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「飲酒運転ゼロを目指して何をなすべきか」飲酒運転根絶の日決起大会シンポジウム

日時:平成29年7月13日(木)13:00~15:30
場所:かでる2・7 かでるホール(札幌市中央区北2条西7丁目)

【司会】
 それでは皆様、お待たせいたしました。
 飲酒運転根絶の日決起大会シンポジウムへと進ませていただきます。
本日は、「飲酒運転ゼロを目指して何をなすべきか」をテーマに、様々な角度から討論をしていただきます。

 本日のシンポジウムの皆様方をご紹介させていただきます。
 ステージ向かいまして左手側からご紹介いたします。
 本日コーディネーターを務めていただきます愛媛大学法文学部 教授の 
小佐井 良太(こさい・りょうた)様でございます。

 続きましてシンポジストといたしまして4名の皆様方をお迎えいたしました。

 北星学園大学社会福祉学部教授 田辺 等(たなべ・ひとし)様でございます。

 そしてAIR-G’ FM北海道 パーソナリティ 高山 秀毅(たかやま・ひでき)様でございます。

 シンガーソングライター桜庭 和(さくらば・ひとし)様でございます。

 テレビ北海道報道制作局報道部記者 玉木 亜実(たまき・あみ)様でございます。
 
 以上の皆様方に本日討論をしていただきます。

 それでは簡単ですが皆様のプロフィールを簡単にご紹介させていただきます。

 まずは、本日のコーディネーターでいらっしゃいます、小佐井様、法社会学という分野で、法や裁判の役割と課題の検証が専門でいらっしゃいます。
本道との関わりも大変深く、2015年6月に小樽・砂川の飲酒運転事件に関わりNHK「クローズアップ現代」などに出演されていらっしゃいます。

 また昨年の「飲酒運転根絶の日決起大会」では、「飲酒運転死傷ゼロの実現に向けて」と題しまして、貴重なご講演をいただきました。
 本道各地での講演も多数行っていらっしゃいます。

 本日はコーディネーターを務めていただきます。
 お願いいたします。

 そしてシンポジスト4名の皆様です。
 田辺(たなべ)様は、精神科医としてこれまで北海道立精神保健福祉センター所長や内閣府の「アルコール健康障害対策関係者会議」の委員等も歴任され、アルコールやギャンブル依存症などに関する研究をはじめ、著書も多数出版されていらっしゃいます。

 そしてAIR-G’FM北海道の高山様は、パーソナリティとして現在、大変お忙しくご活躍されていらっしゃいます。
 ご自身の番組やイベント等でSDD(STOP!DRUNK DRIVING)飲酒運転ゼロの取組プロジェクトの取組等も多数行っていらっしゃいます。

 そしてシンガーソングライターの桜庭様は、これまで数多くのTV-CMソングの提供や映画の挿入歌、劇団や舞台、イベント等への楽曲提供を手掛けていらっしゃいます。
 2015年には北海道警察交通安全アドバイザーにも就任していらっしゃいます。

 そして、テレビ北海道報道制作局報道部記者玉木様は、学生在学中に、飲酒問題のない世界を目指して活動していた「アルコール問題対策委員会」の副代表として「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」の制定に向けての署名活動やシンポジウムの開催など様々な活動を実践していらっしゃいました。

 以上の皆様方でございます。
 様々な角度からテーマに基づいて討論をいただきましょう。
 
 それでは、コーディネーターを務めていただきます小佐井様にマイクをお渡しいたします。
 お願いいたします。

≪シンポジウム≫

【小佐井教授】
 皆様こんにちは。
 ただ今ご紹介いただきました愛媛大学の小佐井と申します。
 本日のシンポジウムのコーディネーターを務めさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

 今、ご紹介ありましたように4人のシンポジストの方をお招きしてシンポジウムという形でこれから進めさせていただきますけれど、実質的にはもうちょっとトークセッションのような形で比較的フランクな形での話ができればなという風に思っています。

 フロアの皆様と一緒に飲酒運転の問題についての認識や問題意識を共有したいということを考えております。
 それで、本日のテーマが「飲酒運転ゼロを目指して何をなすべきか」ということですけれども、いくつかポイントがございます。

 ひとつは、飲酒運転を根絶する、その根絶に向けての課題としてどういったことがあるのか。そのことを確認するということ。

 また、飲酒運転を無くしていく、飲酒運転ゼロの社会を実現していくために、具体的にどのような取組や施策、言わば処方箋のようなものが必要になるのか。そういったことを考えたいと思います。

 特に飲酒運転の根絶に向けて今日はまさに、「飲酒運転根絶の日」ということで、全道各地で決起大会が行われている訳ですけれども、道民の皆さん全体での飲酒運転を無くしていくための機運、意識の醸成、そういったことのためにどういった方法をどういった取組が必要なのか、どういった取組がより効果的なのか、そういったことをシンポジストの皆様のご経験等を踏まえて、検討出来ればと思っています。

 このシンポジウムの最初のスタートにあたりまして、現在、北海道で飲酒運転を取り巻く状況がどのような形であるのか、現状どういう状況にあるのかということにつきまして、ちょうど条例が制定されてから1年半ぐらい経つかと思いますけれども、条例制定後の検証という形で幾つかデータに基づいてお話しをしていただきたいと思います。

まず、説明のほうよろしくお願いいたします。

【北海道環境生活部くらし安全局中野課長】
 道内における交通事故及び飲酒運転等に関する状況について簡単にご説明させていただきたいと思います。
 お手元に資料もお配りしておりますので資料もご覧になっていただければと思います。

 昨年の人身交通事故の発生件数でございますが11,329件、死者数は158人、一昨年に比べまして19人減少して、昭和25年以降もっとも少ない年となっております。

 飲酒を伴う交通事故につきましては、人身事故が162件、死者11人、負傷者220人とここ数年増減を繰り返しながらも減少傾向で推移しているということができると思います。

 飲酒を伴う交通事故の主な特徴でありますが、人身事故に関しましては、3月と12月、死亡事故は5月が多かった、それから午後10時から午前2時にかけての発生、土日の発生、こういったことが多かったということ、

それから事故の累計でいきますと追突事故や車両単独事故、30代、40代の運転者による事故が多かったなどのほか、飲酒を伴う事故は飲酒無しの事故に比べ致死率が約5.9倍、事故原因に占める最高速度違反の割合も14.5倍と高くなっているところでございます。

 また、本年における昨日までの交通事故死者数でございますが、先ほど道警本部長のご挨拶にもありましたとおり、63人、前年同期と比較すると3人の減少となっております。

 飲酒運転を伴う交通事故につきましては、6月末で発生件数58件、死者2名といずれも昨年に比べて減少しているところであります。

 また、飲酒運転の検挙につきましても今年は21%減少しているということでございますが、知事のご挨拶にもありましたとおり、3月4月に札幌市内で飲酒運転の逮捕事案が連続して発生して、緊急対策に取り組むなど、未だに飲酒運転が無くなっていないということを実感させられる結果となっております。

 飲酒運転の根絶につきましては、昨年の今日実施いたしました飲酒運転の根絶の日における決起大会のほか、ビアガーデンなどイベント会場などにおける啓発、JR札幌駅におけるテレビ局などのマスコットキャラクターによる啓発、関係機関団体等のホームページにおける飲酒運転情報の掲載を通じた飲酒運転根絶の呼びかけなどを行っているところでございます。

 その他にも、近年飲酒運転を伴う重大事故が発生いたしました小樽市、砂川市、室蘭市を始め、多数の市町村においても様々な飲酒根絶に向けた啓発活動が行われております。

 また、話が変わりますが、今年啓発で使います飲酒運転根絶のチラシについてでありますが、お手元にお配りしてありますとおりピンク色の目立つ配色となっております。

 右上にチーム道民は、飲酒運転を「しない、させない、許さない」を合い言葉に飲酒運転ゼロを目指します。と最終的な目標を掲げつつ、飲酒運転を行おうとするものが現れないよう、双眼鏡を中心に大勢の人を配置した、道民皆が見てますよ!というデザイン。

 そして、真ん中の下の方でありますけれども、チーム道民は飲酒運転を決して見逃さないという強いメッセージを送っております。

 さらに今回新たに飲酒運転根絶のロゴマークを作成いたしました。
 ロゴマークはチラシの左上に印刷されておりますが、北海道と道路標識をモチーフにした車の中に、お酒のデザインと飲酒運転根絶の願いを込めた「NO」の文字を盛り込んでおります。

 このロゴマークは、幅広く道民の皆様に飲酒運転根絶を訴えつつ、親しみやすいもの、また、飲酒運転根絶に取り組む方が広く利用出来るものとなっておりますので、各団体の機関誌、折り込み広告の作成等是非このロゴマークを使用して飲酒運転根絶運動の広がりにご協力をお願いしたいと思います。

