見出し画像

昔描いた漫画の話

みなさま近頃はいかがお過ごしでしょうか。私の滞在している高柳では今週末にいよいよ本格的な雪が降るとの予報が出ており、戦々恐々としております。

さて、かねてよりTwitterでしばしば「漫画を描きたい、漫画を描きたい」と言っているこの私ですが、かつて一度だけメロンパス名義で16ページの漫画を描いたことがあります。タイトルは『青く透き通った独善』。

ざっくりあらすじを説明しますと、主人公の女の子がクラスメイトに告白されるのですが、独り善がりな告白してんじゃねえ!って感じでボロカスに罵ってフッてしまうんですね。するとそのクラスメイトが翌朝踏切で電車に轢かれて死んでしまうわけです。

自殺なのか事故なのか、自殺だとすれば自分が彼を死に追いやったのではないか…そんな葛藤に悩まされた主人公は都市伝説の『幽霊を呼び出す方法』を試してクラスメイトの霊と話そうとします。

結局主人公の女の子は自分自身の独善にも気付かされ、クラスメイトにも裏切られ、肝心なことには答えが出せないままで「あーあ、サイアク」となってしまうわけですが、なんだかんだで救いのある話だと思っています。

その後きっと彼女はどう生きても何かの形で痛みを伴うわけですけれども、それを乗り越えた先には未来が拓け成長できるはずです。人生は理不尽で、わけがわからなくて、それでもなんとかして前に進んでいくんだというようなことを描きたかったような記憶があります。

この漫画は2016年、友人のてら(Twitter : @teramuradaiki)さんとコミティアに出品してみようという話になり、合同でコピー本を作った際に描いたものです。テーマは『赤と青(てらさんが赤、私が青)』『青春』。

この時期はスケジュールがかなり過密で、日中はインスタレーションの課題でムサビの喫煙所にビニールホース製の血管をひたすら張り巡らせる作業に没頭し、夜のわずかな時間に東京展の作品とumiusism(私が主催したウミウシをテーマにした展示)の作品を制作していました。

そこに漫画の制作をねじ込んだものですからもう大変で、実質3日くらいしか描く時間がなかった思い出があります。愚かすぎた。

しかし、質を大幅に落としてでもとにかく完成させることが大事だと思ったので、半分ネームのままみたいな絵でなんとか仕上げました。ページも無理矢理16ページに収めたので説明不足な部分も多く、わかりにくい内容でしたが一応完成させました。

とにかく形として残せば、いつか使える日がくるかもしれないし、漫画の作業行程やコミティアでの出品を経験しておくことは今後に活かせるだろうという考えです。Done is better than perfect.

当日てらさんに泣いて謝るつもりで会場に行ったら、てらさんもコピーが間に合っておらず、ビッグサイトそばのコンビニで直前にコピーして開場時間を過ぎて昼前くらいまでブースで必死にホチキス留めすることになったのもいい思い出です。作業を手伝ってくれた隣のブースのチロルさんには本当に感謝しています。

たしか20~30冊ほど刷ったと思うのですが、結局販売が午後からになったということもあり、コミティアでは数冊しか売れず、残りはてらさんと二人で分けて持ち帰りました。私の分はその後友人知人に個人的に販売したりして完売いたしました。

再版はいまのところ予定していませんが、実は今月15日からグルグルハウスで私のレジデンスの集大成的な個展をさせていただくのですが、その際に「漫画作品を展示できないか」という話になったため、この漫画を展示公開しようと考えています。『いつか使える日』が本当にやってきたのです。描いててよかった。

時間があればこの機に絵を修正して完全版にしてしまいたいのですが、新作も制作途中のため難しいかもしれません。

また、興味のある方がいらっしゃるのでしたら会期後にnoteかTwitterで全公開してしまってもいいなとは思っています。検討中です。

展示は12/15~2月半ばまで、おそらく雪の降りしきる中ですがどうぞよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?