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東大→精神科看護師。看護学、臨床心理学、精神医学、社会学、など。

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■こんなことをします 日々学んだことや感じたことを綴ります。 ■活動頻度 隔週を目指します。 ■どんな人に来てほしいか 私の専門や関心は精神看護学、精神医学、臨床心理学、社会学です。 同じような関心を持つ人と交流できたら楽しいなと思っています。

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マガジン

  • こころの掃き溜め

    こころについて考えます。

  • 医療者であることを内省する

    医療者として働くうちに、「ふつう」の感覚、「患者」の感覚を忘れていく。時々立ち止まって、「ふつう」であることや「患者」であることを取り戻そう。

  • 死について考える

    タブー視され、絶対悪にされがちな「死」、特に「自殺」や「死にたい気持ち」について再考します。

  • マイノリティ・スタディーズ

    障害、LGBTQ+、貧困、人種・民族、…この世には様々なマイノリティがいる。ばらばらに見えるこれらを研究すると、抱えている困難やマイノリティ性を生み出す構造には共通点があることが分かってきた。この研究を「マイノリティ・スタディーズ」と名付け、様々な理論や概念を学んでいく。

  • ジュディス・バトラーを学ぶ

    ジェンダー学、フェミニズムで有名な哲学者・社会学者・政治学者であるジュディス・バトラー先生の思想を学び、まとめていきます。

最近の記事

『ふつうの相談』(東畑開人)と精神科看護師のケア

話題になっていた東畑開人さんの『ふつうの相談』という本を読んだ。 ネタバレも避けたいし、要約をすることも難しいので、短い本だからぜひケアに携わる人には読んでほしい。 この本では、専門的な心理士による心理療法と、世間の人達が常々行っている原石のようなふつうの相談(この本で言うところのふつうの相談0)との接続性・関係性を立体的に描き出している。 様々なところで行われている「ふつうの相談」には、様々な「知」が参照され、ミックスされて用いられている。 世間の人達が行うふつうの相

    • 自己肯定感が低くて「ほどよい暮らし」ができない

      私と同じく、トラウマと共に生きている友人が、とある心理士さんのnote記事を紹介してくれた。 要約すると… デフォが「自己否定」の側にある人は、いきなりマイナスをプラスに変えようとするんじゃなくて、まずはほどほどを目指そうよ、とのことです。 「ほどほどの穏やかな日常」。 私はこれを「ほどよい暮らし(Good Enough Life)」と名付けることにした。 ほどよい、すなわち、"Good Enough"という言葉は、精神分析家のD.W.ウィニコットが提唱した「ほどよい母親

      • ホームレス(home-less)なわたし

        5,6年前、私は新橋の居酒屋でバイトをしていた。 新橋の居酒屋は仕事帰りのサラリーマンたちで賑わう。 「明日も仕事じゃないの?」と思うけれど、華金じゃなくたって、閉店まで飲んでる人たちがいっぱいいた。 私はサラリーマンたちにお酒を提供し、サラリーマンたちと同じように、終電で辛気臭い家に帰る日々を送った。 「潜在的なホームレスなんていうのはね、たくさんいるんだよ」。 よりどころがない、安心できる場所がない、私には帰る場所がない、そう相談した時に、あるベテラン看護師はそう答えた

        • 【後編】良い精神科医ってどんな人?〜約20人の主治医レビュー〜

          たくさんの主治医に出会ってきた私に、どんな主治医に出会ってきたのか知りたいというお題をいただきました。 今まで私をみてくれた主治医は何と20人くらい。 今回は前回に続く主治医たちをご紹介していきたいと思います。 私のマシュマロ箱はこちら。お題、質問受け付けています。 9. 多重関係 大学の精神科系の勉強会で知り合った先生が入院中の主治医になったことがあります。 自分の病気は隠して勉強会に参加していたので、病気がバレて気まずい思いをしました。