 これから本格的な行楽シーズンを迎え、飲酒運転の増加や事故の多発が懸念されますことから、引き続き道といたしましても関係機関団体の皆様と連携を密にして、交通事故防止や飲酒運転の根絶に取り組んで参ります。

 今年も昨年同様、飲酒運転根絶に向けた様々な取組が各地で実施されておりますので、皆様も積極的に参加していただくなど、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

 簡単ではございますが、ご説明にかえさせていただきます。

【小佐井教授】
 どうもご説明ありがとうございました。
 今、ご説明がございましたように、平成28年、昨年1年間の交通事故及び飲酒運転に関する状況、あるいはこの6月末までの状況等について、ご説明をいただきました。

 全体としては、飲酒運転の事故件数、死者数ともに減少傾向にあるとはいえ、未だに飲酒運転が無くならない現状にあるということが、皆様にも改めて共有出来たと思います。そのことを踏まえて、これからシンポジウムの方を進めさせていただきます。

 今回、こういった形でシンポジウムを行うことの意義ということですけれども、改めてこの7月13日、飲酒運転根絶の日に、飲酒運転の問題を考える、そして、まさに条例で謳われていますように、飲酒運転を「しない、させない、許さない」という、飲酒運転根絶への願いを全体で共有をしていく。そのための一つの契機になればと考えます。

 ご承知のようにこの間、飲酒運転に関する厳罰化や処罰の厳罰化が進み、一定の成果があったと言われていますけれども、まだ飲酒運転の根絶、飲酒運転ゼロというところの実現までには、まだまだ道のりが険しいといわざるを得ないというところだと思います。

 飲酒運転の背景には、今日シンポジストの一人の田辺さんからもお話しをいただきますが、多量飲酒でありますとか、アルコール依存症といったその病気の問題も背景にあるということが言われています。

 そういったことの問題についても、今日は皆様と認識を共有出来ればと思っています。

 今回のシンポジウムではそういうアルコール問題や依存症といったことも一つの切り口としてですね、飲酒運転の問題の背景にあるアルコール問題も考えていくことが重要だと思います。

 そして多方面からシンポジストの皆様お越しいただいていますので、それぞれのお立場から、飲酒運転の根絶に向けて今何が必要か、どういったことが課題なのか、それぞれの思いをお話ししていただければ、それを踏まえて皆様と飲酒運転の根絶のための取組について改めて認識を共有したいと思っております。

 それでは、ここから本題ということで入らせていただきます。
 まず、先ほど全体の司会者の方からですね、シンポジストの皆様それぞれの簡単な自己紹介ありましたけれども、改めて今日このこれからのシンポジウムでご発言いただく際の簡単な自己紹介をもう一度お願いしたいと思いますが、まずは田辺さんからお願いします。

【田辺教授】
 私は精神科医でして、専門はグループカウンセリングというですね、精神療法、心理療法の中でも、集団でやる治療法なんですが、依存症の方の回復にはとても良い方法なので、長らくそういうものをやってきました。

 その関係もあって、精神福祉保健センターに務めていたこともあって、アルコール健康障害対策基本法っていうのが平成25年に制定したのですが、26年から28年まで2年間、第1期の基本計画っていうのを内閣府で携わりました。

 この飲酒運転の背景にアルコール問題、そして依存症問題もあるということで、私なりの考えをこの後お時間いただいてご提案出来ればと思っています。

【小佐井教授】
 ありがとうございます。
 では続きまして高山様よろしくお願いいたします。

【高山氏】
 AIR-Gエフエム北海道の高山秀毅です。
 よろしくお願いいたします。
 普段は金曜日の朝7時半から12時55分までリプライズという北海道の情報、ニューススポーツなどをお届けしている生放送で皆様にお話しをしています。

 また、日曜日の朝6時からはクラッシクの番組「朝クラ」という番組で自分の好きなクラシックの音楽を全道に届けている訳なんですけども、そうしたおしゃべりをするDJとしての仕事の他に先ほどご案内いただきましたSDD(STOP!DRUNK DRIVING)というプロジェクトを立ち上げまして、北海道の中で少しでも多くの方にこの考え方を広めようと活動をさせていただいております。

 STOP!DRUNK DRIVING 簡単に言うと「飲酒運転はお酒を飲んだら車を運転しなければゼロになります!」という活動です。

 一番最初にこの考え方を聞いたのが今から10年前に大阪でスタートしました。大阪の私たちの仲間のエフエム大阪というところの放送局の人たちがちょっと離れた所なんですけど、福岡で起こった「海の中道事件」でお子さん達の幼い命がなくなったことを契機に、福岡ではなく大阪からこのSDDの活動はスタートしました。

 離れていた方がやりやすかったのかもしれません。
 当事者の方がいなかったので。

 4年前でしたが、私がその大阪の活動をいろいろ拝見して、まずお酒を飲んだら車を運転しなければゼロになりますよ!という撲滅だとか無くそうという、いわゆるその声を上げるような運動の言葉というのは今までも交通安全の中でたくさん使われてきたんですけども、飲酒運転に関してゼロに出来るんだよと言われたときに、こんなに新鮮に感じたことはありませんでした。

 そこまで言い切れるのかと。簡単なことではないですけれども、それを目指していくために、自分は何が出来るか、大阪で行われているメッセージを届けたり、ステッカーを配ったりすることを北海道に持ち帰ろうと思いました。

 どこかのお祭りで、高知の「よさこい」を見て、北海道でよさこいソーランが出来たみたいな話にちょっと近いのかもしれませんけど、私は北海道でこのSDDを大阪で始まったものだから大阪のものじゃなくて、全国に広めて行けたらいいなと思って、日々放送を通じて呼びかけをしています。

 後ほどまた詳しい活動の内容はお伝えしたいと思います。
 今日はよろしくお願いします。

【小佐井教授】
 ありがとうございます。
 では続きまして桜庭さんよろしくお願いいたします。

【桜庭氏】
 皆さんこんにちは。桜庭和と申します。
 今日は、僕はどちらかというと、皆様と同じく一市民の立場で参加して一緒にお勉強して帰りたいなと思っておりますが、今日、この「かでる2.7」にお集まりのこの会は、お仕事ではなくて、例えばこのチラシを見ていらっしゃったという市民の方はどれくらいいらっしゃいますか。

 手を上げていただいてもよろしいですか。
 はい。私チラシ見てきました。誰かから聞いてきました。という人、あっいらっしゃいますね。

 ありがとうございます。お越しいただいて。
 あの歌い手ですので、コンサート活動、そして自分のラジオの番組を担当したりしています。

 ですので、なかなか市民の皆様方に感心を持っていただけない、なかなか無くならない。
そ れを自分のコンサートや番組の中でリスナーの皆さんに聞いていただこうと言うような活動をしております。

 具体的には、1番最初にこういった活動をするきっかけになりましたのは、110番の日に1日警察署長を務めたのが1番最初のきっかけでありました。

 通信指令室長、110番ですね。
 どのように正しくかけるべきかそういった呼びかけ。
 あとは#9110警察に相談したいという専用のダイヤルですね。そういったことを呼びかける1日警察署長を務めてきました。

 そしてさらにこのように何年も何年も活動をさせていただいて、交通安全アドバイザーという職を頂戴するきっかけになりましたのは、ものすごく残念な話でありましたけれども、私がこの土地の広い北海道各地でコンサートをやるものですから、ファンの方も同じく移動されてきます。

 自分で自走で運転されたファンの方が道中、私のコンサートを聴きに来る時に、交通事故でお亡くなりになりました。

 それを目の当たりにしたときに、あー自分は聴いてくれる方々が健康でお会いすること、これは全く当たり前のことではないと感じ、自分の大切な人達を、少しでも幾ばくかでも守るというと大げさですけれども、

大切に思えるのであれば、こういった活動を続けさせていただこうと思ってずっとずっと番組、私のコンサートなどに警察の関係者の方々や被害者支援の方々がステージに上がっていただいたり、番組に来ていただいて、お話しをしていただいたりしています。

 そんな活動をしているシンガーソングライター桜庭和です。
 今日は皆さんどうぞよろしくお願い申し上げます。

【小佐井教授】
 桜庭さんありがとうございます。
 では最後に玉木さんよろしくお願いいたします。

【玉木氏】
 テレビ北海道TVHの報道部の玉木亜実と申します。
 去年の春まで学生でして、その時にアルコール問題対策委員会という学生からなる委員会で活動していました。

 アルコール問題対策委員会は、もともとは学生が部活動やサークルでの飲み会で飲み過ぎてしまって、急性アルコール中毒で亡くなったという話を聞いて、委員会を立ち上げたという経緯があったんですけれども、小樽の飲酒事故もあって、そういったことを受けて活動内容としては、飲酒運転を撲滅するという内容も含めて活動をしてきました。

