羽田空港に着いた。
成田空港までは、高速バスで１時間ほど。

今思うと羽田からも、何かしらアフリカに行く手段はあっただろうから、急いでなりかに行く必要もなかったのだけど、その時はそんなことを考える余裕もなかった。

バスの中は、しばしの休息で、
何年ぶりかに訪れる東京の景色にいちいち興奮して、毎枚も写真を撮った。
お台場のフジテレビ、東京スカイツリー、東京ディズニーランド(かシー)、東京タワーも見えたかな？

成田空港に着いてタイ行きのチェックインカウンターに行ってみたが、
やはり、入国できないとわかっている人を飛行機に乗せることはできない。と。

そりゃそうだ。

いったん、コーヒーを飲んで考えよう。

大切なのは、いつなんどきも心の余裕を忘れないこと。

怒っても、嘆いても、どうやらこの方法ではいけないようだから、他の方法を考えよう。

Zippaireからタイ経由でアフリカへ向かうには書類が必要で、入国許可証を取得するのにはタイ大使館に申請して、最低３日はかかるそう。
（ほら、やっぱり、変更メールが届いてすぐに手続きしたとしてもギリギリ間に合わなかったじゃないか。）
もしそうするなら、東京での宿泊代もかかるし、
前日に取得したPCRから３日以内に出国できないことになるから、またPCRを受けないといけない。

そうなるときっと、新しく航空券を買い直すのと変わらないくらいお金がかかるだろう。

ならば、絶対今日出発したほうがいい。

絶対に、今日、出発したい。



そうと決まれば、そうする方法を探すだけ。
タイからは、エチオピア航空に乗る予定だったから、急いでエチオピア航空に電話した。

電話越しのお姉さんに事情を説明すると、
ちょうどその日に、成田空港から１本でエチオピアまで行きトーゴへの乗り継ぎもスムーズな便もあるという！！

（帰国時に調べてわかったことどけど、この便は４日に1本しか無いようだったから本当にラッキーだった。）

エチオピア航空のお姉さんは「窓口で買うより、ネットで買ったほうが安いから」とまで教えてくれて、
ネット予約中に３度も電話を掛け直してくる、ネット予約のメリットをフル無視してくる多分おバカな顧客にも最後まで優しく対応してくれた。

これまた、帰国時に思うことだけれど、エチオピア航空の日本人スタッフのお姉さんはみんな親しみやすくて優しい。
エチオピア航空は問題が多いといろんな人から聞くけれど、
コーヒーも美味しいし、機内のエチオピア人のスタッフさんは少し怖いけど、制服が素敵だし
何より、出発と帰国で２度もお世話になった恩を返すために、私はこれからもずっとエチオピア航空を使うと決めた。


（筆がそれたので、続きに戻ります。）


予約が取れて、とにもかくにも、今日中にトーゴ行きの飛行機に乗れそうだ。

ターミナルを移動して、エチオピア航空のカウンターの前まで行ったけど、
チェックイン開始まであと３時間はあった。

冷や汗をかきまくった服を着替えて、円をユーロに両替して、入国時に受けるPCRのオンライン登録をして、
オンラインチェックインをすませるともう搭乗の時間だった。


家を出てから１６時間。
長い一日だった。

最後に、親と恋人に最後の電話をして飛行機に乗った。

1年４ヶ月ぶりの海外。
ほんとのほんとに旅が始まるようだった。

６割の不安と４割の寂しさと、0.5割のワクワクを胸に、
次第に小さくなる東京の夜景を眺めた。