【まくら✖ざぶとん】⑤⑥『四月馬鹿』
さあ気がつけば暦は四月、長い冬を越してやってきたのは春も春、英語でいえばスプリングハズカム、別れと出会いの季節だが別れたり出会ったりは他人だけにあらず、三月までの自分とはバイバイして新しい自分にコンニチワ。高校生も大学生も社会人もデビューするなら四月、パターンは大きく分けて垢抜けるか角取れるかの二者択一。
中学の時イケてなかった男子は制服が変わると同時にもっさりした髪をバッサリ切り捨てコンタクトを装着、見てくれでイジられイジめられぬどころかモテるモテはやされるメジャーデビューまで見据え、入学式の桜に願う在学中のチェリーボーイ卒業こそ人生のスプリングプリーズカムトゥルー。
高校の時イケイケすぎたギャルは金髪にスパンコールのキンキラピカ女子高生から茶髪をズサンロールしたコンサバサバ女子大生にマイナーチェンジ。
大学の授業にイケてなかった就活生は取る単位も取り敢えずリクルートスーツ姿で自己PRたる修飾活動を経て社会進出、ブレストだスキームだと新出ビジネス用語を駆使する意識高い系エクストリームサラリーマンに。
ここまでが前置きで後回しにしてた本題の主役はデビュー前のオオカミ青年、言葉で騙すのに飽きた今年は四月に入るやキャラ変で豹変。表情はニヒルな半笑い、口調はキザっぽく肩をすくめる仕草は外国人はだし、目と目で通じ合わせるアイコンタクトからの無言ウインクはやれやれ外国かぶれ。
急変した青年を見るに、解離性同一性障害か、変な霊にでも憑かれたか、はたまた誰かと入れ替わったのか…そんなウワサが耳に入ってこようものならにやりにんまりしてやったり。
ウソはバレなきゃウソじゃないならウソでしたとバラすまでがウソ、三週もイメチェン続けりゃやめるにやめられず素のままありのままが恋し懐かし有難し、五月病にかかる前にドロップアウトのカミングアウトことウソバラシでウワサバナシのウサバラシ!
つまりさ、長めのエイプリルフールだったってワケ、とキザったらしく告げる顔に浮かぶにやにやはおやおや相変わらずのニヒリスト。〈他人を騙すにはまず自分から〉がアダとなり、キャラが板についちまってアイタタタ。
おれがどんなヤツだったか、誰かこのボクにおしえてよ…
えー、「一字千金」という故事ことわざもありますが、【まくら✖ざぶとん】を〈①⓪⓪⓪文字前後の最も面白い読み物〉にするべく取り敢えず①⓪⓪⓪作を目指して積み上げていく所存、これぞ「千字千金」!以後、お見知りおきを!!