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いわき七浜海道をちょい乗りするブロンプトン及び大津港の海鮮丼について

ふくしま里みちサイクリング#(実走 2022.3 )

 

・はじめに

春浅き3月、われわれは所用で福島県浜通りは小名浜をおとずれる機会を得た。
まだ雪が残るわが街を離れて温暖な浜通り南部に行くのはちょっとしたリゾート気分である。
小名浜から海岸沿いを南北に伸びるのはいわき七浜街道。近年整備されて話題のサイクリングロードだ。
海沿いを快走できるルートとしてメディアで取り上げられることも多い。
所用のついでにわれわれはこのCRを走ってみようと考えたのである。

・いわき七浜海道

改めて調べてみたところ、全長43km余のいわき七浜海道は

・海岸沿いの防波堤(震災を経て改築されたもの)を利用した自転車専用道部分
・既存の車道を「整備」(おもに路肩に青い線を引いて案内標識を立てまくること)した部分

の2つが混在することがわかった。メディアで多く目にする海沿いのトレイルは前者だ。
そして全体として七浜街道は、小名浜市街、及びその北方、南方、の3つのパーツに分けることが出来、われわれが滞在していたホテルの近くからコース終点の勿来に至る約7kmの南方パートは、車道と隔絶されて堤防上につくられた専用道が続くことをも突き止めたのである。
ならばわたしたちも冬の間氷雪に閉ざされて身体が鈍っていることだし43km全線走破などと欲張らず、南部の海沿い専用道区間だけ気軽に走って七浜街道のキモを味わうことでよしとしようという方針を固めたのであった。

・走ってみた

いわき七浜街道の南端である勿来が関公園にほど近い公営駐車場にクルマを乗り付け、ブロンプトンを出して北に向かって走り出す。
しばらくは国道6号の狭い歩道を走るように指定されている。さすがに一桁国道の路肩を走らせるのは危険と当局も判断したのか。

ほどなく防波堤上のコースに誘導される。海岸を見下ろす、七浜海道のパブリックイメージに忠実な景色だ。
その先は時おり堤防の内側で海が見えなくなったり、また上に上がったりを繰り返すが、海を見渡せるのはすばらしい。氷雪に閉ざされた内陸から来た者の心に早春の海の抒情が染み渡る。

防波堤の上や傍を走っていけばよいのであるから余計な案内は無くとも迷うことはまずないのだが、路肩の青い線と案内の標識は執拗なまでに完備されている。
途切れることなく引かれた青い線も数メートルおきの破線にするとか、標識もあんな密度で立てなくてもいいんじゃないかと思うが、上の方から降ってくるお金もあるんだろうし、不景気の昨今それで潤う界隈があればそれはそれでいいのではないかと、地域経済について思いを馳せるひとときでもあった。

もう少し青ペンキ代を節約する余地があったと思う
内陸部住民としては
3月に海辺で日差しを味わえるのは
嬉しいことだ

約7km続いた堤防ルートは国道6号の鮫川大橋に至る。われわれはここで引き返すことにした。

鮫川の河口

堤防ルートの専用道はとりあえずここまで、鮫川大橋は自歩道が完備されており安全に渡れるが、その先は海沿いの県道に続いており、その先は小名浜市街の交通量の多い区間が始まる。

小名浜市街のルートは発電所から港湾地区を経てららミュウ(観光物産館)やアクアマリンふくしま(水族館)のある商業地域に至る。
この道筋はわたしは用があってクルマで走ったのだが、交通量が多く路肩スペースもない県道やら、路肩にスペースは十分なのだが工業地帯で殺風景な区間やらが続き、あまり自転車で走りたいとは思わない感じであった。スピードは出せそうだからローディーは楽しいかもしれない。
そのさらに先、終点の四倉に至る区間はいちおう海沿いを走れるようにはなっているようだが、専用道と県道がどのぐらいの比率になっているかは不明。

・追補
帰ってから検索してみたところ、ミニベロでの全線走行動画を見つけた。
これを見ると小名浜以北も車道区間が断続し、さほど呑気に海を見ながらポタポタ走るというわけにはいかなそうな雰囲気ではある。

いわき七浜海道 各区間詳細地図はここ
今回われわれは勿来から往復したが、反対側の四倉から走り出しても端のほうは堤防ルートが続くようなのでそれもよいだろう。(そちらの堤防ルートの長さは不明)。
結論として、海を眺めつつもっぱら自転車専用道をのんびり走りたい向きは、全線走破よりも勿来もしくは四倉のいずれかから往復するのがよいと思われた。

・足を伸ばして(クルマだけど)茨城へ

勿来まで来たならちょっと南はもう茨城県だ。せっかくだからクルマでちょっと行ってみようではないか。
東北の住人としてははるばる関東まで来たという感慨に浸る。

県境を越えて間もなく交通の多いR6から外れ、平潟から五浦に至る海沿いの県道を辿る(この道は静かでサイクリング向きであった。)。
平潟は古くから栄えた港町で、いまも温泉とあんこう鍋で名高い観光地であるが、コ口ナ禍に加えてあんこうのシーズンも過ぎた今はひっそりと寂れた感じだ。街並みに昭和の面影が漂っている.
その先海沿いの県道はクルマも少なく快適だ.やがて五浦(いづら)集落に至る。海に張り出した岬の突端には小さな灯台があった。

ここらでひるめしをとろうとわれわれは画策した。港町だからここにもうまい魚を出す店があるに違いない。
検索した結果、大津港駅近くの大信という店の評判がいいことを突き止めた。テイクアウトもやっているので何か買ってさきほどの灯台のところの公園で食べようといいうことにする。
われわれはプレミアム海鮮丼というのを注文した。並の海鮮丼もあるがプレミアムの名に意地と誇りを感じたのだ。

調理に15分ほどかかるというのでJR大津港駅周辺を散歩する。駅前に煉瓦造りの建築があって目を惹いた。
かつては駅の貨物業務を扱う倉庫であったというこの建物、10年ほど前に観光案内所としてリニューアルしたものの数年で撤退してしまい、今は使われることもない建物だけがむなしく残っている。

プレミアム海鮮丼は果たせるかなその名に恥じぬ優等ぶりであった。

スズキ、ヤリイカ、メヒカリ、サヨリ、あんこう、シラウオ、水だこ(吸盤含む)、そして赤エビ。
すべて地元産で固めたストロングスタイル、刺身を食べて減らしていってもなかなかごはんが見えてこないぐらいの層の厚さに圧倒される。

いわき七浜海道というのはあくまでも福島県の事業であるので勿来で完結してしまうのは致し方ないが、このように茨城県のパートを加えればいっそう楽しみが増すであろうと思われる。
JR植田駅から走り出して七浜海道ー勿来ー五浦ーJR大津港のコースも可能だろう。(県境部分のR6の1km弱の車道区間は快適でなさそうだが)。

滞在した小名浜オーシャンホテルから日の出を拝む

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