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1994年 SideA-10「世界が終るまでは・・・/WANDS」

上杉昇作詞 織田哲郎作曲 葉山たけし編曲

・「スラムダンク」(テレビ朝日系 1993/10/16~1996/3/23)主題歌

 ビーイングという会社は、基本レコード会社でもレーベルでもましてやタレントマネージメント会社でもなく、クライアントの要望に合わせて楽曲を作る音楽製作会社である。楽曲使用料ではなくCDセールスで稼ぐという方法論のタイアップで、この時期急速に成長した。そして彼らが生み出したモデルの中で最も長持ちしているのが、現在エイベックスやソニーミュージックも積極的に取り組んでいるアニメ主題歌の製作請負である。

 オープニングとエンディングをワンレーベルで独占し、ひとつのアニメの中で様々なアーティストが主題歌をリレーしていくという、今では当たり前となったスタイルを最初に定着させたのがこの「スラムダンク」だった(このパターンの最大の成功例が「名探偵コナン」である)。このスタイルの特徴は一つ一つの楽曲が必ずしもアニメの内容に寄り添っていないということ。それまでのアニメ主題歌は(ビーイングが手がけた「おどるポンポコリン」や「ムーンライト伝説」を含めて)ほとんどが作品に寄り添った楽曲だったので、これはひとつの転機だった。しかも「スラムダンク」では、そうした楽曲起用がことごとくプラスに働いた。

 放送開始から半年を経て登場した2代目エンディングテーマであり、WANDS最後のミリオンセラーとなったこの「世界が終るまでは・・・」(別名・三井寿のテーマ)も、例の「先生、バスケがしたいです!」のシーンなどここぞという名場面で繰り返し印象的に使われ、視聴者の心に深く刻まれた。あれほどミリオンセラーを連発していたWANDSだが、カラオケなどで今も歌い継がれているのはこの「世界が終るまでは・・・」だ。いま現在アニメソングが大きなムーブメントに成長したきっかけの一つは、おそらくこのあたりにある。

(次回からは、SideBです)

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