          有料
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        『ふつうの相談』(東畑開人)と精神科看護師のケア

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        • こころの掃き溜め
          17本
        • 医療者であることを内省する
          7本
        • 死について考える
          6本
        • マイノリティ・スタディーズ
          2本
        • ジュディス・バトラーを学ぶ
          2本
        • 重度障害者を囲む社会について考える
          2本

        メンバー特典記事

          【後編】良い精神科医ってどんな人?〜約20人の主治医レビュー〜

          「記事読み放題、スタンダードプラン」に参加すると最後まで読めます

          たくさんの主治医に出会ってきた私に、どんな主治医に出会ってきたのか知りたいというお題をいただきました。 今まで私をみてくれた主治医は何と20人くらい。 今回は前回に続く主治医たちをご紹介していきたいと思います。 私のマシュマロ箱はこちら。お題、質問受け付けています。 9. 多重関係 大学の精神科系の勉強会で知り合った先生が入院中の主治医になったことがあります。 自分の病気は隠して勉強会に参加していたので、病気がバレて気まずい思いをしました。

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          【後編】良い精神科医ってどんな人?〜約20人の主治医レビュー〜

          「専業主婦」になるのが怖い

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          私は幼い頃から、「専業主婦には絶対ならない」と心に決めて生きてきた。 「シングルマザーで子供が3人いたとしても全員を大学に行かせられるくらい稼ぐんだ」と大きくなってからも友人によく豪語していた。 それは専業主婦の母を見ていたからである。

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          「専業主婦」になるのが怖い

          【前編】良い精神科医ってどんな人?〜約20人の主治医レビュー〜

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          たくさんの主治医に出会ってきた私に、どんな主治医に出会ってきたのか知りたいというお題をいただきました。 ありがとうございます。(お返事が遅くなり恐縮です) また、参考にしてくださっているとのことで、とても嬉しくありがたく思っております。 今まで私をみてくれた主治医は何と20人くらい。 色んな精神科医を見てきました。患者だって、精神科医のことはよく観察しています。 エピソードトークしつつ、どんな精神科医が良いのか考えてみることにしました。 今まで私の主治医はコロコロ変わって

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          【前編】良い精神科医ってどんな人?〜約20人の主治医レビュー〜

          「摂食障害の娘にどんな言葉をかけたらよいか」という質問に答えました

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          質問投げてくださりありがとうございます。 娘さんが摂食障害で、痩せた姿への憧れや痩せていく達成感を手放せないのですね。娘さんがご入院中とのことで、ご質問者様自身のご心労も思いやられます。 病気にかかった人にどのような言葉をかけたら良いのか、という質問に正解はないと思います。ただし、「言わないほうが良い言葉」はあると思います。 しかも、摂食障害って発症要因が多岐に渡っていて、理解も難しいですよね。 実は、私も拒食で30キロ前半に落ちたことがあります。ありがたいことに私の場合数年

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          「摂食障害の娘にどんな言葉をかけたらよいか」という質問に答えました

          「悲しみや苦しみとどう向き合っていますか?」という質問に答えました

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          質問投げてくださりありがとうございます。 めちゃくちゃ難しい質問ですね。悩んでしまいます。 自分の悲しみや苦しみとどう向き合っているのか、がんばって内省してみたいと思います。 正解はないと思うので、なにか思うところがある方はコメントやリプライをくださると嬉しいです。  ※私のマシュマロ箱はこちら↓ お題、質問待ってます。

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          「悲しみや苦しみとどう向き合っていますか?」という質問に答えました

