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山形・長井をブロンプトンでゆるくポタる話


長井よいとこ

山形置賜の長井はかつて最上川の舟運で大いに栄えた町だ。
しかし荷物を川舟で運ぼうと誰も思わない時代になってからは、地味で凡庸な田舎町として年月を重ねている。とりたてて観光資源があるわけでもないし、よそから長井を目指して観光に来たり泊まったりという人もあまりいない。
しかしこの辺りは、地味ながらも味わい深い地方小都市ネタがいくつも詰まっており、自転車で巡ってみるとなかなか楽しいのである。以下に挙げると:

・野川沿いのサイクルトレイル(…として作られたものではないが)
・旧市街のレトロな街並み、水路と路地の織りなす裏町の風情
・長井市立第一小学校旧校舎
・最上川
・ここちよい公園が二つ(あやめ公園、白つつじ公園)
・朝日・飯豊連峰をバックにした周辺農村の屋敷林風景
・フラワー長井線のローカル線風情と輪行

わたしも何度もこの町に来ては楽しんでいる。今回も、ひるめしあとの数時間で、上に挙げたたのしみを周遊するポタリングを楽しんだのでここに記そう。

野川沿いの道

市街の北の端にあるあやめ公園の駐車場にクルマを置いて走り出す。
ちなみにここからは朝日連峰をバックに鉄橋を渡る山形鉄道のディーゼルカーが撮れるおすすめポイントだ。

最上川に注ぐ支流・野川沿いに付けられた自歩道を上流に辿って西へいく。
次第に人通りも少なくなり、木立の中の細くワイルドな道となる。

野川まなび館(治水展示施設)まで5km。これだけ走っただけで川はなんか中国奥地のような(行ったことないけど)ダイナミックな光景になる。
この先、野川沿いの道は山奥に分け入る林道となり、ながい百秋湖、さらにその上流の木地山ダムに至る。

今日はあくまでゆるポタであるので林道に背を向け踵を返し、ここからは静かな農道をたどって南西へ。
周辺ではこの地域特有の、農家の周囲を防風雪が囲む造りの屋敷林が散在する風景が見ることができる。

長井の町

やがて長井の町に戻ってくる。野川の豊かな水は田畠のみならず街をも潤す。クルマは入れない狭い路地と水路が交叉し、町の裏通りを蛇行する風景。「水のまち」を自称する長井ならではのよさだ。

舟運で栄えた昔を偲ばせる古い家並みとレトロな商店街が並ぶ旧市街を散策。何度も来ているので今日はさらりと流したが、訪れる人はぜひ時間をかけて味わってほしい。

市街地のちょうど真ん中あたりに白つつじ公園と皇大神社がある。緑濃い空間が心地よい。緑の中に建つ長井市立図書館はナウ昭和風(1981築)の味のある建築だったが、残念ながら老朽化で閉鎖中、移転予定である。

旧長井第一小学校

長井市立第一小学校に隣接するかつての木造校舎(2015年まで現役だった!)は近年リノベーションして公開された。現在はコミュニティセンターとして一般開放されているので、建築好きはぜひ見学したい。

この先は最上川沿いの道に出てみる。
堤防上の道を辿ってからあやめ公園に戻り、今日のサイクリングはおしまい。

ふろく:荻生のあたり

別な日、長井の南西、飯豊町のかつての商業の中心地だった荻生を訪れた。
すっかり廃れてしまった商店街だが、衣料品店だけが営業している。

かつて旅館であった家の壁に鏝絵が残っている。
貴重なものだと思うが数年ぶりに訪ねてみたら蔓延ったツタに覆われていた。旅館も無住だと勝手に除去するわけにもいかないのだろう。

集落の西側の山裾につくられたホトケヤマ展望台からは、先に触れた屋敷林から成る散居集落を遠望できる。

田圃の中にいきなり建つ小洒落た2階建プチホテルはスロービレッジ飯豊。
何度か泊まったが、木の味わいを生かした内装や、共用のラウンジやオープンデッキなどが快適な宿だ(ただし部屋は狭い)。
やけにオシャレだと思ったらモンベルがプロデュースしており、同ブランドのレンタサイクルなどもやっていたりする。

ふろく2:長井の宿

置賜地方に滞在するというとまず米沢が思い浮かぶが、米沢のホテルはあまりいいところがない(部屋の割にお高かったり)。
長井に泊まってみるのも悪くない。
中心街にTASホテル(部屋はビジネスホテル)、荻生に上記のホテルスロービレッジ飯豊があるが、おすすめは長井あやめ公園から川を渡ったところにあるはぎ苑。最近全面改装して生まれ変わった温泉旅館だ。
別棟には洋室のアパートメントホテルもあり、そちらの部屋は元が旅館の和室だったせいでシングルでもものすごく広い。
ミニキッチンもついているので数泊して滞在型の旅にもおすすめだ


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