 詳しい内容としてはチラシを作ったりですとか、街頭啓発あとは、条例制定のためにみんなで人を集めて署名活動をしたりですとか、そういったことをしてきました。

 そういった学生の時の活動の中で将来記者になってそういった報道をして社会問題とかも伝えていきたいという風に思ったので今の場所で働くことを決めて、今記者をやっています。

 本日立場としては、学生の時に活動した内容ですとか、そういったことも含め、今記者としてどういうことを感じているかということから話せたらと思います。
 本日はよろしくお願いいたします。

【小佐井教授】
 玉木さんありがとうございます。
 シンポジスト4人の方にそれぞれ簡単に自己紹介いただきましたけども、それぞれのお立場でそれぞれに飲酒運転の問題にあるいは飲酒運転を無くしていくための取組に熱心に活動されているということが非常に伺えたのではないかと思います。

 それぞれの方の取組や活動についてはこれから少しずつ掘り下げて、時間の許す範囲でお話しをまた伺いたいと思います。

 その中でまず始めにですけれども、最初にですね、先ほど田辺さんのお話にありましたけれども、飲酒運転が無くならない、根絶出来ない、ゼロにならない、背景の一つには飲酒運転の背景にアルコール問題、依存症でありますとか、そういった問題を抱える人たちの問題があるという風に言われております。

 まず最初に田辺さんから、そのアルコール問題と飲酒運転との関係、それについてどのように考えたらいいのか。どのような対策があるのか、そういったことについてちょっとミニレクチャー的な形式になりますけれども、パワーポイントの資料を使って、ご説明、お話をいただきたいと思います。
では、田辺さんよろしくお願いいたします。

【田辺教授】
 はい。アルコール健康障害対策基本法を踏まえた制度(北海道飲酒運転の根絶に関する条例)が北海道でも作られて、その実際どんな数字で推移しているのかということの速報値ですが、違反者が警察から事後書状で「保健所に相談に行きなさい」と促されるわけですけれども、941件あったと、実際にその相談者数は、11件とただ保健所サイドからいえば既に相談していたものとか、本人が経緯を伏せて来所した相談は、ここの数には入ってこない。

 それにしても非常に少ないというですね、折角の制度が実際にアルコールの問題を指導を受けると保健活動の中でじっくり扱うと言うことが、進んではいないと言うことです。

 警察は今も取消処分の人には講習をしていると聞いてますし、全国でも大阪府警あるいは沖縄県警、今回ちょっと福岡のケースをちょっとデータを頂いてきたのですが、福岡、そして三重、こういった取組があります。

 ですから、他県がどんな風に実績を積んでるのかって言うことを、ちょっと学んでみました。
 そうしますと、福岡県のケースではですね、黒いところは受信していないですね、報告していない。

 つまりですね福岡の方は途中で法律を強化しまして、本人が受診したかどうかを知事に報告する義務があると、いう風にしたわけなんです。
守っているのは60%ぐらい、黒いところは守ってない、または報告していない人ですが、この中には実際には報告出来ない7名の死亡者も含まれています。

 それにしても、受診率ですね、これは2回目の飲酒運転違反者、1回目じゃなくて2回目です。
 再犯者64名に対して行った調査で受診率は57.8%と、このうち赤の部分がアルコール依存症と診断された16%と。

 それからアルコール依存症ではないけども、問題があるから飲酒行動を改善するプログラムというものに参加しなさいといわれた人は約3分の1と綠の部分です。

 5名の方は、啓発プログラム、啓発週間の時のそのくらいの参加をしてくださいという分け方になっておりますが、これをですね、報告者だけの内訳で見ますと、つまり報告義務を守った人だけで見ますと4分の1の方はアルコール依存症者であるということが、福岡のデータです。

 そして福岡は、条例を強化して北海道を900名くらいでしたけども、1,000名くらいの1回目の運転違反者、1,072名で統計を取ってみたら、受診率は30%だったと言うことです。

 この受診は、指定された病院に受診するか、保健所と精神保健福祉センターで飲酒行動に関する指導を受けるか、それを合せたものですが、30%はそういう行動を取っていると、飲酒に問題があることを反省して是正する行動を取っていることがわかってきました。

 ということは、福岡は少し制度を強化した、初回飲酒運転のアルコール依存症者に受診を、最初は努力義務だったのをですね、従わなければ5万円以内の過料という程度ではありますが、知事に受診したことを報告せよと言う条例に強化したということで、それは結局書面で保健所相談に行きなさいと促すよりは、やや強力な条例であるので、それを守っていない人には、ある意味では関われるわけですね。

 報告しなさいと。
 報告するためには受診しなさい。
 自分のアルコール問題に対して行動しなさい。ということですから、そういうあたりが
 少し進んでいるのかなということです。

 では誰がこの飲酒運転をするのか、あるいは誰がそれを繰り返すのかということです。
 私が考えるには、2つ大事なことがあるんではないかと。

 それはアルコール依存症の問題ではないか。
 もう1つは、規範とか法律を軽視する若者世代の対策、こういったことが大事なんではないかと考えます。

 これは飲酒運転検挙者の飲酒状況です。
 これは2008年、約10年前、9年前ですが、神奈川県警と神奈川にあります日本の国立のアルコール依存症の研修センター1箇所、久里浜アルコール医療センターと国立病院機構ですけども、そこの研究者とで組んだデータですが、この一番高いところは60グラム以上というところで、つまりこれはビールの缶ビール500が右上にありますけども缶ビール500、3缶以上飲んでる人という意味です。

 飲酒運転でビール缶ビールに換算すれば3缶以上飲んでいる人が、綠は女性で女性の飲酒運転者の50%以上は3缶以上飲んでいる。
 男性の飲酒運転者の3分の2は3缶以上飲んでいる。

 ちょっと飲んでるんじゃないんです。
 そういうことで一番右にCAGE(アルコール依存症のスクリーニングテスト)というものがあり、CAGE2点以上というアルコール依存症の疑いを示す。

 CAGEというのは簡略なテストですけれども、アルコール依存症をスクリーニングするときに使える簡単なものなんですが、そうしますと3分1以上がアルコール依存症の疑いがある人達、男性も女性も。

 女性35.7%、男性36.9%すなわち3分の1以上がアルコール依存症の方が、酒を飲んで交通違反を起こしているというデータでございます。
 もう一つ進んでる県として、三重県がございます。

 三重県は、同じように飲酒運転違反者に受診を義務づけています。
 三重県の場合は、指定医療機関というどこどこの医療機関を受けなさいというのが決まっておりまして、そこに行くように同じ受信後の警察からの指導でも、そういう具体的な医療機関が示されて行くように言われております。

 6割はアルコール依存症者かその疑い、つまりアルコール依存症の確定診断は4分の1の赤の部分ですが、綠の部分も合せますと、これは大量飲酒者でその疑いがあると。

 あるいはアルコールライン、アルコール問題があるということですので、アルコール依存症予備軍ないしは問題飲酒軍ということになります。
 それを合せると6割はアルコール依存症か問題飲酒ということになります。

 そして平成27年度ですが、744人に対してですね、この受診義務を通達したところ325件という非常に高い受診率43.7%の受診率があったということで、先進県となっています。

 こういうアルコール依存症の方が、飲酒運転をする場合ですね、まず朝は二日酔いで運転しちゃうと、更にひどいケースになると迎え酒をやっちゃう。

 それはなぜ迎え酒をやるかというと、ひどいアルコール依存症の場合は、手が震えたり汗が出たり、目が幻覚みたいなのが出て、かえって危ないという風な自己判断で迎え酒をする訳です。

 そうすると禁断症状が一時治まるからです。
 それから、その忍耐力とかそういったものがアルコールのために、待ちきれなくて車の中で飲んだりですね、飲みに行って運転して帰ってきたり、自宅で飲んでいて酒が足りなくて買いに行くために運転をしたりということが夜になるとおきてくると。

 アルコール依存症の方はそういう問題を持ってます。
 依存症の格言に「やめれるときにはやめたくない。やめたいときにはやめられない」あるいは「わかっちゃいるけどやめられない」という昔からの台詞もあります。

 それは、単に戒めの言葉だけじゃなくてですね、これは今日詳しく話すお時間はないんですが、赤毛猿を用いてですね、人の依存症を作る物質を様々に投与してやっていく実験があります。

 それでオペランド条件を付けると、猿は依存物質を欲しいために、何千回、一万回以上そのレバーを押し続けるという行動を取って、それはアルコールとかモルヒネ、アンフェタミン覚醒剤なんですが、こういった依存症を作る薬物はそういうことを、猿にしてみれば、虜にさせられてしまうという性質を持っています。

