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劇団四季「ウィキッド」 ~ストーリー深読み

日本初演は2007年6月17日。
今回は10年ぶりの再演ですね。
劇団四季の演目の中でも、再演リクエストNo.1の人気作品です。
メリアは、初演以来16年ぶりの観劇でした。

作品の素晴らしさや楽曲、ストーリーなどについては、すでに多く語られていますが、
「ウィキッド」観劇2回目の初心者ながら、メリアの視点での感想?考察?を試みてみます。


ファンタジーと社会的問題の融合!

素晴らしいエンターテインメント、独創的なファンタジーの世界に留まらないのが、この作品の人気の秘密でしょうか。

革命とも言える、とある国の政治情勢に、友情と愛のエッセンスを散りばめる。
しかも、本家本元の「オズの魔法使い」のエピソードもなぞられていく。
いかにして「悪い魔女」が作り上げられたかを見せ、社会的・政治的な問題提起をする。

う〜ん!
なんて巧妙なストーリー展開でしょう。

道徳の授業の教材にうってつけ?

では、どんな問題が考えられか、探ってみましょう。

わかりやすいところでは、エルファバを肌の色の違いから差別する【人種差別】がありました。
グリンダにより、皆に受け入れられ、自信を取り戻していくエルファバ【多様性・相互理解】
そして偉大なるオズの魔法使いは、自分たちの権威を保つために、共通の敵(=動物)を作り上げていました。
オズの魔法使いに反旗を翻し、動物たちを擁護するエルファバは、「悪い魔女」に仕立て上げられます。
このような【フェイクニュース】を信じた国民は、【集団心理】により攻撃的になり、エルファバを敵対視。
そして、「エルファバ=悪」という認識のもとに働く【バイアス】により、
不都合な出来事は、全てエルファバのせいだと思い込み、噂し、更に恐怖を募らせていく国民。
権力者のやり方に異議を唱えるのは、エルファバだけ。
「違った角度から物事をみる」という力が、エルファバにはあったから。

こんな風に、まるで「ウィキッド」は、道徳の教材の如く、社会的・政治的問題を内包しています。

グリンダとエルファバ

さて、柄にもなく堅苦しい言葉を連ねましたが、何といっても二人の「友情の物語」が、観客の心を揺さぶります。

グリンダとエルファバ


グリンダは、学園のマドンナ的存在。みんなに愛され、自分もみんなを愛したいという「愛」の人
魔法使いとしての才能は、残念ながら持ち合わせてはいませんが、
孤独なエルファバの気持ちを察し、歩み寄る優しさがありました。


エルファバは、妹の足が不自由なのは、自分のせいだと自責の念に駆られ、いつも陰気な表情。
でも、物事を「違った角度から見る」ことができ、自分の意見をしっかり持つ「正義」の人
オズの魔法使いの不正を知り、無謀と思われる戦いに独り挑みます。

混乱が収束:オズの魔法使いが去った後

・グリンダは、オズの国の醜い部分を隠し、     平和な幸せを取り繕い続ける
   国民を守る責務を担います。

・エルファバは、フィエロとの愛を貫き、
    二人で王国を去ります。

「愛」の人グリンダが、求めていたフィエロの「愛」を得ることができず、
「責任のある立場」を得る。
     ↕️ 
「正義」の人エルファバが、自分の信念に従って「正義」を求めて突き進んだ結果、
諦めていた「愛」を得る。

二人とも、求めていたものは得られず、違うものを得ている。
こんな結果も、普通のファンタジーとは一線を画すところ。

その切なさ、一見平和に見えるオズの国の危うさが、1幕冒頭と2幕終わりに歌われる「グッドニュース」の不協和音で表現されているのでしょう。

そして、別々の道を歩む事になった(しかも三角関係!)エルファバとグリンダの友情は、お互いに尊重し合う【相互理解】の上にのみ成立する。


長い文章をお読みいただき、ありがとうございます!
「ウィキッド」深いわ~🙌
また再演して欲しいです。

 ✴︎お写真、動画は劇団四季ホームページからお借りしました。

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