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『どえりゃあ気になる名市博 ―あなただけの“推し展”に出会おう!― 〈形が面白 いもの特集〉』


※推し展とは、推し展示資料のことです。
こんにちは。名古屋市博物館サポーターMARO です。名古屋市博物館サポーターMARO と は、名古屋市博物館を盛り上げるためのイベントを企画、運営している名古屋市立大学の学生団体です。現在私たちは、Twitter 、Instagram で名古屋市博物館の展示資料を MARO 部員独自の視点から紹介し、その魅力を発信しています。このブログでは SNS 上で発信し た情報をさらに深掘りしたり、新たな展示資料を紹介したりしていきます。

今回のブログでは形が面白いもの特集の振り返りに加え、形が面白い展示資料を新たにご紹介していきます。名古屋市博物館にある、魅力あふれる不思議な形の展示資料をとくとご覧あれ!Twitter、Instagram に載せていない展示資料には☆マークがついています。ぜひ目印にして下さい!

【土偶頭部(どぐうとうぶ)】縄文時代晩期〜弥生時代

まずはこちらです。みなさん、この顔、一体なんだと思いますか?実は土偶なんです!土偶自体は歴史の授業で一度は目にしたことがあると思います。しかし、顔だけだと一瞬なんだろう?と思ってしまいますよね。この展示資料のように頭や腕など体の一部だけが見つかることが多く、歴史の教科書に載っているような全身がある土偶は珍しいようです。 なんといっても驚きなのが、同じ土偶のパーツが離れた場所から見つかることもあり、土偶をあえて壊して捨てたりする儀式があったのでは?なんて意見があることです。どうしてそんな事をしたのでしょうか?土偶がなんのために作られたのか、については「神像」 「お守り」などいろいろな説がありますが、いったいどのように使われていたものだったのでしょうか?理由を考えてみるのも面白そうですね!

【耳皿(みみざら)】平安時代

続いてこちらです。このお皿は耳皿といいます。面白い名前ですよね!両側の折り返し部分を耳と見立てています。というか、こんなに不思議な形のお皿、いったい何に使ったんだろう?と思いませんでしたか?これは、祭祀で用いられた箸台だと考えられているようです。使い方に関しては納得です!お箸が安定して置けそうな形をしていますね!実は、 似たようなものが現代でも伊勢神宮などでは使われています。今も尚あるなんて驚きですね!

【壺(つぼ)(渥美焼(あつみやき))】平安時代末〜鎌倉時代前期

よ〜〜く目を凝らしてご覧ください。なんの変哲もないように見えるこの壺、何か普通じゃないですよね...?え?わからない?しょうがないですね。ヒントです!壺真ん中上部をご覧ください。気付きましたか?不思議な線が刻まれていますよ。漢字の「大」のように見えますね。MARO 部員内では「犬の鼻と口に見える!」なんて意見もありました。なぜこのような印が付けられたのか、理由ははっきりしていません。このような簡単な文字の線刻は渥美焼や常滑焼にしばしばみられるデザインで、他に「○」「×」や人の名前らしき ものがついたものもあります。呪術的な意味がある、作った人を示すためである、用途を表すためである、などさまざまな意見があります。みなさんはどうしてこのような線を刻んだと思いますか?ぜひ考えてみてください!

☆【織部沓茶碗(おりべくつぢゃわん)】桃山時代〜江戸時代前期

この茶碗、不思議な形をしていますよね...!ろくろできれいに形を整えた後に力を加えて、 わざと歪みをもたせた沓茶碗です。成形後に力を加えて歪ませるだなんて、失敗したら怖いですよね...。私だったら力を加えすぎて穴をあけそうです。美しい歪みを生み出せるの はまさに職人技ですね...!歪んでいるので持ちやすさも抜群そうです!この美しいフォル ムをじっくりとご覧ください。

☆【三耳壺(さんじこ)】鎌倉時代

一見普通の壺ですが...よく見てください。何か不思議な取っ手みたいなものがついていますよ!なぜこのような取っ手みたいなものがついているのでしょうか?本来これは酒などを入れる容器であり、蓋を固定するためについているようです。本来・・という言い方をしているのでもうお気づきの方もいらっしゃるのではないでしょうか?実は、日本の中世 では骨蔵器などとしても使われていたようなんです!お酒を入れていたのに、骨を入れるようになるなんて、なんとも不思議ですね...。一番面白いのはこちらのツボの名前です。 こちら、三耳壺というんです!耳ですよ!?耳のようだと言われたらそう見えなくもないですが...。耳要素は一体どこにあるのか、いまいち納得がいきませんね...。また、こちら元々は中国の白磁にあった形ですが、白磁は日本で入手困難であったため、瀬戸焼や常滑焼でも模倣して生産されたようです。

【裁断橋擬宝珠(さいだんばしぎぼし)】江戸時代前期

鈴の数にはさまざまなパターンがあった模様ですが、何か明白な意味が込められていたかどうかは、現在謎に包まれたままです。丸みを帯びた珍妙なフォルムのこちら、一体何なのでしょう?その正体は擬宝珠といって、橋の欄干の支柱に被せる飾りのようなものです。この擬宝珠の面白いところは、形のみに留まりません...。目を凝らして柱を眺めてみてください。うっすら文字が刻まれてい るのが見えるでしょう。実はこの擬宝珠は、豊臣秀吉の北条氏攻めに参陣し、陣内で病死した堀尾金助の母が、息子の供養のために橋を改修した際に作られたものです。橋を渡る人に念仏を唱えるように頼む旨の文章が刻まれています。じっくりと鑑賞すると母親の深い愛情が伝わってきます。

【鈴付き青銅製品(すずつきせいどうせいひん)】古墳時代中期

こちらは古墳時代の青銅製品になりますが、均等に並んだ球はなんと鈴なんです。実際に鈴の音を鳴らすことが可能で、鈴の数にはさまざまなパターンがあった模様ですが、何か明白な意味が込められていたかどうかは、現在謎に包まれたままです。左下の鏡を除く 3点は馬具として用いられたものです。お馬さんが大地を駆け巡るのに合わせて鈴が鳴っている優雅な光景が目に浮かびます。左下のものは鏡で、腰に鈴鏡をつけた巫女の埴輪が発見されていることなどから、祭祀用のものとされています。

【かまきり(復元)】江戸時代の復元

こちらのかまきりの細部をよく見てみてください。手がほうき、足はささら(たわしのような道具)など、全身が掃除道具で構成されています。このように一つのジャンルの素材を用いて作られた作品を一式細工といいます。一式細工は江戸時代後期に大流行し、主に祭りの奉納物として親しまれました。物には魂が宿っているとよく言われますが、 当時
の人々は身の回りのものを大切にしようとの願いを込めてこの細工を作ったのかもしれませんね。

今回のブログでは、今週の特集で取り上げた展示資料に加え、新たに展示資料をご紹介しました。いかがだったでしょうか?楽しんでいただけましたか?中には、こんな形のものがあるのか!と驚かれた方もいるのではないでしょうか。私も不思議な形の展示資料に驚きでいっぱいになりながら執筆させていただきました(笑)。今回 ご紹介したもの以外にも、名古屋市博物館には魅力的な展示資料がたくさんあります。実際に博物館で自分のお気に入りの形の展示資料を見つけてくださいね!ここまでお読みい
ただきありがとうございました!

次回の特集は「教科書で見たことあるもの特集」です。学生の方は歴史の勉強に、社会人の方は学生時代を思い出して懐かしい気持ちになるかも...?お楽しみに〜!

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