 それでこれは覚醒剤の方ですが、覚醒剤の事犯者と再乱用者のデータなんですけど、青いのは覚醒剤の事犯者です。

 幸い、ダメ!絶対という風に若い若年層の教育も進んで覚醒剤の乱用者の検挙者数は徐々にブルーですから減っています。
 しかし、レッド、赤い部分は減っていません。

 これは、再犯者です。
 なんとですね、再乱用者は6割、現在薬物事犯の6割は繰り返してる人たちはなんです。

 それで重罰、つまりですね執行猶予などと言うぬるい物はやめて長期に懲役が3年だったら3年満期に収監した方が良いんではないかという考えが当然出てきます。

 ところがですね、これを覚醒剤の問題で見ますとですね、覚醒剤取締法で逮捕された人の中で再犯が最も多いのが、満期刑を、満期の収監された人が一番再犯率が高い。

 執行猶予がついた方の方が低いということが解ってきて、これは法務省管轄の更生保護の課題であって、刑の執行を一部猶予してでもこの覚醒剤の問題の事犯者を、地域の覚醒剤対策につなげようと言うことで、今、精神保健福祉センターなどに受診をさせようと言うことになっています。

 つまり罰を強化するだけでは、累犯、繰り返す人たちの覚醒剤依存問題に対応は出来ないと言うことを示してるわけです。

 それで我々の専門家の集団の関係者の中では、「ダメ!絶対!は大事だけれども、ダメ!絶対!だけなら絶対ダメ!」というですね、そういう言い方をして依存症対策を組み込もうと言っています。

 もう一つの問題は、アルコール乱用で学生が死亡するこれはデータです。
 これはASKというアルコール薬物問題全国市民協会という運動をしているNPO法人があります。

 そこに今成さんという方がいて、今成さんも全国の市民活動の代表として、内閣府のアルコール健康障害対策関係者会議の委員でして、今日のスライドも、半分くらいは、今成さんの作成で、使わしていただいています。

 私のスライドはこんな風にちょっとチャチなスライドが多いんですけれども、ここに書かれているのは、アルコールでの乱用での学生の死亡です。

 2006年の教育大から2016年の同志社大学まで10年間、これは主立った名の知れた大学だけをピックアップしましたが、依然としてですね、学生はアルコールで尊い命を失っている。いうことがわかります。

 北大もそうですし、玉木さんが目覚めた小樽商大アメフト部の事件もそうです。これはですね、飲酒のリスクというものが、ちゃんと教育されていない。

 これは飲酒のリスクというのが、例えばその低リスクと安全な、リスク的には安全だというのはこの缶ビール1単位500ccぐらいで、これで代謝が4時間ぐらいで代謝されます。

 2単位になると、専門家集団ではハイリスクと呼んでいて、8時間代謝に掛かります。

 3単位だと、危険な量になるということで、翌日にアルコールが残る12時間、代謝に要することで3単位以上が健康のリスクをおかすということで、いま問題飲酒といわれています。

 これは、お友達と会ってたまに飲酒するときはこれくらい超えると思いますが、日々この量を飲み続けるとハイリスクなんだということでございます。更にたくさん飲んでいくと、1日中残っているというような形になります。

 このスライドを提供してくれたのは、アルコール関係者会議の委員の今成知美さんという方ですけども、その会議では漫画家の西原さんご主人がアルコール依存症で亡くなった方とか、ジャーナリストの見城さんなんかも出ていました。

 あとは専門医と行政関係の人で構成されていましたが、酒類業界も実は入ってくれて、酒類業界もこの会議の間の中から徐々にですね、女性のアルコール問題ということで、女性のコマーシャルの飲酒のコマーシャルには、妊娠中の女性は飲まないようにというようなことも、少しテロップで入れるようになりました。


 いずれにしろですね、飲酒運転の撲滅と言うことを考えるとですね、アルコール乱用防止を徹底しないといけないと。

 そのためにはですね、再犯を繰り返すものには、依存症が多いということを十分認識した治療導入の実効性を高めていくことと、それから若者にそこで教育しても遅いんですね。

 小学校から低学年から、アルコールの本当の問題点、それを教えないといけません。

 例えばですね、先ほどお示しした、大学の学生の死亡を見ても、お酒を受け付ける体質でたくさん飲んで、脳の中枢までマヒさせるくらいに1升酒、2升酒になって亡くなった方もいらっしゃいますが、3、4倍のビールやウィスキーで、実はご自分が飲めない体質、アルコールの代謝を持っていない人が、日本人の4%くらいいるわけです。

 それから日本人の40%くらいは代謝酵素を1個しか持っていないので、少量しか飲めないという体質なんです。モンゴル系民族は。

 それをですね、きちっと伝えて教えないと、誰でも飲めば強くなるというような、まやかしの知識がまだまだ学校関係者の中にはあると、そこから変えていかないと、アルコール乱用は無くならない。

 そして、大量、リスクのある飲酒を毎日繰り返せば誰でも依存症になる、その問題をきちんと考えていく必要があると思います。
 以上です。

【小佐井教授】
 はい。ありがとうございます。
 いま、田辺さんから資料に基づいて、スライドに基づいて詳しくお話しをいただきました。

 今日のシンポジウムの1つ柱は、飲酒運転の背景に飲酒運転がどうしてこれだけ悲惨な事故が事件が続いて、社会的にも厳しくなっているのにもかかわらず、何故無くならないのかということですけど、その背景にはアルコール問題、先ほどのお話で言えば、アルコールの乱用の問題があると言うことが、お話しの中に出てきたかと思います。

 それで最初のところで、福岡や三重県といった他の都府県での取組に関しての説明がございましたけれども、最後の方にありましたように、飲酒運転を無くしていくためには,その背景にあるそのアルコール乱用の防止に取り組む必要がある。

 あるいはそのアルコール乱用が背景になって飲酒運転を繰り返している人がいかに多いかというのが、先進の県の受診状況等を見れば解るわけですけども、そのことから逆に先進の県、福岡や三重等では、そういう飲酒運転を無くしていくための1つの取組として、地域の条例の中で、そういう受診義務といったものを設けて一刻も早くその治療に結びつけていく、そういう機会を地域単位で設けて取り組んでいるということがあるということのご紹介であったと思います。

 飲酒運転に関しては、これまで厳罰化進んでいますけども、田辺さんのお話しの中にありましたように、薬物依存と同じような形で考えますと「ダメ!絶対!というだけではダメだ」というお話しがありました。

 それだけでは手が届かない所に、どう手をさしのべていくのか。そのことが1つの課題であって、例えば北海道での条例での相談というのも、1つはそのことを意識した物であると言うことが、ご説明の中で出てきたかと思います。

 お話しの中でアルコール依存あるいはその疑いのある人が、かなりの高い割合で含まれている、特に再犯をしているような人の中には、高い割合で含まれているということのご説明もあったかと思います。

 そういう意味で一方でこのアルコール問題ということを意識しつつ、他方でまた、社会全体の中では、田辺さんのお話の中でも、法律や規範、ルールということを軽視している特に若い人たちがいるというお話しがありました。

 しかしながら、これだけ悲惨な事件が続いていてもなお、飲酒運転、あるいは運転を軽く見て飲酒運転を繰り返している人がいる、まあそういう人たちにどう手を伸ばして行くのかということも問題になって来るのだと思います。

 そういう意味で、次に高山様にご発言いただきたいんですけども、先ほど自己紹介の時にSDDの取組について、話しがありました。

 高山様はそもそも、そのSDD北海道で、大阪で行われていた取組を北海道に持ち込みたいというお話しがありましたけども、そうした活動に取り組まれている思いでありますとか、そういう活動をとおしてどのようなことを伝えていきたいのかご発言をいただいてよろしいですか。

【高山氏】
 はい。私が、大阪でSDD STOP!DRUNK DRIVING飲酒運転をゼロにするためのプロジェクトというのを、最初に見たのが、実は大阪で始まってから2,3年後ですから7年くらい前なんですね。

 その内容というのは、もちろん放送をとおして、飲酒運転の事故による被害を受けられた方の悲惨さであるとか、あるいは逆に加害者になった、その加害者のご家族がどんな思いをして毎日過ごさなければいかなかったか、ということも含めて、訴えられていたことが印象的だったんです。

 でも一番でも感動したのは、実はその1年の締めくくりの音楽ライブというのを大阪城ホールという1万人規模の大きな場所でそれこそTRFさんであるとかスターダストレビューという、この中にもファンの方いらっしゃると思うんでけども、鈴木雅之さんであるとか、若い世代で言うと、家入レオさんであるとか、様々なその音楽を発進している方々がステージの上から自分なりの意見を言いながらライブを行っていたということにいたく感激しました。

 こういう言い方を言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、世の中にはその音楽のライブをとおして、様々なキャンペーンというのが行われていて、先ほどからお話しが出ている薬物の乱用を防ぐためのライブが行われていたり、例えばHIV検査に行きましょうというようなエイズデイのコンサートがあったり、さまざまある訳なんですよね。

