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「是非」

誰もこの世界を
見ない 聞かない 言わない 知らない
誰もこの世界を…

 先日、草野球チームの大会があった。一回戦は因縁と言えるチームとだったが、結果は八対三の勝利で終わった。俺は出番なんてなかったが、試合前のアップに参加し、アップを練習の代わりにして少しでも戦力になろうとした。友人からアドバイスを貰い、投げ方について教わった。更に練習したいなぁ。今までバスケしかやったことなかったから、やはり野球ボールの投げ方が掴めない。少し掴んだと思ったら、人差し指故障。ダーツも野球も投げ方を変えざるを得なくなった。それでも、チームの為に、やれることをやりたい。

 そんなことを考えながら試合に臨んで、ベンチで大声を張り上げ、チームを少しでも盛り上げようとできる限りのことをしよう、としていた時にアクシデントがあった。チームの友人が打った自打球が顔面に直撃し、流血・目を負傷してしまった。
 控えで最後まで出番は無いと思っていた俺は、すぐに近くの病院に電話したが、日曜で眼科は不在だった。探すより救急車を呼んだ方が早いという結論に達し、救急車を呼んだ。救急車を案内するために球場の端から端まで走り、搬送まで見送り、その友人の彼女さんを駅まで送った。

 友人が搬送され、試合が終わった後、相手チームのピッチャーから「よくあんだけ走ったね。」と声を掛けてもらえたのは、確かに嬉しさがあった。俺の生きる理由って、こんなとこなんだよね。

 駅まで送った後に引き返し、チームでの昼食に舞い戻った。色々話し、帰る間際に教え子と会った。二、三言葉を交わし、店の外に出ると、その子と連れの友達の自転車の鍵が差しっ放しだったので「学校じゃなくても、鍵は抜くんだぞ。あと荷物も、盗まれちまうぞ。」と教えてあげた。その子はとても素直で、笑顔で「わかりました!」と言って自分と友人の鍵を抜き、荷物を持って店の中に輝かしい笑顔で戻っていった。

 そして、実家に車を置いてから出掛けるチームメイトがいたので、実家まで同行し、俺の家まで送り届けた。そこからは別の友人が送ってくれる算段だった。話したいことを、伝えたいことを伝えられた。帰宅すると、東っ風に煽られて洗濯物が落ちていた。

哀愁半端ねぇ。

何処かの町で今日
シアワセの箱が開くって

 迎えたやや寝不足の月曜、前日に部屋干ししていた洗濯物を外に出し、出勤した。この職場に来て初めての授業だったが、お子たちは笑顔で迎えてくれて、これまた嬉しかったな。
 ただ、迫る大会の要項が自分のもとに回ってこなかったので、主顧問の先生にデータを貰いたいと話した。「結局、大会は来るんですか?」という質問をされた。正直次の通院日まで判断しかねる部分があったので、「自分としては行ける時に行くつもりですが、通院日が…」まで話したところで遮られ、「管理職と相談して決めて下さい。」と言われた。遮られた、というのはオーバーな表現かもしれないが、そう感じたのは紛れもない事実。
 人の話聞かない人間は基本的に嫌いな部類に入る。「聞けない」と「聞かない」は違う。「聞けない」のは本人の能力的な面もあるので仕方ないが、自分より一回り長く生きていてそれはなくね?と直球で思っちゃった。

天国ハラキリ 天国ハラキリ

 帰り道、家に着く間際で雨が降り出した。腹立たしい雨だ全く。今日も洗濯物煽られて落ちてたけれど、何とか全部救出して、その最中に可愛いのと出会った。

とかげ?いもり??やもり???

 天気の所為もあり、妙に感情の波がいつもより激しかった。洗濯物を畳み終え、届いていたムックちゃんのライブDVD観ながらご飯食べた。食器を洗い出した辺りから、「怒」の感情が前面に出てきた。苛立ちをそのまま歌詞にぶつけたような暴れ曲を叫ぶ様に歌い散らしながら、食器を洗って一服。その感情は風呂でも治まることなく、風呂上りもヘドバンしながら絶叫していた気がする。

金でも変えれない地獄

 今日、趣味の時間を削ってまで此処に記録を残したのは、感情を一度整理する為である。
 昨晩、友人に理不尽な理由で車を奪われ、顔パンに膝蹴りを連発する夢を見た。以前の悪夢程では無いが、目覚めの良いものではなかった。夢占いを調べてみると、友人を殴る夢は「自身への苛立ち」を象徴しているそうだ。
 野球では、日曜にユニフォームで参加して、試合外で役割を果たしたが、やはり出られなかったことは苛立ちに繋がっていたのだろうか。それとも、職場で先輩と上手くやれない自分に苛立っていたのだろうか。どちらにしても、自分の中に抱え込んでいるストレスが徐々に表面化してきている。この業界では、暴力など言語道断。子どもに手を上げる理由は全く無いし、そうなる前にコントロールできている自分がいることは自覚しているが、果たして子ども以外に我慢はできるか不安になる。

 過去に一度、バスケの試合中に相手のラフプレーに苛立ち、それが最高潮に達した瞬間頭が真っ白になり、相手選手に思いっきり蹴りをかまして顧問から凄まじい激怒を頂戴したことがある。猛省したが、あの瞬間は思い返すと怖い。自分を制御する能力、リミッターがぶっ壊れた状態になると何も考えられない。そして、恐らく今の俺はそこまでの沸点が低い。制御しようと考えるとそれはそれでストレス直結だし、抑え込んでもストレス。逃げ場どこ?

 こうして発散していかないと、とてもやっていられない。病み上がりの定時退勤+土日祝OFFの好待遇でさえ、この業界にいるだけで苛立ちが募る。己の感情と上手く付き合っていかないと、「是」を目指して生きている自分を「否」定することになってまうからなぁ。生き辛い世界だ全く。

 ちょいちょい張り付けてた浮いてる行は、この曲の歌詞。
 古豪さん達が従来と何も変わらず、時代の潮流に乗らず佇んだままでは、一生夜明けは来ない。俺と、俺と同じ思考を持つ者達へ、どうか変わった夜明けを。黒い光の先にあるユートピアが、何時か現実になる日を。時給三百円相当の世界からの脱却を。そして、罹った者にしか分からない、この明暗が交互する陰鬱な世界の終焉を。

 これらは、いつまで待てば来るのだろう。

見えるのは 黒い光
そこに在るユートピア
俺たちは いつも待たされる
変わるふりした 夜明けを

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