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無計画無職日記(4)

 先月31日を以て仕事を辞めてから早23日が経った。
今のところ世間から、社会から、順調に置き去りにされている、のか疑問である。

 洗濯と窓と水回りは晴れた日に限るので、 今日は風呂を重点的に掃除することにした。
(窓はガラス用の洗剤が切れてしまっているので次の晴れの日に持ち越す)
そう、風呂掃除である。
家事の中でも一番精神の持久力が問われるものだ、と思う。
成果が見えにくいし、放っておくと直ぐに汚れる、やりきれない地味な作業である。
普段はシャワーで済ませ、湯船に浸かりたいときは浴槽を洗うだけの人間だ。排水溝の蓋やシャンプーのボトルの底なんて気にもかけない。
意を決して、恐る恐る見ると案の定カ〇ルンルンだった。
毎日こんなところに足を踏み入れていたのか、嘆くくらい〇ビルンルン。
見てしまった以上バスタイムでルンルン言えなくなるので徹底的にやってやろうと使い古しのスポンジと歯ブラシ片手にいざ参らん。
 いつも浴槽を洗うときには『千と千尋の神隠し』の千尋の気分になるのだが、今日はそんな気も起きずただただ壁と床を擦り倒す。
一心に遂行していくその表情はカオナシである。
各種ボトル、ステンレスのボトルストック、洗面器の裏、椅子のゴムとプラの間、シャワーホース、蛇口回り、その汚れを見逃しはしない!
住み始めてから連れ添ってきた2匹のラバーダックも黒く浸食されてしまったからオオトリ様のお風呂セット(Amazonで売っている)にチェンジしておさらばだ。
小物類を終えたら、これまでの汚れを受け止めてくれた排水溝の番である。
ここでカオナシの顔が曇る。
本来取り外せるものであるはずの内蓋が取れない。
くそっ、隙間に詰まってやがる。
手ではぬめりで滑って無理なので、マイナスドライバーで梃子の原理で持ち上げる。
ああ、底が見えない。
家のパンドラはここにあったのか。
手が入るとこまではスポンジでぐるりと拭い、蓋各種と小さいバケツなどはハイターで漬け置きのあと磨き、セットし直してからもハイターをぶっかける。
過剰なほどに徹底的、それが流儀である。
最後は新しいスポンジで浴槽を洗って仕上げ。
所要時間は大体銭婆に会いに行くらいまで掛かっただろうか、長かった。
今後は湯婆婆に名前を奪われるまでに終わらせたいと思うばかりである。

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