今朝_旦那に土下座されました_

今朝、旦那に土下座されました。

はい、ごめんください。コスギです。

私たち夫婦は結婚して13年くらい経ちますが、今が一番仲の良い時期だよねとふたりで言い合っていました。価値観が同じ、お互いに主体的、夜はひとつの布団で寝る、という。彼と結婚したことで、私が素直な自分を取り戻せたことに感謝してもしきれないくらいに愛していて、だからこそ依存する気はさらさらないけど隣にいるのが気持ちいい、という状態です。

そんな濃い関係でも久しぶりに「心理ゲーム」をやらかしたので、実例と共にお送りします。

それは、昨晩の何気ない会話から

かかってきた電話を受けた姑が、私宛ですと渡した固定電話。町内のママさんからでした。夕ご飯を食べている家族の隣で普通に会話をして、普通に切って、かくかくしかじかだったよーと話をしたら、姑から一言。

「あんた、電話で『ふん』はないんじゃないの」

――― はい?

思わず停止した思考を再起動して確認すると、

・電話で話を聞くとき、普通は『はい』と言うものだ
・それを『ふん』と言うのはおかしい
・先生になるための勉強をしてきたんでしょうに

と、最後のあたりでディスられはじめた(交流分析では「心理ゲーム」のコミュニケーションだと理解していて、よく仕掛けられる)ので、「そんなに違和感ある?」と家族に聞き返してみると、夫が先生のくだりは関係ないだろと否定しつつも「俺も前から変だと思ってた」と、姑を擁護。

たぶん、結婚前の話下手だった時代が長かったから滑舌が悪いとか、合唱をやっていたから鼻声になりやすいから「うん」と発声するときに鼻から空気が抜けやすいとかいった理由が思いついたものの、それ以上に、私が40年間、相づちだと思っていたものは一体何だったんだろう。

後片付けをしながら娘と夫と3人になったときにそんな話をしたら、「キモイwww」と笑いながら言われて、とうとう涙がボロボロ出てきてしまいました。そして駄々をこねるように怒り散らして、もう相槌打ってやるもんか!一緒に寝てやるもんか!と決意して、くっつけていた布団を離して、Fit Boxing している夫を尻目にさっさと寝たところ、朝。

「昨日はやりすぎました。ごめんなさい」

と、出勤前にスマホをいじってる私に向かって土下座したのを視界の端に確認しました。「ハイ(棒)」とは答えたものの、それで全部元通り!というわけにはいかないのです。号泣するほど揺さぶられて散らかってしまったココロを整理しないままでは、時間が解決するかもしれませんが、どこか許せない思いを持ち続けてしまいます。

・・・それでええっと、そうそう、本題のコミュニケーション心理学のはなしです。

実は「間抜け」の心理ゲームだった

「心理ゲーム」というのは、相手からの気を引くためのコミュニケーションです。最後はお互いに嫌な気持ちになるものの、相手の心をコントロールできてしまうので、昏くて抗えない甘美な刺激をもらえます(この「心理ゲーム」ひとつで一冊の本になるくらい深いので「人生ゲーム入門」と題した書籍がありますが、交流分析を学んでいる人向けかな……人間の心の闇が詰まっています)。

「心理ゲーム」は、公式があります。

[仕掛人]+[乗る人]= [応答]→[転換]→[混乱]→[結末]

です。「心理ゲーム」には代表的なものがあり、姑が(上記でも)仕掛けてくるのが「アラ探し」です。それをわかっているので、私は乗りません。

今回、夫が土下座して私が「ハイ(棒)」と答えた結末を迎えたゲームは「間抜け」でした。相手の笑いを取った先に深く傷つくゲームです。つまり、こういうことです。

[仕掛人]私:「そんなに違和感ある?」(否定してくれるよね?)

[乗る人]夫:「俺もそう思ってた」(でも気にすることないだろw)

[応答]私:「えー、だってさー」
    夫:「いやいやwww」
    私:「うえーん!プンスカ!」
    夫:「はいはいwww」

[転換]私:布団を離して無言で寝る
    夫:それを見てさすがに言い過ぎたと感じる

[混乱]:状況を冷静に考えられず、嫌な気分になっていく

[結末]夫:土下座
    私:無視(返事だけはするが許す気がない)

こうやって私は「無言の怒り」を表すことで、夫をコントロールできる成功法則を手に入れました。とはいえ、これは幼い頃から使い慣れた戦略なので、逆に「やっぱりこの方法は使えるな」と改めて確信したことになります。

心理ゲームで嫌な気分になったあとは、更に「仕掛人」と「乗る人」の関係が強まるので、次の心理ゲームに移行しやすくなります。そうやって否定的なストロークをやりとりしては、「閉鎖・引きこもり状態」でネガティブな思考を繰り返します。

はい、これで美味しい負のスパイラルのできあがり!

「心理ゲーム」を仕掛けないためには、弱さと向き合う

「心理ゲーム」は、ストレスがかかった際に濃い関係にある人ほど起こりやすいコミュニケーションです。恋人や家族とのコミュニケーション問題は、相手のことが大好きで、かつ弱みがあるとわかっているから起こります。

今回の場合も、私は夫を「とてもできた人間」で「自分の完全な味方」と思い込んでいました。姑からのストレスがかかった時には、いつも助けてくれました。心理学のテストをしても、スーパーマンって診断が出ちゃうくらいの安定した人(エゴグラムがまっすぐ16な変態)でした。私の人生を変えるほど影響力のある人でした。

私は無意識に「自分は存在している価値がない」と刻み込まれているので、それを解決するために、誰かを喜ばせたり、一生懸命頑張ったり、高みを目指すことで「自分は存在している価値がある」としながら生きています。

だからこそ最愛の人から投げられた「キモイwww」という言葉は、私の相槌によって誰かを嫌な気持ちにさせていたり、頑張れば頑張るほど裏目に出ていたのではないかという恐れも噴出させました。

忘れていた絶望感を一気に喚起され、フラッシュバックを起こして号泣し、「(私にとって馴染み深い生存戦略の)孤立」を選ぶことで相手をコントロールしたというのが今回の顛末。

だから、自分の弱みを解決するための行動を否定されたことがすべての原因なので、否定されたと感じても「じゃあ改善するにはどうしたらいいか」を考えていけば良いだけなんですよね。

つまるところ、「自分の心の持ちよう」というのはこういうことなんですが、そうそう簡単ではありません。3,000文字近く書いて、ようやっと落ち着くことができます。

というわけで、心の整理がつきました。
今なら「ハイ(棒)」が「はい(わかったよ)」になります。

昨日、旦那くんがイチゴのショートケーキを買ってきてくれているのを知っているので、それで許してやることにします。

あと、私の相槌で嫌な気持ちになっていた方、本当にゴメンナサイ。次からは気をつけて、がんばります。