 でも、残念ながらそれはやはりスローガンがすごく大きく掲げられてますし、参加するアーティストの皆さんも、もちろんそれを無くそう、問題を解決しようと思って参加してらっしゃるんでしょうけども、ステージの上から自分の言葉で、その問題に対して真正面からトークをしながら自分の歌を披露するということは、なかなか出来ないと思います。

 それは事務所の関係があったりだとか、自分の考えがまとまっていなかったり、さまざまいろいろなしがらみがあって、そこに登場することになったということもあるのかもしれませんけれども。

 ところが、その7年前に最初にSDD STOP!DRUNK DRIVINGのライブSDDという1万人規模のライブを見た時には、誰一人として他人事としては、そのステージには立ってらっしゃらない、あの自分の言葉で、どんなに交通事故が悲惨で飲酒運転をしてはいけないかと言うことを、ちゃんと自分の言葉でお話しなさって、音楽も届ける。

 聞く側にとっても、ずーと今私たちがこういうお話しをしてるのにこういうお話しをするのも変なんですけども、1時間2時間の飲酒運転はダメだよ!飲酒運転はこういう原因があるよということばっかりを理詰めでこうお話しされてもなかなかその人間ね、ずーと聞いていることが出来ないもんです。

 けれども、やっぱ音楽とともに、その音楽の人に気持ちを伝えるという思いとともに、そのメッセージが届けられると、おのずと1万人の気持ちが1つになって、黄色いタオルが配られた年もあったんです。

 それをみんなで振りながら気持ちが1つになっていく、その中には、実はお子さんを飲酒運転による事故によって亡くされたご遺族の方もいらっしゃって、そのすぐそばで拝見した年もあったんです。

 本当に涙を流して、悲しい出来事でありますし、いつまで経っても自分の家族が帰ってこないことにはかわりはないんですけれども、みんながこんなに1つのことについて問題意識を持って、ステージから呼びかけてくれている。

 このようなことに対して、救われた気持ちがしましたというお話を聴いたときに、あーこれは、あのすぐには無理かもしれないけれども、北海道でもライブを行って、気持ちを1つにするような場所を設けて、飲酒運転をしないように、お酒を飲んだら車を運転しない、運転させないということを広めていこうという決意が強まった瞬間でした。

 ちょっと長くなってしまいますけど、その中に鈴木雅之さんというね、僕より上の年代の方だったら、ラッツアンドスターだとかいろいろシャネルズとかっていうすぐ頭に浮かぶと思うんですけど、玉木さんは全然わかんないと思うんですけど。

 あの鈴木雅之さんがサングラスの奥からたぶん優しい瞳だと思うんですけど、自分の学生時代のお話しをされました。
飲酒運転ではないけれども、自分の1番仲の良い友達を交通事故で亡くしてしまった。その時の思いは、20年、30年、40年経っても忘れられないと。

 その時に「夢で会えたら」という有名な曲があってそれを鈴木雅之さんもご自身でステージで歌う機会が多いんですけども、あの歌は夢でも良いから恋人に会いたいという意味合いがもちろんあるんですけども、ご遺族の方にとっては、夢でも良いからもう一度あの自分の息子に会いたい、あの時に戻りたいという気持ちもあるんだということをステージの上から鈴木雅之さんはお話になって熱唱されました。

 その「夢で会えたら」はいつもの「夢で会えたら」と全く意味合いの違う、1万人の心に染みる歌声になったんです。

 そういったことを受けて、自分が何が出来るか、もちろん放送の中で日々どんな飲酒運転の事故が起きているかをお話ししてますし、お酒を飲んだら車を運転しないということも呼びかけしてます。

 今、田辺さんからお話しがあった、アルコール依存と言う問題もあるんだと言うことも重々承知ですけども、実のことを言うと、若い世代の人の方が、今こういったことを真剣に取り組んで、考えている場面も凄く多く見受けられている。

 だから今日いらっしゃっている玉木さんのような方が運動して条例制定するんだという若い力でやってらっしゃる所もあると思うんですが、例えばですけども、代行運転の保険の発祥の地と言われている富山県では、若い人たちが居酒屋さん行って、帰るときに「今日代行頼もう」って普通に言ってるんだそうです。

 言ってないのは、大人達です。
 大人って言っても、その二十歳を超えた学生達だって大人ですけども、もっと上の40代、50代の人です。

 自分もそうですから、あえて言わせてもらいますけど、昭和時代の面影が残っているんです。
 昭和時代は、ここまでいろんなことを言われなかった。

 「大丈夫だ!俺を信用しろよ!ちょっとそこだから!ちょっとしか飲んでないから!」
と言って、昭和時代の話ですからあえて言わせてもらいますけど、いけないことが行われていたのではないかなと思います。

 でも、今その昭和時代の考え方、感覚のままで平成にいて、帰るときに「代行そんな門頼む必要ないよ!」なんていうことを言っているのは、おそらくどちらかと言えば大人です。

 あのすいません。
 田辺先生みたく僕は今、統計を持っていなくて何人の人がこうだった!と言えれば凄く信憑性があるのかもしれませんが、少なくともラジオという媒体を通じてメールやSNSで様々な意見を集める仕事をしている人間として、肌身で感じていることとしては、若い人たちの方がよっぽど考えている、よっぽどそういうことをダメだと思っている。

 そもそもお酒を飲まない人もいっぱいいます。
 若い世代の人たちはもう今ノンアルコールしか飲まない人沢山います。
 「じゃあ誰が飲んで誰が運転してるんだよ」と言ったら、やはりもっと上の世代の人たちが考えなければいけない。

 もう一つもっと下の子ども達、私たちのラジオ局では年末に向けていつも飲酒運転をゼロにするための書道を募集しています。

 その中には、本当に力作が多くて、小学生は、お酒も飲みませんし、車も運転出来る年齢では無いんですけども、もし自分のお父さん、お母さんが明日飲酒運転による事故で亡くなったらどうだろうか。

 この前も旭川で缶ビール8本、9本飲んで110何キロ以上出して、中央分離帯を越えて、女性の先生を亡くしてしまったという事故、事件の判決が出ましたけども、そういう事故を見て、とんでもない大人がいるなと小学生達が思っているんですよ、その小学生達が年末に向けて、大人に向けて「ちょっとだけなら飲んでも良いよ、でも車を運転しないでね」みたいなことを、ものすごくよく分かった言葉で言ってくれてる訳ですよ。

 子ども達は大人に決してお酒を飲むな!なんて言いません。
 楽しい姿を知っているから。
 大人達が飲みながら本当にいつもはね、子どもに見せてくれないような笑顔で楽しいことをやってくれているのをよく分かっているから、それは良いんですよ、お父さん飲んでも良いよって言うんです。

 でも「じゃあ飲んだら運転はやめましょうよ」と言うことをちゃんと解っている子どもの言葉を、書道を通してあるいはラジオに届けられてるメールなどをとおして、私は沢山受け止めてきているので、この子ども達が10年後、20年後、本当にお酒が飲める年齢になったときに、飲酒運転をゼロにしなければダメじゃないか。

 語弊がある言い方かもしれませんがこういうシンポジウムいらないんですよ。これが無くなってしまえば良いんですよ。

 飲酒運転についてのシンポジウムをやらなくても、やる必要がなくなれば、それはひょっとしたら、お酒を飲んだらエンジンが掛からない技術革新が起きて、そういう世の中が来ると言うことで解決されるのかもしれません。

 でもそれを待っていてはいけないわけで、やはり昭和時代のことは忘れて、「自分たちの意志でちゃんとお酒を飲んだ時にはどんなに近くても100メートルでも運転してはいけないものはいけないんだと、コップの半分の底に3センチほどのビールだって飲んで運転してはいけないんだ」というぐらいの気持ちを持たないと、飲酒運転はやっぱり無くならないし、子ども達に言われるばかりなんではないかなという風に思います。

 今日は、実はもっと沢山ラジオでお話ししたことを用意してきたんですけども、先ほどやはり田辺先生のお話を聞いて、それだけではダメなんだと、アルコールに依存している人もいるんだと言うことも、どこかでやっぱり頭で考えながら、気持ちの弱さだけでは解決出来ないと言うことも、しっかり受け止めながら、でもやはり「じゃあ僕はアルコールに依存しているからしょうがないんだって言っていいんでしょうか?」
ダメですよね。

 だから、それこそ九州のニュースなんか毎週見ているとダッシュボードに焼酎と水割りの道具が置いてあって、飲みながら運転している人なんかいるって言うのを聞くと、あーこれはもう「飲んだら乗らない」のレベルではなくてこれがないと生きていけない人なんだなと言うこともニュースで解ってきますけども、さっき言った旭川のニュースのようなあれは防げなかったのだろうか。