          「精神疾患のことを身近な人に理解してもらうにはどうしたら良いか」という質問に答えました

          「記事読み放題、スタンダードプラン」に参加すると最後まで読めます

          質問投げてくださりありがとうございます。 精神科に通院されていて、症状の辛さから大学に思うようには通えない。 自分でもそのことに自責の念をもっているのに、パートナーからの「学校全然来てないじゃん」という相手にとってはふとした言葉に、さらに傷ついてしまう。 どうしたら、身近な人に理解してもらえるのだろう。 どうしたら、伝えられない辛さを紛らわせられるのだろう。 そんな質問に一緒に考えていきたいと思います。 ※私のマシュマロ箱はこちら↓ お題、質問待ってます。

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          「精神疾患のことを身近な人に理解してもらうにはどうしたら良いか」という質問に答えました

        記事

          「専業主婦」になるのが怖い

          私は幼い頃から、「専業主婦には絶対ならない」と心に決めて生きてきた。 「シングルマザーで子供が3人いたとしても全員を大学に行かせられるくらい稼ぐんだ」と大きくなってからも友人によく豪語していた。 それは専業主婦の母を見ていたからである。

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          「専業主婦」になるのが怖い

          「何者」でもない大人になる

          幼い子どもは皆そうなのだろうか、幼い私には万能感があった。 こんな子どもは鼻について仕方がないと思うが、5、6歳にして、「自分の方が賢い」と周りの大人を見下していた。 小学校中学年くらいの時、桜蔭高校から東大の理科三類(日本で一番難しいところである)に行った人の話を読んで、私もそのルートを辿るのだろうと思った。 そして、何かはわからないけど、「エラい人」になるのだろうと思っていた。 今思えば私は自分が決して天才でもなんでもないことを身に沁みて知っているが、 負けず嫌いな性

          「何者」でもない大人になる

          【前編】良い精神科医ってどんな人?〜約20人の主治医レビュー〜

          たくさんの主治医に出会ってきた私に、どんな主治医に出会ってきたのか知りたいというお題をいただきました。 ありがとうございます。(お返事が遅くなり恐縮です) また、参考にしてくださっているとのことで、とても嬉しくありがたく思っております。 今まで私をみてくれた主治医は何と20人くらい。 色んな精神科医を見てきました。患者だって、精神科医のことはよく観察しています。 エピソードトークしつつ、どんな精神科医が良いのか考えてみることにしました。 今まで私の主治医はコロコロ変わって

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          「摂食障害の娘にどんな言葉をかけたらよいか」という質問に答えました

          質問投げてくださりありがとうございます。 娘さんが摂食障害で、痩せた姿への憧れや痩せていく達成感を手放せないのですね。娘さんがご入院中とのことで、ご質問者様自身のご心労も思いやられます。 病気にかかった人にどのような言葉をかけたら良いのか、という質問に正解はないと思います。ただし、「言わないほうが良い言葉」はあると思います。 しかも、摂食障害って発症要因が多岐に渡っていて、理解も難しいですよね。 実は、私も拒食で30キロ前半に落ちたことがあります。ありがたいことに私の場合数年

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          「死んでもいいんじゃない?」

          私は中学生の頃からずっと「死にたい」と思っている。 何だかわからない圧倒的な苦しみが超デカい重石になって、胸を潰してしまいそうなのである。 それが辛いから死んで楽になりたい。 重石の正体ははっきりとは分からない。今までのトラウマの堆積物なんだろうけど、専門用語で重石に名前をつけたところでなんかしっくりこないような、言葉の世界から弾かれた異物なのだ。 大抵の人は他者の「死にたい」という言葉と上手く付き合えない。 「そんなこと言っちゃだめだよ」「周りの人悲しむよ」「死んだら悲し

          「死んでもいいんじゃない?」

          「悲しみや苦しみとどう向き合っていますか?」という質問に答えました

          質問投げてくださりありがとうございます。 めちゃくちゃ難しい質問ですね。悩んでしまいます。 自分の悲しみや苦しみとどう向き合っているのか、がんばって内省してみたいと思います。 正解はないと思うので、なにか思うところがある方はコメントやリプライをくださると嬉しいです。  ※私のマシュマロ箱はこちら↓ お題、質問待ってます。

