主人公しかいない

人の話を聞くのが好きだ。


人の話を、他の人から聞くのも好きだ。そうしてそのふたつの、あるいはみっつの話を自分の中で組み合わせて、認識の相違や登場人物の行動に思いを馳せたりする。


なんだか、本を読むのに似ている。


昔読んで印象に残っている本がある。


その本の中では、ふたりの主人公それぞれ視点からの物語、そしてもうひとり、地の文というのか、客観的な文章とみっつの語り口で話が紡がれていた。

同じことでも、当事者同士でも、こうも違った印象になるのかと衝撃だった。


人の話だってそう、見た、聞いた、話した人の気持ちが少なからず入ったそれはいつだってそれぞれ違った切り口だ。それらを聞いて、頭の中で地の文を組み立てるのがとても楽しい。


趣味が悪いのには、異論はない。


みんなそれぞれ日々の出来事や事件に巻き込まれる主人公なのである。



ウルトラハッピーな小説しか読みたくない私は、主人公たちの両手がハッピーエンドを掴みとり、どの物語もめでたしめでたしと締め括られていることを祈っている。



おわり


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