 あの亡くなった女性の学校の先生は、教室にいる生徒の前から児童の前からも突然消えてしまったわけですし、おうちにも小学生のお子さんがいらっしゃった、旦那さんは子どもがまだ、お母さんが亡くなったということ受け止めきれない子どもを見てなんて声をかければいいんだろうと思っていたと。

 そして求刑18年に対して判決が10年、司法の判断ですからその10年を軽々にここで言うことは出来ませんけども、それから小樽の事故、砂川の事故は全国的にあんなに広まったのは、1つはやっぱり内容というのが、あまりにもセンセーショナルだったと言うことと亡くなった方の人数が複数だったと言うことだったのかなとも思うんです。

 今回の旭川の事故、一人の方でしたけども、その一人というただ人数のことだけでニュースの大きさが変わっても良いのかとも、自分もラジオで報道する立場でありながら自問自答する日々が続いているというのも事実です。

 これからも放送をとおしてこういった飲酒運転をしないようにと呼びかけることもやっていきますし、書道コンクールもやりますし、ライブSDDという大阪のような1万人規模は無理ですけども、すでに今年3月にサッポロファクトリーのアトリウムで300人規模のものはやりました。

 どうかここの会場にお集まりの皆さんの中で、「あーそういうライブがあるんだったら、うちも協力出来るよと、もっと大きなところでやろうじゃないか」というそういう輪が広がっていくことで、大阪の様なことが出来るのかなと、聞くところによると、大阪では大手の百貨店の方が協力したり、酒所の灘だとか、京都だとか、お酒を出している会社自身が、本当はちょっと煙たいと思いますよ。

 そういうお酒が原因になっている社会問題を自分の会社で取り上げるのは。でも、真っ向からちゃんと関西の方は逃げずに、そうやって自分達の所からも協力するから、うちのお酒を飲んだ人が、せめて飲酒運転をしないでくれよという思いも伝えながらあんな大きなことをやってらっしゃる訳です。

 北海道で出来ないことは無いと思います。
 いつかは、こんなことをやらなくてもいい世の中が来るようにこれからもラジオで呼びかけていきたいと思います。
 今日は本当に貴重な時間いただきましてありがとうございます。

【小佐井教授】
 高山さんありがとうございます。
 日頃のパーソナリティの活動を通じての思い、飲酒運転根絶を伝える中でのやはりその思い、あるいはその大阪で感じられた正に鈴木雅之さんのお話とかありましたけれども、「夢で会えたら」のお話しありましたが、まさに他人事として誰も感じてはいない、みんながその会場で飲酒運転を無くしていくことを気持ちを1つに出来る。

 そういった場を何とかここ札幌で、ということで、3月にと言うお話しもありました。そのような取組を進められている。
 あるいは、その子ども達に対するアピールの部分というところ、最終的にはこういった形でシンポジウムが無くてもと言うお話しがありました。
いずれも貴重なお話しであったかと思います。

 では、次に桜庭さんにお話しを伺いたいんですけども。
SDDのお話しもありました、まさにその音楽の力ということに高山さんは触れられた訳ですけど、桜庭さんはその音楽の力をとおして、飲酒運転を無くしていくための取組、訴えを続けられている訳ですけども、そういう活動を続けられている思いでありますとか、その活動の中でお感じになっていることについてお話しをいただけますか。

【桜庭氏】
 はい。音楽活動をとおして、もちろん音楽の力を借りること、歌詞やメロディーやリズムのグルーブとか、そういったものを借りて人にものを伝えるというものはものすごく必要なことだと思っているんですけども、僕はそもそもやはり命というものを何よりも重んじて生きていかなきゃいけないのが人だと思っています。

 もうすごく高山さんの話と重複する部分がいっぱいあるんですけども、やはり目の当たりにしないと、人ってどこか他人事のような気がします。

 話は少し変わりますけども、例えば海老蔵さんがあんなにも乳がんの事を勉強されてお話になられるのはやはり奥様が乳がんになられたからだと思います。

 私は、音楽をとおして、レッドリボン、先ほどエイズのHIV感染のお話しがありましたが、乳がん検診に参りましょうというピンクリボンの活動をしています。

 そして、この飲酒運転撲滅、交通安全の活動等もしています。
 とにかくは、桜庭和に出会ってくださった方々、これから出会う方々が、男も女も子どももみんな自分から命を切捨てるようなことはしないように、自分の身体を大切にケアしていくこと、お酒の飲み方に気を付けること、もちろん飲酒運転をしないこと。

 そういった当たり前のことをただ呼びかけてるに過ぎないなと思っています。

 私は子どもが4歳です。
 今日幼稚園で、読み聞かせというのがありまして、地域のおじいちゃん・おばあちゃん、又はお父さん、お母さんが本を読むんですね。

 どんなお話しでもいいんですけど、その中に、いわゆる泥棒はダメですよ!とか人の家に勝手に入っちゃダメですよ!とかいろんな事を絵本をとおして教えるわけですね。

 ナイフを持ったら果物を上手に切ったり、お肉を上手に切ったりするのは当たり前で、おじいちゃん・おばあちゃん・お父さん・お母さん教えることだと思いますけども、免許取ったら正しく運転するというのは、当たり前なことです。

 僕は、まずは子どもを育てるというところで、先ほど先生も二十歳そこそこになった人に飲酒のことを教えることは難しいよ!って言うようなお話しがありましたが、僕は幼稚園から教えても良いことだと思います。

 そして、お酒を飲む場にも子どもを連れてって良いんだと思います。
 おじいちゃんが楽しく、愉快に飲んでて、家族でわいわい楽しんで、でもみんなで、家族じゃない人の運転で帰る日があるっていうことを、たくさんたくさん教えてあげないとダメなんだと思います。

 よく我々の業界のこんなこと言っていいんですかね。
 我々の業界の諸先輩達は、先ほど高山さんがおっしゃたような、「昔はそこまで厳しくなかったからさ」とか、という発言は良く先輩達から聞きました。

 その意識を、先ず先輩達が捨てることから始まるんだと思います。
 若者達が、今さっき若者の飲酒運転が多いというお話しでしたけれど、そうなんですかね。若者が多いんでしょうかね。

 でも、まあ僕の周りではアルコールを飲めない若者がすごく増えてます。
飲まない人が多いです。
 飲みニケーションも今はないですね。すごく減ってきてるような気がします。

 なので、折角社会というところで、僕からしてみれば40代、50代の方は大先輩です。
 もっと上の先輩達が飲酒運転をしないで、帰るぞと言うのを、家族のみならず飲みに行った場所でお示しくだされば、若い人たちも育っていくのかなと思います。

 僕たちは、あくまで個々で生きてると思います。
 自分の責任で生きていると思います。
 ご自身の会社だったり、自分の家庭だったり、自分の恋人だったり、まずはそこから道徳心を持ってやるしかないと、僕は思います。

 プラス罰則を厳しくすること。そして飲酒運転をしないために代行運転というのがありますけども、代行運転に乗ることが楽しくなるようなシステムになんかしたらいいのかなと思います。

 良く居酒屋さんとA社が提携して、「家の居酒屋から頼んでくれたら500円安くなりますよって」とかって言うのがありますよね。クーポンがあると思います。

 ですけれども、それを全国的に、いろんなところが組合になって、1年間で30回使ったら、例えば「居酒屋が安くなりますよ」とか、「車両保険安くなりますよ」とか、「次居酒屋50%OFFになりますよ」とか、なんかこう飲酒運転を撲滅するためにお店や代行会社がもっと1つになって飲酒運転をしないんだ!でも楽しくお酒を飲んで頂戴ね。コミュニケーションの場を大切にしましょうねって言う事を仕組みを作れば良いのかなと思います。

 あと居酒屋さん、地方に行くことが多いです。歌いにいくことが多いです。村とかも多いです。
「みんなで飲まれますけどもどうやって帰られるんだろう」って心配になります。

 代行がないからだそうです。
 ビジネスとして代行運転をやる方がいないのであれば、役場レベルで調べれば、いろいろなサポートが出来るのではないかなと思います。

 数々番組をとおしたり歌をとおして出会う人たちが、命を大切にする。
 そのことを今後も呼びかけていきたい。
 子どもにちゃんと背中を見せていきたいと思っています。

【小佐井教授】
 桜庭さんありがとうございます。
 先ほどのご自身の自己紹介の中でファンの方が交通事故に遭われて、ってお話しもありましたけれど、それは先ほどの高山さんのお話の鈴木雅之さんも同じような友人を亡くされてと言うお話しがありました。

 そして今、お話しの中で自分の周りの人たちからって言う事もありましたけどもやはりそういうこう一人一人がこう小さな活動をしていくと言うことの貴重なお話しであったかと思います。