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          「悲しみや苦しみとどう向き合っていますか?」という質問…

          「精神疾患のことを身近な人に理解してもらうにはどうしたら良いか」という質問に答えました

          質問投げてくださりありがとうございます。 精神科に通院されていて、症状の辛さから大学に思うようには通えない。 自分でもそのことに自責の念をもっているのに、パートナーからの「学校全然来てないじゃん」という相手にとってはふとした言葉に、さらに傷ついてしまう。 どうしたら、身近な人に理解してもらえるのだろう。 どうしたら、伝えられない辛さを紛らわせられるのだろう。 そんな質問に一緒に考えていきたいと思います。 ※私のマシュマロ箱はこちら↓ お題、質問待ってます。

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          「精神疾患のことを身近な人に理解してもらうにはどうした…

          「朝に弱くて遅刻してしまいバイト先で怒られてしまうのがきつい」という質問に答えました

          質問投げてくださりありがとうございます。 色々な事情が絡まり合ってそうですね。 困りごと3つに分けてほぐしていきたいと思います。 ※私のマシュマロ箱はこちら↓ お題、質問待ってます。

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          「朝に弱くて遅刻してしまいバイト先で怒られてしまうのが…

          皆様からのお題や質問に答えていきます

          最近入院しているのもあって、思いがけない人と連絡を取り合ったり、面会してくれる人がいたり、人と交流するのが少し楽しいな有り難いなと思うようになりました。 あとは、結構時間もあるので、自分が好きな「文章を書くこと」に時間を割けたら良いな、と思いまして。 そこで…! マシュマロ箱を設置するので、そこに投げられたお題や質問に対するお返事記事を作成することにします。 noteのメンバーシップ機能というのを使って、メンバーになってくださった人がお返事記事を見られるようにします。

          皆様からのお題や質問に答えていきます

          こころの病気をもちながら働くということ

          新社会人デビューをしてもうすぐ1年が経つ。 けれどもこころの病気をもつ私にとって、働くことは困難に溢れていて、実際働けたのは半年ほど。 1年目から、休職して、入院して、を繰り返してしまった。 「働けない」「働かせてくれない」ということは人の尊厳に関わる一大事である。 だから、こころの病気をもつ人が働くうえでどのような困難に直面するか知って欲しいし、どうやったらいろんな人が働ける社会になるのか、一緒に考えて欲しい。 こころの病気をもつ私が病棟看護師をやってみた病棟看護師(特

          こころの病気をもちながら働くということ

          「言葉にできない」ことの苦しみ

          こころの底には、「言葉にできない」ことがたくさん沈殿している。 何かは確かにあるのだけれど、その形はわからない。 引き揚げようとしても、引き揚げることができない。 吐き出してしまえたら、どんなに楽だろうか。 でも、「言葉にできない」限り、自分の外に吐き出すことはできない。 当然、他人と共有することも叶わない。 「言葉にできない」何かは自分の中でくすぶって、じわじわと自分を黒く染めていく。 私は8年ほど前から現在に至るまで、カウンセリングを受けている。 言葉を通じて自分の内的

          「言葉にできない」ことの苦しみ

          カロリーメイトとポカリスエットで人間は生きていけるのか?

          食べるものに困った時、支援団体や行政から食品を配布されることがある。 そういう食品のうち多いのがこういった類のもの↓ 食品廃棄物をなくそうという善意と、人を生き延びさせようという善意を感じる。 このご時世、コロナに罹って行政から食品が届いた人も実感したかもしれない。 これが届いた頃、ちょうど鬱がひどくて買い物する気力も料理する気力も食べる気力もなく、1ヶ月ほどこの段ボールの中身を少しずつ消費して過ごしていた。 基本寝ていて、目が覚めて何か摂取しなければと思うとカロリーメ

          カロリーメイトとポカリスエットで人間は生きていけるのか?