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畏るべしモデル犬

 テレビのコマーシャルに出てくるタレントワンちゃんとなると、
とんでもないギャラを稼ぐそうです。
モデルのワンちゃんは、単に訓練された従順さという以上の
プロ意識を感じさせる振る舞いがあるということです。
ペット用のオーガニックコットン製の衣料品メーカー・マザーズの
石塚社長は撮影現場に立ち会ってみて、そこらの落ち着きのない
ワンちゃんとは全然違うと興奮気味に話してくれました。

 写真を見ると、9匹のワンちゃんたちがベストポーズで一斉に
カメラに目を向けています。
例えば9人の人間が並んでカメラに「はいチーズ!」と
やってもきっと誰かが眼をつむったとか、動いてしまったとか
なかなかこううまく撮れるものではありません。
普通のワンちゃんだったら、こんな写真は、奇跡が起こらない限り
絶対に撮れないでしょう。
一匹が前を向けば他は横を向いて吼えているなんていうのが
関の山です。
さあもう一度よくご覧ください。
この写真の凄さがお分かりでしょうか。

 彼らは自分がどうゆうことを要求されているのか
はっきり理解しているのだそうです。
スタジオの中には撮影機材がところ狭しと
あちこちに配置され、撮影のスタッフの人たちが
動き回っています。
強い照明が当てられ、フラッシュの光をいくつも
浴びるのです。
どれもこれも気が散ることばかりの中で、彼らはカメラに
目線を送り続けることに集中できるのです。
飼い主が指示を出すとピタッと動かなくなるそうです。
厳しい訓練の賜物かと思いきや、ここまで出来るのは
生まれつきの性格だそうです。
それはそうでしょう、訓練と言っても限界がある筈です。

さて、もう一枚の写真をご覧ください。
海老のおしゃぶりを咥えているのは
ミニチュア・シュナイザー犬のココちゃんです。
同じ籠に入っているのはチワワ犬のリオンちゃんです。
ココちゃんは、これらの賢いワンちゃんの中でも
群を抜いているそうです。

ココちゃんにおしゃぶりを咥えさせてカメラ目線で
静止を指示すると、ピタッとポーズをとり続けました。
ところがツーショットのお相手のリオンちゃんの方は、
長時間の撮影で集中が切れ始めて、首を右に左に
動かしてしまいます。
何度も何度も撮り直しが続きました。
ココちゃんの方は完璧なポーズを保っています。
20分、30分と時間が過ぎてゆきました。
やっとカメラマンがOKを出しました。とその時です。
完璧な静止を続けていたココちゃんは、感情を顕わにして
リオンちゃんに激しく吠え掛かりました。
それまでの落ち着いていたココちゃんとはかけ離れた
感情の発露に、その場に居合わせた人たちは一同
本当に驚き、そして同時にココちゃんのプロ意識に
感動させられたのでした。
この現場で見ていたメーカーの石塚社長から
この話を伺った時に、なにやら熱いものがこみ上げて
思わず涙ぐんでしまいました。
どの世界にもプロがいて、想像を超えた能力がある
ということに納得しました。


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