 また、その当たり前の事を伝えるとおっしゃった、そのことが私は新鮮にお聞きしました。

 続けて、玉木さんにもお話しを伺いたいんですけれども、玉木さん先ほど自己紹介の中でもありましたように、北海道の飲酒運転根絶条例の制定を求める署名活動あるいはその学生時代から、あの田辺さんのお話の中にもありました。

 大学生の飲酒事故、アルコールハラスメント、急性アルコール中毒による死亡、そういった事件を無くしていくための取組をされていた、ということがありますが、そういう活動をされていた経験を通してですね、北海道のこの地域で飲酒運転を無くしていくための人々の機運を醸成していく、あるいは取組を進めていくそのために必要な課題であるとか、その活動を通じて感じられたこと、そういったことについてちょっとお話しいただけますか。
 
【玉木氏】
 はい。
 条例の制定に向けていろんな方にお話を聞いたりですとか、実際に自分のご家族をそういった事故で亡くされた方とかの話を聞いていくうちに、これは北海道でもそういった条例を作ってやっていかないといけないなって言う風に私も思いまして、署名活動をしてきたんですけど、署名活動をしていて一番感じたのが、歩いている大人の人に「署名をしてください」ってお願いしたときに、「自分は関係ない」と言う人が凄い多かったんですね。

 「自分はお酒を飲まないから関係ない」とかそうやって言って、過ぎ去っていく人たちが沢山いて、でもその実際に自分の家族を亡くされた方のお話しを聞くと、やはり私自身の家族ともちょっと重ねて考えてしまいました。

 もし私が、そういった事故で亡くなったときに自分の親はどう思うだろうとかそういった風に考えると、やっぱり人ごとには思えないですし、その関係ないっていう風に署名をしなかった方も、考え方を変えれば、「自分は飲酒をしなくても、飲酒によって自分ですとか、ご家族、自分の大切な人が、そういった所に巻き込まれるかもしれない」っていう風に考える事に気づけたら、少しはちょっと変わったのかなって言う風に思ったのがすごい感じたところでした。

 条例制定がされて、内容としてはまだまだ足りない部分もあると思いますが、本日も根絶の日と言うことで、制定されてこういった形でいろんな方が集まって、いろんな飲酒について話したりですとか、考えたりですとか、当日もそういった報道がされて、社会的にもいろんな人が、耳にして気づける場所は増えたと思うんですれけども、やっぱりこういった会場に来ている方のほとんどの方が、先ほども手上げてくださった方お一人とかでしたよね。

 すごい少ないと思うので、やっぱりそのこういった話に興味がない人とか自分は関係ないと思っている人に興味を持ってもらう事がすごい必要だと思います。

 学生の時も、そういったことで活動していく中で、学生の人に「活動に参加しよう」とかそういった話をしても、「自分はやっぱり関係ない」「お酒を飲むのが好きだから、自分はそういった活動をしたくない」って言う人が多かったでした。

 実際私もお酒を飲むのが好きなんだけど、こういった活動をしてたので、やっぱり何かきっかけを持って、「ちょっとここに踏み込んでくれたらな」って言う風に思って、その学生時代にやっていた活動としては、全然飲酒とは関係ない、例えば料理イベント、料理をみんなで作って食べるというイベントを開催したりしました。

 あと国際交流をする学生とかも結構多いので、国際交流イベントと言うことで、日本人と外国人が集まって交流するようなイベントとかを開いて、その中で楽しみながら会話の中で「こういった活動をしているんだよ」ですとか、あとは「飲酒運転ってこういう怖いことがあるんだよ」という話をしました。

 実際にそういった話を直接ゆっくり会話の中でしていくと、解ってくれる方も多かったので、そのこういったところでみんなで集まって考える事も必要ですし、興味がない方も、どうにか引き入れて、一緒に考えていく機会を作ることが大切なのかなと思いました。

【小佐井教授】
 ありがとうございます。
 条例制定の際のその「自分は関係ない」って言う人の発言のお話しがありましたけれども、まさにそういう他人事とは思わない、まさに我が事として捉えることの重要性の話があったかと思います。

 あの玉木さんにはちょっともうひとつ追加でお聞きしたいんですけれども、先ほど田辺さんのお話の中で、例えば大学生もそのアルコールの教育ということについて十分ではない、ということの問題のご指摘がありました。
実際に大学生が飲酒事故で無くなっている。

 あるいは、その桜庭さんのお話の中でも、例えば幼稚園ぐらいから子どもの時くらいから、もう飲酒やお酒のことや飲酒運転の事もきちんと伝えていいんじゃないかというそういうお話しもありましたけれども、玉木さんがその学生だった頃に、実際に活動される際にやはりアルコール教育っていうのが、やっぱり不足しているって言うのが、常に実感されて活動に取り組まれたと思うんですが、そうあたりの学生当時の認識というかどんな風に感じておられましたか。

【玉木氏】
 学校とかでそういった話が出ることも特になく、大学に入るとみんな部活とかサークルでお酒を飲み出す人が沢山増えると思うんですけど、そういったことがあっても、入学したときとか、そういった節目の時に「そういったことに気を付けて」って言う風に学校側からこう一言、二言あることはありますけど、そういったことに対しての教育はあまり無いのかなっていう風に思います。

 私もこの活動を始めるときに、最初の導入部分は誘われて「あーこういった活動があるんだ」とって言うもので、私自身もニュースで「そういった話があるな」っていう風に聞いてたなので、きっと学生の人たちもみんなそういった感じで学校で話を聞いてというよりは、ニュースで軽く知っている程度の感じだと思います。

【小佐井教授】
 ありがとうございます。
 ここまでそれぞれシンポジストの方にいろいろなお話しを伺って参りました。

 このシンポジウムの時間実は非常に限られておりまして、あと10分強ぐらいであの残念ですけれども、このシンポジウムそのものは閉じなければなりません。

 最後の私の方で簡単にまとめようと思いますが、シンポジスト4人の方の中で、ちょっと今いろいろお話しをいただきましたけれども、もう一言、二言、この点についてはちょっとお話しをしておきたいと言うことがあれば、短い時間で恐縮ですけれども、少しご発言をいただければと思います。
 どなだでもいかがでしょうか。
 田辺さんお願いいたします。

【田辺教授】
 今、学生の問題でましたけども、学生と大学の関係も、学生が事故を起こしてしまうと、大学内飲酒禁止と、全部ダメになって「ダメ!絶対!」になってきちゃったんですけどね、私は大学の学生の体育会系クラブが圧倒的に多いんですけどね、この事故は。

 ですから例えば4月に体育会系クラブの部長とマネージャーとあるいはその3人ぐらい必ず飲酒に関するこういった過去の事故のスライドを見せたりですね、そこで「アルコール飲めない学生が必ず4%ぐらいいるんだ」と。

 「それを無理にビール3本も飲ませれば、アセトアルデヒド血症で死んでしまうんだ」と、言うことをですね、きちっと講義してそれを受け無い限り、スポーツ活動は大学では出来ないんだと。

 例えばそういう風にですね、何でも禁止、無くす、厳罰監視、ということではなく、アルコールの問題をきちっと伝える、アルコール依存症の治療をきちっと導入する、アルコール問題そのものに私たちが目を開いていくって事が大事だと思います。

【小佐井教授】
 ありがとうございます。
 今、まさに田辺さんがおっしゃったような、大学での取組というのは本当に貴重なことだと思います。

 他シンポジストの皆さん、なんか一言、二言っていうのがありましたら、ちょっと簡単に、本当に短い時間で恐縮ですけれど、じゃあ桜庭さんお願いします。

【桜庭氏】
 はい。4歳といえども、もうビールとか日本酒とかって言う言葉が出てきます。今の子どもはものすごく覚えが早い様な気がしますので、決して遅いことはないなと思います。

 お酒を飲まない人はいるし、お酒を飲める人もいるし、弱い人も強い人もいると思います。
 その人によって量は決めていけばいいし、本当に当たり前の事なんですけど、それを大人が正していって、飲んだ人は代行を使って帰る、そういったことをシンプルにやるべきだと思います。

 そして、あの番組をとおしてライブをとおして、今日のこの日に来たいって言う人が実は沢山いらっしゃったんですけど、平日のこの時間に来れないという方が多々いらっしゃったので、道民一人一人に周知したいと言うお気持ちがあっての今日だと思うので、あの例えば平日であれば夜に開催をとか、土日にとかってなると、僕も沢山の人と来れたなとか、仲間達と共有したいなという貴重なお話しだったので、今後そのようになることを期待したいなと思ってます。

 また、その時は僕も客席にいたいなと思います。

【小佐井教授】
 ありがとうございます。
 あとはシンポジストの皆さんよろしいですが。

 あの羽田空港で子どもビールっていう羽田空港のレストランにあるんですね。だから子どもにも教えないといけないですね。

 ありがとうございます。
 では、そろそろシンポジウムの終わりの時間が近づいておりますので、もっと皆様からいろいろなお話しを伺いたいところなんですけども、申し訳ありません。時間の都合と進行の私の不手際で、若干時間が押しておりますので、このあたりで皆様のお話しを踏まえて、ちょっと簡単なまとめとさせていただきたいと思います。

