなのだと。新しい光を掴んだような気持ちになる作品。


次回の放送は1月24日(水)16:30〜。第2回のテーマは「怒り」。人間の「怒り」の感情をテーマにマンガをご紹介します。ぜひお耳をお貸し下さいませ。

お便りやリクエストは【radilove@joqr.net】まで。お待ちしております!


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