 本当にいろんなお話しが出てきました。
 最初にあの田辺さんのお話の中では、飲酒運転の背景にあるアルコール問題についての基本的なレクチャーもありました。

 北海道以外での、福岡であるとか、三重県で、どのような形で取組がなされてきたのか、その背景にあるアルコール問題に、厳罰と言うことではなくて、まさにその治療の機会、受診義務という形ですけれども、そういったものを条例に盛り込むことによって、そのアルコール問題に対処することで、飲酒運転問題に取り組むことになる。

 そのアルコール問題に取り組むことの重要性について様々なデータに基づいてお話しをいただいたかと思います。

 その中で、飲酒運転撲滅はそのアルコール乱用防止の所からと、いう事がお話しがありました。
 その厳罰以外に様々な取組を合せていくこと、アルコール問題の対処が必要であると言うことが、示されたかと思います。

 また、高山さんのお話しの中でも、そのSDDの取組どのようなものかと言うお話しがありました。
 誰一人として人ごととして捉えない、まさにその会場に来た人たちが、そのアーティストの人たちのまさに等身大の自分の言葉で語られるその飲酒運転を止めたいという思いを受け止める、やはりそういう場の貴重さということが、伝えられたかと思います。

 SDDのお話しは、先ほど高山さんのお話の中にもありましたけど、私も個人的に存じ上げてる飲酒運転の遺族の方達がSDD大阪の方に参加されて、実際に「すごく良かった」とのお話しを私も伺いましたし、あるいはそのSDDにならって広島で音楽祭をやりたいという形で実現されたとそういったような方もいらっしゃいます、やはりそういう取組の貴重さ、訴える力と言うこと、その場に多くの人が集まるということの意味というのは大きいんだろうと思います。

 また、その子ども達に訴えていくと言うことのお話しですよね。
 最終的にはこういう形でシンポジウムをやる必要がなくなる様な形で、意識を変えていけたらということです。

 その中では田辺さんが最初にお話しになったような依存症の問題を抱えるような人たちの問題を受け止めながらこう伝えていくということの重要さ。
そういったことのお話しもあったかたと思います。

 また、桜庭さんのお話は本当に命を大切にと言うところから始まる、それは本当にごくごく当たり前のメッセージだけれども同じように免許を取ったら、正しく運転するのは当たり前なんだと、そのことをまさにご自分の大切にされるファンの方に対して、またその周りにいる人達に対して発信されているという、その思いと言うことについてお話しがありました。

 そしてその中で、まあこれはあの世代的なことかと思いますが、高山さんのお話の中でも、「昭和の」と言うお話しがありましたけれども、まあいろんな先輩方、「昔はそこまで厳しくなかった」と思いを、今まだ持っている比較的年配の方に、「いやそういう風なとらえ方ではなくて」と言うまさに一人一人が自分の命を当たり前に大切にする、自分のみの周りの人たちの道徳心ということをきちんと持ってもらう。そのことの意味っていうことを強調されたかと思います。

 また、玉木さんのお話の中では、北海道の条例を制定していく、書面活動に取り組む中でそういうこう「自分は関係ない」という正に他人事だと捉える人たちに、どういう形で興味を持ってもらえるか。そのためにいろんなイベントを開かれたり、様々な工夫で努力をされてきたと言うことのお話しがありました。

 そういった形で、最後に桜庭さんからも、今日のような取組、こういう大会が平日のこの時間だと来られない人がいる、だとすると例えば夜間や土日と言うことも活用して、いかにそのメッセージを届けたい人達が、参加出来る一般の人達が参加出来る、そういう仕組みを今後どういう風に作っていくのかということについての課題と言うことも出されたという風に思いました。

 飲酒運転を無くしていくための問題としては、様々な取組が必要になってきます。

 今日のお話の中でいきますと、最初に田辺さんからご説明がありました、アルコール問題にどう対応していくのか、これはまさに田辺さんがその基本計画の中心にいらっしゃったように、アルコール健康障害対策基本法その基での基本計画、都道府県レベルで基本計画を定めていくということになっています。

 その中で、今北海道にはすでに条例があるわけですけれども、そこでの相談利用っていうのが、思ったほど伸びていない。
 そのあたりとの環境をどういう風に詰めていくのか。

 アルコール問題の対処を進めていくために、今後北海道の基本計画あるいは、今の北海道の条例もう少し、こういう取組を強化したらいいのではないか。そのようなところが、今後十分検討されていく必要があるだろうという風に感じました。

 また、啓発や飲酒運転根絶の気運を高めていくためには、様々な形での、今日のシンポジストの3人の皆様はまさにそれぞれの立場でそういう啓発や広報の取組に日々努力されていらっしゃるわけですけれども、まさにそうした取組を様々な形で工夫していくこと、多くの人に1人でも参加してもらえるような形になっていくこと、これはご発言の中にあったかと思うんですけれども、あとちょっと踏み込んでくれたら、これは玉木さんのお話でしたかね。

 まさに去年こちらの根絶の日決起大会で私が基調講演をさせていただきましたけれども、その際にも要するに一人一人が自分の立場であと半歩、おおきく1歩踏み込めなくても自分の周りの人達の命を守る、命を傷つけないために何が出来るか、ということで私たちはやっぱりあとちょっとの、あと半歩の踏み込みが求められているんだと思います。

 本日のチラシの中にも、そういう説明があったかと思うんですけれども、まさに今日の7月13日飲酒運転根絶の日というのは、決起大会ということで、3年前に起きた小樽の事件を契機にして、もう二度とこのような悲劇が繰り返されてはいけない。

 そのことをまさに来場された皆様、壇上のメンバーそれぞれ一体となって考える、今日はまさにそういう機会であったわけですが、来場された皆様お一人お一人が、まずはご自身の家庭に戻られて、ご家族、大切なご家族の皆様にそういうアルコール問題の話であるとか、まさにお子さんの話がありましたけれども、お子さんがいらっしゃる方は、お子さんに対してお酒の話、飲酒運転の話、そういうことをまずは考えていただければと思います。

 また、それぞれの職場にお戻りいただいて職場の中でこの飲酒運転の問題を考える、そういう1つの契機にしていただければ、また、学校関係者の方もいらっしゃると思います、生徒さん、子ども達、あるいは同僚の先生方との間で、どうしたら飲酒運転を無くしていくことが出来るか、そのようなことを考える契機にしていただければ、またそれぞれ地域にもお持ち帰りいただいて、地域の中でどうしたら飲酒運転を無くしていくことが出来るだろう、そのような考える契機にしていただければと思います。

 飲酒運転の問題は、田辺さんのお話にもありましたように、背景にアルコール問題そういう治療を要する人達の存在もいて、あるいはその今日シンポジスト3人の皆様それぞれのお立場から、それぞれのメッセージを伝えられているわけですけれども、やっぱりそれを伝えていくことの困難さと可能性と両方あるんだろうと思います。

 その当たりのことを踏まえてですね、これから例えば地域として、まあ北海道として条例の中でどのような取組が出来るのか。

 あるいは子ども達の教育、家庭で出来ること、職場で出来ること、地域で出来ること、まずは自分の周りでちょっとした何かが出来ないか、そのことを考える事が大事だということが全体としてはあったのではないかと思います。

 アルコール問題、お酒の正しいつきあい方、アルコールに対する正しい理解とそして飲酒運転を無くしていくための一人一人の半歩踏み出す、あとちょっと踏み込むための覚悟というか契機、そんなに構えなくても良いけど、当たり前の事のように命を大切にする、運転はきちんと責任を持ってやる。

 そうしたことが、広がっていく、そのことで最終的には、飲酒運転ゼロの社会を目指すことが出来ればという風に改めてそうした思いを強くいたしました。

 今日は私の司会進行の不手際で、非常に限られた時間、本当はあのシンポジストの皆様にそれぞれもっと、貴重な経験をされていますし、それぞれのご専門のお話しをもっと聞きたかったところですけれども、残念ながらちょっと時間が迫ってまいりましたので、ここで終了という形にさせていただきます。

 今日は、このような形をいただきまして、ありがとうございました。
 それではこれでシンポジウムを終らせていただきます。
 どうもご清聴ありがとうございました。

【司会】
 ありがとうございました。
 また、コーディネーターを務めていただきました、小佐井様ありがとうございました。
 様々な立場の意見を聞くことが出来たので、会場の皆様も恐らく私たちの立場、私たち自身何が出来るんだろうと改めて考える時間となったんではないでしょうか。
 お付合いいただきまして、ありがとうございました。

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